人は外の世界から感覚器官を通して様々な情報を取り込んでいますが、その中で、様々な情報をまとめ上げていきながら外の世界に適応していきます。
〝感覚統合″とは、脳に入力された様々な感覚情報(視覚、聴覚、味覚、嗅覚、触覚固有覚、平衡感覚など)を目的に応じて整理して秩序だったものへと構成することとされています。
〝感覚統合″の理論・知識は、発達障害のある人たちへの理解や支援において必要不可欠なほど大切なものです。
それでは、感覚統合をより深く理解する上でどのような知識が必要になるのでしょうか?
そこで、今回は、感覚統合を理解する上で非常に参考になるおすすめ本6選【初級~中級編】について紹介していきます。
実際にこれから紹介する本を通して著者自身、感覚統合の理解が深まった、支援の役に立った等、有益な知識を得ることができました。
ぜひ、参考にしていただければ幸いです。
1~6の番号はランキングではありません。紹介内容を見て入りやすい本から手に取って頂けるといいかと思います。
1.育てにくい子にはわけがある
著者の〝木村順さん″は作業療法士であり、臨床経験が非常に豊富な方です。
著書では、子育てをしていく中での〝育てにくさ″の背景には感覚の問題もあるという視点から、事例なども含めて分かりやすく感覚の問題や支援方法などが記載されています。
感覚統合に関する知識が素人にもとても分かりやすい形で説明されているため、感覚統合について初めて学ばれる方にはお勧めです。
特に、子育てに関わる方、療育に携わる方にぜひ読んで頂きたい本です。
2.発達障害のある子どもの運動と感覚遊びを根気よくサポートする!
1と同様に〝木村順さん″が手掛けた本です。
遊びを通して感覚の問題への適応力を促す方法が分かりやすく書かれた本になります。
遊びを通した関わりの背景となる視点(○○の遊びは○○の感覚を育てる)も様々な遊びとセットで記載されているため、関わりの意味・目的を意識できます。
そして、遊びの内容も家庭でできるもの、近くの公園でできるものなど簡単に実施できるため、ハードルが高いないことも良い点です。
子育てや療育に携わる人たちにとてもお勧めです。
3.発達障害のある子の感覚・運動への支援
発達障害のある子の感覚の問題、アセスメントの概要、支援方法などについて学術的な視点も含めて網羅的に記載されています。
感覚の問題と密接に関連する運動の問題・支援などもセットで学ぶことができます。
100ページ程度の分量ですが、アカデミックな視点も多く書かれているため、ページ数以上の量を感じるかと思います。
大学・大学院など感覚と運動について学ばれている方(学ぼうとしている方)をはじめ、少し学術的な内容も知りたい方にはお勧めです。
4.子どもの理解と援助のために感覚統合Q&A
感覚に関する95の質問に回答するという形式の本になります。
例えば、高い所に繰り返し登る理由や特定の音に過敏に反応する子どもへの対応方法など、それぞれの質問への回答が約1ページを使ってしっかりと書かれてます。
そのため、子育てや療育などで感覚に関連する(関連するのではないか)と感じている多くの悩みや問いを持っている方にはとてもお勧めです。
後半の章では感覚統合と脳のしくみについての説明もあるため、感覚統合の知識を整理したい(知りたい)と考えている方にも良い本です。
5.自閉症スペクトラムの子どもの感覚・運動の問題への対処法
自閉症の子どもたちの多くは感覚の問題を併せ持っています。
著書には、自閉症の感覚・運動の問題・支援について非常に豊富な内容が記載されています。
また、自閉症に限らず感覚の問題を抱えている子どもたちの理解を深めたい方にとっても有益な知識を得ることができます。
感覚の問題・支援について専門的な知識を得たいと考えている方にはお勧めです。
6.子どもの発達障害と感覚統合のコツがわかる本
感覚統合についての概要と支援の事例が分かりやすく解説されている本となっています。
様々な感覚の特徴が図やイラストにより豊富に説明されていたり、様々な感覚に対する支援のポイント等も分かりやすく記載されています。
発達障害児の支援に携わっている方、携わろうと考えている方の中で、感覚統合のアプローチ方法を学びたい人たちに非常にお勧めです。
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