療育の成果について、どのような働きかけが成果に繋がったのかを特定することは難しいことです。まず、何を持って成果と言えるのか、そして、成果には様々な要因が絡んでいるからだと思います。
さらに、成果(変化)にも、短期のものと長期のものなど時間軸の捉えの違いによって見えてくるもの、内容が異なるかと思います。
そこで今回は、私自身の放課後等デイサービスでの長期の子どもたちとの関わりからポジティブな変化が見られた例を短期の視点から以下に2事例を簡単に紹介したいと思います。
療育の成果について-強みを活かした支援-
A君の事例→興味関心の高さをうまく活用した例
A君は小学校4年生のお子さんで、注意散漫であり、少し落ち着きがない一方、自分の興味のあることには非常に高い集中力を発揮する特性があります。
私が所属している放課後等デイサービスに通い始めたA君は、他児の言動や行動などに直ぐに目が行き、なかなか遊びを開始できずにいました。時間だけが過ぎ、気づくともう帰りの時間になっていることもよくありました。
我々スタッフは、A君の興味関心を活用し、来所して直ぐに、A君が好む遊びに誘いました。また、A君の興味に合わせてできるだけその情報を取り入れ、A君にフィードバックしていきました。
A君は完全に自分の興味のモード全開になり、例え注意がそれても、もともとやっていた興味のある活動に注意を切り替える様子が増えていきました。
B君の事例→視覚的な強さをうまく活用した例
B君は小学校3年生のお子さんで、比較的おとなしく、それとなく周囲に合わせて過ごす様子が多いお子さんです。
最近は、プログラムへの参加率が低下しており、スタッフが誘っても「やりません」と返答することが増えていました。もちろん、プログラムより他の遊びを優先することは悪いことではありませんが、我々スタッフは、この要因を再度見直しました。
スタッフから上がったものとして、口頭の理解が難しいので、プログラムに言葉で誘っても理解できないのではといった意見が上がりました。確かに、B君は自分の目で見て状況を理解するのは得意ですが、一方で、口頭理解はあまり得意でない印象がありました。
そこで、我々スタッフは、プログラムの導入でタブレットなど視覚的情報を取り入れ、B君をプログラムに誘いました。B君は、タブレットの解説などを見て、興味がわき、プログラムに参加する様子が増えていきました。
私が所属している放課後等デイサービスには特別な配慮を要する子どもたちが多くきております。
その中には、ADHDやASDなど発達特性のあるお子さんも多くいます。
先ほど見てきた2つの事例のお子さんもこうした特性をもつお子さんであり、普段、我々スタッフが学校教育で受けてきた、当たり前と思っているやり方が彼らの発達特性には有効ではないことが多くあります。
注意散漫は裏を返せば様々な事に興味があり、こうしたお子さんの中には、特定の対象に対して異常なまでに集中力を発揮するお子さんも多くいます。
口頭理解が難しいお子さんの中には、視覚的に物事を理解する能力が非常に秀でているお子さんも多くいます。
このように、発達特性は見方を変えれば強みにもなります。
こうした子どもたちの強みを理解し、支援を継続する事は、子どもたちの自尊心の向上や大人への信頼にも繋がっていきます。また、苦手なことがあっても、得意なことが周囲から理解されていればそれをトータルで乗り越えることも可能かと思います(ケースバイケースですが・・)。
まだまだ、私自身、未熟な存在ではありますが、今後も子どもたちのより良い理解と支援ができるように、日々の実践を大切にしていきたいと思います。
最後まで読んで頂きありがとうございました。