療育の成果について、どのような働きかけが成果に繋がったのかを特定することは難しいことです。まず、何を持って成果と言えるのか、そして、成果には様々な要因が絡んでいるからだと思います。
さらに、成果(変化)にも、短期のものと長期のものなど時間軸の捉えの違いによって見えてくるもの、内容が異なるかと思います。
そこで今回は、私自身の放課後等デイサービスでの長期の子どもたちとの関わりからポジティブな変化が見られた例を長期の視点から以下に事例を簡単に紹介したいと思います。
療育の成果について-同年代集団との関わりから-
A君の例→同年代集団との関わりを欲し、その中で仲間関係が発展した例
小学校5年生のA君は、おとなしい性格であり、1人で感触遊びをしたり、漫画を読むなどして過ごすことが多かったお子さんでした。
私はA君とは低学年からの付き合いでありましたが、普段のA君は口数が少なく、アクティブに活動する様子は少なかったです。
しかし、5年生になると、私とボール遊びを基点に徐々にアクティブさが増してきました。「○○して遊ぼう!」など、アクティブな遊びに誘ってくる様子が増えてきました。
私はA君の思いを大切に受け止め、できるだけA君と関わる時間を多くとるようにしました。こうしたやり取りや遊びを繰り返す中で、徐々にA君と私の遊びに混ざってくる他児も出てきました。その中の多くは、小学校3~5年生の男子がほとんどで、同じく体を使ってアクティブに遊びたい子どもたちでした。
遊びの内容は、最初はボール遊びが中心でしたが、徐々に、武器を使った戦いごっこに代わり、子どもたち集団VS大人集団という構図になっていきました。その中で、A君は子どもたち集団を率いる中心人物になっていきました。
A君が戦いごっこのルールを提案するなど集団を引っ張る様子が出てきました。4年生のまでのA君からは想像できない姿でした!
こうした同年代集団の中にはA君が集団を引っ張る場面が多くありましたが、一方で、A君に色々と面白い遊び方を提案する子も出てきました。こうしたやり取りを重ねる中で、A君は「○○くん、今日いる?」など、他児との遊びを非常に楽しみにする様子が出てきました。
現在もこうした遊びは続いています!以前に、遊びの基点になっていた私の存在は不要なほど、他児と一緒に過ごす時間を非常に楽しみにしています。
A君にとって同年代集団の関わりから、仲間意識が芽生え、その中で、一緒にルールを考えたり、物の貸し借りがでてきたり、楽しさを他児と共有するなど多くの体験を重ねることができたと思います。
そして、私が感じる一番の変化はA君の活き活きとした表情です!
療育において、大人の存在は必要不可欠だと思いますが、同じ年齢層の仲間との関わりから学ぶことも多くあるように思います。
例えば、楽しく遊ぶためのルール設定、お互いの思いや意図などが異なること、そうした思いを理解する力、また、自分の思いを伝える力、喜怒哀楽など様々な感情を共有するなどがあるかと思います。
私自身、こうした子どもたちの思いを受け止めながら、困った時に力になれる存在、何を欲しているのかをくみ取り環境調整を行うことが大切な役割だと思っています。
今回は、療育の成果を同年代集団との関わりから紹介しました。
今後も、より良い支援を目指して頑張っていこうと思います。
最後まで読んで頂きありがとうございました。