療育(発達支援)には、非常に様々な大切な視点があります。
例えば、子どもの発達に関する理解や様々な支援方法、二次障害の予防と対応、保護者支援、地域支援、チーム支援など、上げればきりがないほど出てきます。
一方で、子どもへの療育を行っていく上で、そもそも療育とは何のために行うものなのかという問いについて考えることも非常に大切です。
それは、子どもが今後の社会を生きていく上で、必要不可欠となる力の獲得に繋がるからです。
それでは、療育の目的として、一体どのような視点が大切だと考えられているのでしょうか?
そこで、今回は、療育は何のために行うのかについて、臨床発達心理士である著者の経験談も交えながら、療育の目的について再考していきたいと思います。
今回参照する資料は、「市川奈緒子・岡本仁美(編著)(2018)発達が気になる子どもの療育:発達支援入門.金子書房.」です。
療育は何のために行うのか?:療育の目的について再考する
以下に著書を引用しながら見ていきます。
とりわけ社会に生きることの意味や自己の価値観が感じにくくなっている昨今、子どもに対する療育・発達支援のなすべきことは、この「自分と自分の人生に対する肯定感」を築くための土台作りをサポートすることなのではないでしょうか。
著著の内容から、療育の目的は自己への肯定的な感情を育むことにあるいえます。
療育には、様々な発達障害への理解(特性の理解、発達段階の理解など)、個別・集団への支援方法(ソーシャルスキルトレーニング、認知行動療法、感覚統合療法、ペアレントトレーニングなど)といった具体的な内容があります。
こうした具体的な理解や支援方法も、目指すところは、子ども自身が自分のことを肯定することに繋がり、自分を肯定する力(自尊心や自己有能感など)は、自分の力で社会の中で生きていく・行こうとする意欲に繋がっていくと言えます。
療育を専門にする支援者は、子ども自身が自分のことを肯定できるようになるためには、人への信頼に始まり(愛情のエネルギーの充足)、苦手なことや得意なことに対する自己理解、成功体験を積み重ねながら意欲のエネルギーを引き出していくなど、様々な関わりが必要です。
そして、様々な体験を通して、この世界が生きるに値する世界・生きていて楽しい世界であるということを体感することがとても大切だと言えます。
それでは次に、療育の目的の重要性を感じた著者の体験談についてお伝えします。
著者の体験談
著者は長年療育現場に携わってきました。
療育現場には、様々な発達に躓きのある子どもたちがいます。そのため、個別の理解や配慮や支援がとても大切になります。
子どもたちのことを考えていく中で、逆に、子どもたちから教えてもらったことがあります。
まず、1つ目として、関わるスタッフたちが子どもたちに対して、肯定的な態度で接し続けていくと、子どもたちは自然とそうした態度(肯定的なまなざし)を感知していくということです。
これは、自己への肯定的な感情に繋がると言えます。。
そして、スタッフは肯定的な感情を子どもたちに持つためにも、子どもたちのことをより深く理解しようする姿勢・学びが必要となり、こうした態度がより質の高い発達理解と発達支援に繋がっていくと感じています。
2つ目として、関わるスタッフが楽しそうに関わってくれている、そして、スタッフ同士が楽しむことで、子どもたちの笑顔や楽しんで活動する様子が増えていくというものです。
以前、何かの本で読んだ、楽しく活動している集団には人が集まるといったことが書いてありました。
その言葉の通り、集団自体(コミュニティ)に楽しい雰囲気があると、そこに人が集まり、さらに楽しい世界になっていきます。
もちろん、こうした楽しく雰囲気をつくるためにも、療育の大切さを追求し続ける姿勢、活動作りを含めた環境設定、チームの連携といったスタッフ同士のコミュニケーションなどがとても必要になってくると思います。
以上、療育は何のために行うのか?-療育の目的について再考する-について見てきました。
上記の内容を維持するには、多くのエネルギーや学びの継続が必要になると言えます。
今後も、療育は何のために行うのか?という根源的な問いについて、療育現場での実践を通して考え続けていきたいと思います。
最後まで読んで頂きありがとうございました。
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市川奈緒子・岡本仁美(編著)(2018)発達が気になる子どもの療育:発達支援入門.金子書房.