
療育の成果について、どのような働きかけが成果に繋がったのかを特定することは難しいことです。
まず、何を持って成果と言えるのか、そして、成果には様々な要因が絡んでいるからだと言えます。
さらに、成果(変化)にも、短期のものと長期のものなど時間軸の捉えの違いによって見えてくるもの、内容が異なります。
そこで、今回は、私自身の放課後等デイサービスでの長期の子どもたちとの関わりからポジティブな変化が見られた例を長期の視点から以下に事例を簡単に紹介したいと思います。
※この記事は、臨床発達心理士として10年以上療育現場に携わり、修士号(教育学・心理学)を有する筆者が執筆しています。
療育の成果について-同年代集団との関わりから-
Aさんの例→同年代集団との関わりを欲し、その中で仲間関係が発展した例
当時小学校高学年のA君は、おとなしい性格であり、1人で感触遊びをしたり、漫画を読むなどして過ごすことが多かったお子さんでした。
私はAさんとはAさんが小学校低学年からの付き合いでしたが、普段のAさんは口数が少なく、アクティブに活動する様子は少なかったです。
しかし、小学校高学年になると、私とボール遊びを基点に徐々にアクティブさが増してきました。「○○して遊ぼう!」など、アクティブな遊びに誘ってくる様子が増えてきました。
私はAさんの思いを大切に受け止め、できるだけAさんと関わる時間を多くとるようにしました。こうしたやり取りや遊びを繰り返す中で、徐々にAさんと私の遊びに混ざってくる他児も出てきました。その中の多くは、小学校3~5年生の男子がほとんどで、同じく体を使ってアクティブに遊びたい子どもたちでした。
遊びの内容は、最初はボール遊びが中心でしたが、徐々に、武器を使った戦いごっこに代わり、子どもたち集団VS大人集団という構図になっていきました。その中で、Aさんは子どもたち集団を率いる中心人物になっていきました。
Aさんが戦いごっこのルールを提案するなど集団を引っ張る様子が出てきました。以前のAさんからは想像できない姿でした!
こうした同年代集団の中にはAさんが集団を引っ張る場面が多くありましたが、一方で、Aさんに色々と面白い遊び方を提案する子も出てきました。こうしたやり取りを重ねる中で、Aさんは「○○くん、今日いる?」など、他児との遊びを非常に楽しみにする様子が出てきました。
それ以降もこうした遊びは続いています!以前遊びの基点になっていた私の存在は不要なほど、他児と一緒に過ごす時間を非常に楽しみにしています。
Aさんにとって同年代集団の関わりから、仲間意識が芽生え、その中で、一緒にルールを考えたり、物の貸し借りがでてきたり、楽しさを他児と共有するなど多くの体験を重ねることができたと思います。
そして、私が感じる一番の変化はAさんの活き活きとした表情です!
以上、療育の成果について-同年代集団との関わりから-について見てきました。
療育において、大人の存在は必要不可欠だと思いますが、同じ年齢層の仲間との関わりから学ぶことも多くあるように思います。
例えば、楽しく遊ぶためのルール設定、お互いの思いや意図などが異なること、そうした思いを理解する力、また、自分の思いを伝える力、喜怒哀楽など様々な感情を共有するなどがあるかと思います。
私自身、こうした子どもたちの思いを受け止めながら、困った時に力になれる存在、何を欲しているのかをくみ取り環境調整を行うことが大切な役割だと思っています。
今回は、療育の成果を同年代集団との関わりから紹介しました。
今後も、より良い支援を目指して頑張っていこうと思います。
最後まで読んで頂きありがとうございました。
療育実践で参考になる書籍一覧に関する記事を以下に載せます。
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