発達障害という用語が社会的に広がり始めている中で、愛着障害など生育環境に関する書籍なども多く見られます。
私自身、発達支援の現場に8年以上携わっており、その中で様々な書物を読んだり、研究を通して人への理解を深めている過程です。
そうした中で、現場の子どもたちを見ていると、そもそも発達の問題なのか?生育環境の問題なのか?その両方なのか?など疑問に思うことがよくあります。
今回は子どもの発達を考える際に私が大切にしている視点についてお伝えしていこうと思います。
大きく分けて、①発達障害といった特性の視点、②愛着など生育環境の視点、③①と②の両方の視点から見ていきたいと思います。
まず①発達障害といった特性の視点から私が大切にしていることをお話します。
現在、発達障害は大きく分けて、自閉症、ADHD、学習障害、発達性協調運動障害に大別されることが多くあります。
また、これらはお互い併存しているケースも多く、併存の視点や、知的障害の有無などの理解も必要になってきます。
その中で、発達障害を理解するにあたり、重要なのが発達特性への理解です。
自閉症であれば、対人コミュニケーションなどの困難、こだわり行動などを特徴としており、そうした観点から子どもたちの特徴や困り感を理解することが必要です。
ADHDであれば、不注意、多動性、衝動性が見られるため、そうした行動的な特徴を理解していくことが大切です。
学習障害であれば、「読み」「書き」「計算」の困難さといった学習面でのつまずきが他の能力と比べて特異的に見られるため、そうした学習への理解が必要です。
発達性協調運動障害であれば、粗大運動や微細運動などの困難さがあるため、運動に関する困難さの理解が大切になります。
こうした発達特性は生涯にわたって何らかの形で影響し続けます。
ですので、大切なのはこうした特性の理解と、その特性が日常生活や学習場面など、どういった文脈で顕著に現れるかという生活を通しての理解が重要です。
また、支援に関しては、当事者や保護者のニーズに沿ったものであることが大事ですので、当事者感が重要になります。
私の中では、発達特性を理解しながら、生活のアセスメントと当事者感に立った支援に重きをおいています。
次に②愛着など生育環境の視点から私が大切にしていることをお話します。
生育環境で難しくかつ慎重にならなければいけないことは、原因が養育者など特定の人物になってしまう恐れがあるということです。
私のこれまでの経験上、原因をある部分に集約してしまうと問題解決が非常に難しくなります。
生育環境に携わる人たちも様々であり、また、おかれた社会環境も異なるため、共に協力するという姿勢が大切だと思います。
ここで、私が大切にしている視点に、愛着があります。
愛着とは、養育者など特定の人物との情緒的な絆のことを言います。
安定した愛着形成は、その後の情緒の安定や、人に頼るスキルや、自分を肯定的に受け止める自尊心などにプラスの影響を及ぼすとされています。
ですので、私が子どもたちを支援する上で、大人との安心・安全が保障された環境をつくることに重点をおいています。
しかし、例外もあります。
虐待などの非常に劣悪な生育状況に対しては、養育者との協力だけでは問題の解決は難しいと思います(そもそも協力体制を作ること事体が困難です)。こうして、自分にできることの限界も日々考えています。
最後に、③①と②の両方の視点から私が大切にしていることをお話します。
先の例でいいますと、もともと発達障害があったことで、その育てにくさから、子どもと養育者の関係がうまくいかないというケースなどが考えられます。
こういったケースで大切なのは、養育者を孤独にしないこと、養育者に適切な情報を専門家が伝えることが重要だと思います。
発達特性のあるお子さんたちと日々関わることは非常に体力と理解力を要します。
そうした中で、周囲に助けがないと子どもたちがいくら可愛くとも叱責してしまう、イライラしてしまうことが増えてくると思います。
ですので、他の似た境遇の保護者とネットワークを持つことや、様々な支援を受けることで子どもと離れる時間を作ることも大切だと思います。
また、発達特性への理解は、なかなか自分の当たり前が通用しないことも多くあるため、専門家からの助言なども重要になってくるかと思います。
以上、簡単にではありますが、子どもの発達を考える際に私が大切にしている視点についてお話してきました。
子どもの発達を理解するには様々な視点が私の経験上重要だと思います。
今後も、まだまだ未熟な自分自身に対して、子どもを理解する多様な視点を学んでいこうと思います。
最後まで読んでいただきありがとうございました。