療育で大切なこととして、学童期の課題では、学習や仲間関係が主なものとしてあります。
中でも、仲間関係から得られる自己有能感はともて大切な発達課題です。
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それでは、学習や仲間関係以外に重要な課題となるものはあるのでしょうか?
今回は、著者の療育経験も踏まえ、学童期を例に、療育で大切なこととして、好きや得意を育てることの重要性について考えていきたいと思います。
今回、参照する資料は「田中康雄(2019)「発達障害」だけで子どもを見ないで:その子の「不可解」を理解する.SB新書.」です。
学童期の課題:好きや得意を育てること
以下、著書を引用します。
友人関係のトラブルや行動面での問題、学習面や運動面でのつまずきなど、さまざまな姿を挙げてきましたが、どの子にも大切なことは、学童期のうちに「自分にはこういう力がある」「僕(私)はこういうことが好きなんだ」というものを得ることだと僕は感じています。
著書では、学童期には、友人関係や学習面・運動面での大切さを挙げながらも、その中で、すべての子どもが、得意なこと、好きなことを見つけることが大切であると述べています。
学童期では、学校で過ごす時間が多くなることから、友人関係や勉強面などが課題として多く取り上げれることが増えていきます。
しかし、本質的には、友人関係や勉強面なども含め、本人の中で得意なことや好きなことを見つけていくことが重要な課題となってきます。
引き続き著書を引用します。
何か一芸に秀でているところに自負心がもてると、あるいは、ただ好きなことを評価してもらえるだけでも、そこから可能性や希望は広がっていくものです。
発達に躓きのある子どもたちは特に、特性による凸凹が激しいため、得意不得意や好き嫌いが定型児よりも激しいといった特徴があります。
周囲で関わる大人の中には、バランスが取れている、学校でそつなくこなせるようなタイプが好ましいと思っている人もおります(一部だと思いますが・・・)。
逆に、○○はとても得意だけれども、○○はとても苦手など、アンバランスな状態はどうしても苦手なところに意識を向けてしまう傾向があるようです。
大切なことは、子ども一人ひとりの得意不得意や好き嫌いを理解していきながら、得意や好きを伸ばしてあげることができるような関わり方をすることだと思います。
得意や好きが、一つでも二つでもその子の中で見つかると、その子の中で自己有能感は高まり、それを軸に様々な方面にその力を伸ばしていけるようになると思います。
それでは次に著者の療育経験から好きや得意を見つけ伸ばすことの大切さをお伝えします。
著者の経験談
A君は、以前から様々なことに興味関心を向けるなど好奇心旺盛なお子さんです。
一方で、多動で落ち着かない、時間にルーズなどの特徴から周囲の大人から叱責されることが多くあり、以前のA君には自信がない印象がありました。
しかし、次第に周囲の大人がA君の興味関心の強さを理解して関わる様子が増えていきます。
落ち着かなさや時間のルーズさよりも、興味関心の強さを理解すること、その面を伸ばすことに重きを置くようになっていきました。
それにより、A君の興味関心は、最初はなんとなく好き程度でしたが、しだいに興味関心に没頭する時間が長くなっていきそれが得意なことになっていきました。
例えば、車の知識が豊富、車の工作が上手など様々な面で得意な所が増えていきました。
好きと得意は連動するのだと未熟な著者なりに実感しました。
最近は、こうしたA君に対して、「A君はやっぱり工作が上手!」「A君は○○のことだったらなんでも知っているね!」など、得意な所を周囲から認められ、声がけされることも増えてきました。
それによって、A君は自分に対する自信がついてきたように見えます。
著者はこうした経験から、関わる子どもたちの好き・得意に対して、時間をかけて見つけていくことの大切さを学ぶことができたように思います。
また、こうした中で培った自信は、その後の自己を支える柱になると思います。
以上、学童期を例に療育で大切なことをお伝えしてきました。
自分を支える自信は簡単にはできませんし、その子一人の力ではできません。
そのためは、その子に関わる周囲の大人がその子の良さをしっかりと理解し、時間をかけてその良さを育むことが大切なのだと思います。
私自身、まだまだ未熟ですが、これからもより良い発達理解と発達支援を目指していきながら、子どもたちの成長を応援していきたいと思います。
最後まで読んで頂きありがとうございました。
田中康雄(2019)「発達障害」だけで子どもを見ないで:その子の「不可解」を理解する.SB新書.