発達理解・発達支援・ブログ

人間の多様な理解と支援を目指して!

成果 療育

療育の成果について-肯定的な言葉かけの重要さ-

投稿日:2022年1月30日 更新日:

療育の成果について、どのような働きかけが成果に繋がったのかを特定することは難しいことです。まず、何を持って成果と言えるのか、そして、成果には様々な要因が絡んでいるからだと思います。

さらに、成果(変化)にも、短期のものと長期のものなど時間軸の捉えの違いによって見えてくるもの、内容が異なるかと思います。

そこで今回は、私自身の放課後等デイサービスでの長期の子どもたちとの関わりからポジティブな変化が見られた例を長期の視点から以下に事例を簡単に紹介したいと思います。

 

今回の事例を取り上げるにあたり、参考になると思われる記事を次に記載(「愛着に問題のある子どもの行動特徴について現場から考える」、「発達障害の二次障害について:ADHDを例に考える」「愛着について:発達支援の現場からその重要性を考える」)しますので、興味のある方はぜひ参照していただければと思います。

 

 

スポンサーリンク

療育の成果について-肯定的な言葉かけの重要さ-

A君の事例→肯定的な態度・声掛けにより情緒が安定してきた例

小学校5年生のA君は、とにかく否定語に弱いお子さんです。

「○○はだめ!」、「○○はいけません!」、「○○しません!」などの否定語に強く反応するお子さんです。

しかし、A君の行動は、大人を挑発するもの、他児とすぐにトラブルを起こす言動などが多いため、否定語を使わざる負えないことが多くありました。

A君の負の言動・行動→大人が注意する(つまり否定語を使う)→A君が余計イライラしていくという負のスパイラルにハマるという流れです。

もちろん、危険行為(他害など)は体を張って止めることが大切です。

我々スタッフは、こうしたA君に対していくつかの戦略をもって対応しています。

①トラブルが起きない環境を作る

まずは、環境設定です。これは、これまでのA君との関わりから事前に予測されるトラブルをできるだけ回避するように環境を調整することです。

もちろん、トラブルから得られる学びもあるかと思いますし、予測できないトラブルもありますが、事前に予測し対応しておくことは非常に重要です。

例えば、トラブルになりそうな他児との環境を可能か限り分けること、活動のルールなどは事前に伝えておくなどの対応をしています。

また、A君が好きな遊びや話題などポジティブな情報を伝え、注意をそらすということも効果的だと思います。まさに、働きかける大人が環境になるわけです。

②否定語→提案などを多く使用する

「○○しません!」→「○○しよう!」といったように提案をしていくことが重要になります。

もちろん、反抗的な状態の場合にはすぐに聞き入れることが難しいと思いますが、少しずつ関係ができてくると聞き入れてくれることが多くなるといったことも言えるかと思います。

③正の行動に対するフィードバック

これはとても重要です。行動と結果を結びつけるために直ぐに褒めるということが重要です。また、発達年齢にもよりますが、思春期前には少し大げさに褒めて良いかと思います。

また、正の行動ではなくても、A君なりによく考えたところ・気づきや疑問などもよく褒めたり、一緒に考えていくようにようにしています。

例えば、「○○の言うことは○○の理由から信用できない・納得できない」→「そんな深く考えていたんだね!」、「その視点は気づかなかった」、「それじゃあ、どうした方がいいかな?」といった感じです。

④上記の①から③を他のスタッフと連携しながら行う

こうした子どもたちへ関わるスタッフは精神的に疲弊することがよくあります。

そのため、関わり手の大人のケアもとても重要だと思います。

1人のスタッフに対応が集中しないように、また、集中したとしても周囲がねぎらうなどの行動を起こすことで少しずつチームとしての支援は進むかと思います。

こうした対応を長年受けたA君はもちろん気持ちの波は多くありますが、少しずつ大人に対して信頼を見せるようになりました。

 


情緒の安定には安全基地となる大人との関係性がとても重要です。

関係性の構築は年齢的にできるだけ早い方が良いと言われています。もちろん、何歳になっても遅いということはないかと思いますが、後になればなるほど時間がかかります。

私自身、子どもたち負の行動に否定語を反射的に使ってしまうこともありますが、A君との関わりなどから、できるだけ肯定的な態度や声掛けが長期的にみるととても大切であると学びました。

まだまだ未熟ですが、今後もより良い支援ができるように日々の実践を大切にしていきたいと思います。

最後まで読んで頂きありがとうございました。

スポンサーリンク

-成果, 療育

執筆者:


comment

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

関連記事

発達支援(遊び編):「絵の具遊び」

私が以前勤めていた療育施設には、広い教室や材料倉庫といって療育に必要な材料がたくさん置いてあるなど、非常に環境としては充実していました。 こうした環境の中では、ダイナミックに体を動かしたり、感触遊びを …

発達支援(遊び編):療育施設での遊びのレパートリーについて

子どもたちにとって遊びは大切です。 私自身、療育施設や放課後等デイサービスなどで、発達につまずきのあるお子さんたちを対象に、遊びを通して様々な関わりをしてきました。 その中で、実感することは、子どもた …

【発達障害児への療育で大切なこと】全般的な行動の遅さへの対応

発達障害(神経発達障害)には、ASD(自閉症スペクトラム障害)、ADHD(注意欠如多動性障害)、SLD(限局性学習症)、DCD(発達性協調運動障害)、ID(知的障害)など様々なものがあります。 著者は …

発達支援の「支援」とは何か?-療育経験を通して考える-

発達支援(療育)の現場で発達に躓きのある子どもたちと接しているとよく耳にする言葉に「支援」があります。 発達支援に携わる身として、一言で「支援」といってもその意味合いはとても広く、深いものだと思います …

【療育の成果を感じにくい時の改善方法】〝抜け感″をもった関わり方

著者は長年、療育(発達支援)現場で、発達障害など発達に躓きのある子どもたちへの支援をしています。 現場での支援の継続により、成果が出ていると実感することがある一方で、成果を感じにくいなど行き詰まりを感 …