療育の成果について、どのような働きかけが成果に繋がったのかを特定することは難しいことです。まず、何を持って成果と言えるのか、そして、成果には様々な要因が絡んでいるからだと思います。
さらに、成果(変化)にも、短期のものと長期のものなど時間軸の捉えの違いによって見えてくるもの、内容が異なるかと思います。
そこで今回は、私自身の放課後等デイサービスでの長期の子どもたちとの関わりからポジティブな変化が見られた例を短期の視点から以下に3事例を簡単に紹介したいと思います。
療育の成果について-物・空間・人との関わりについて-
事例①:使える物
放デイ内でよく起こるトラブルに使いたいものが子供同士で重なることです。お互いに譲ることが難しい場合も多く、こうしたことから人気のある物や新しく入った物などは、使用上のルールを設定することがあります。
例えば、1人30分までといった時間制、月曜日は○○君といった曜日制など事前にルールを設けることでうまく折り合いをつける様子が見られています。
私が所属している放課後等デイサービスに通っているA君とB君は、使いたいおもちゃが重なり、一度はトラブルになりましたが、スタッフが曜日で分けたことでその後はトラブルなく過ごせるようになりました。また、お互いに〇曜日はA君、〇曜日はB君と意識できるようになりました。
事例②:使える部屋
事例に①に加えてよく起こるトラブルに使いたい部屋が重なるというものです。
普段は用途ごとに部屋を分けているのですが、多目的なスペースなど、遊び内容によっては使いたい部屋が重なることがあります。
こうした場合にもルールを設定していきます。例えば、時間による設定が最も多くとられることがありますが、その他に、遊びの内容によってスタッフが他の部屋を提案していくというものです。
私が所属している放課後等デイサービスのC君は、いつも戦いごっこをしているお気に入りの部屋(多目的な部屋)があります。ある日、D君がその部屋を使いたいと提案してきました。我々スタッフは、最初に活動時間を提案しましたが、なかなか折り合いがとれず、次に、他の活動場所にC君を誘いました。C君はこの提案に合意し、他児と戦いごっこを楽しく行うことができました。
この日を境に、C君は他の部屋を使うことへの抵抗が減り、活動範囲を広げることができました。それは他児の提案を受け入れることが可能になってきたと言えるかと思います。
事例③:遊べるスタッフ
事例①と②と同様に子どもたちからの要望が強いものに、「○○さんと遊びたい!」という遊びたいスタッフがお互いに重なるというものです。これは、大人に限らず子どもに対してもよく見られます。
我々スタッフは、時間や曜日によって遊びたいスタッフと過ごせる保障を提示しています。例えば、〇時までは○○さん、〇時までは○○さんという感じです。
事例①と②と比べて難しいのは、子どもとの関係性の深さやスタッフの技量による違いから、提案しても合意がうまく取れないケースが多いという印象があります。
このような場合は、できるだけ子どもの好きな遊びを理解しその遊びを引き継ぐという形の方がうまく行くような印象があります。
例えば、お絵描き好きのE君はいつもスタッフAさんに手伝って描いてもらうことを楽しみしていました。しかし、スタッフAさんは人気があり、他の子どもからも遊びの要望を受けています。そこで、絵が比較的うまくE君の興味をよく知るスタッフBさんに引き継ぐことで、比較的スムーズに移行していったというケースもあります。
このように、子どもたちにとって関係性のあるスタッフは安心できる最大の環境ともいえるため、急な変更は難しく、他のスタッフが得意な遊びに参加していくという形の方がうまくいく印象があります。
我々スタッフは、日々の療育の中で、使う物や空間、関わる人など、事前にシミュレーションを立てながら、臨機応変に変更などを行っています。
もちろんうまくいかないこともありますが、そうした経験を重ねることでどのような提案がより子どもたちにとって安心し納得のいくものなのかが理解できるようになっていきます。
私が所属している放課後等デイサービスには、特別な配慮を必要とする子どもたちが多くきております。
例えば、あるお子さんは急な変更が苦手・いつもと違うが苦手なため、こうし場合には、事前に伝える・さらに数日前(個人差があるが)に伝えるなどの方法が必要になってきます。
私自身、日々の療育で悩むこと・解決が難しいことはまだまだ多くありますが、少しでも子どもたちが安心して楽しく活動できるように日々の実践を大切にしていきたいと思います。
最後まで読んで頂きありがとうございました。