発達理解・発達支援・ブログ

人間の多様な理解と支援を目指して!

安全基地 愛着障害

愛着障害の克服について:良い安全基地の存在から考える

投稿日:2020年8月27日 更新日:

愛着障害は、関係性の障害であり、心理療法など様々な取り組みが行われています。

 

それでは、愛着障害の克服にはどのような対応が必要なのでしょうか?

 

そこで、今回は、愛着障害を克服するために、非常に重要な安全基地の存在について、良い安全基地とはどのような存在であるのかについてお伝えしていこうと思います。

 

 

今回参照する資料は「岡田尊司(2011)愛着障害 子ども時代を引きずる人々.光文社新書.」になります。

 

 

スポンサーリンク

 

 

愛着障害の克服のために必要な安全基地の存在について

愛着障害を克服するためには、親との関係を改善していくことが望ましいとされています。

しかし、親自身が不安定な愛着を抱えていることも多いなど、親の協力が得られないこともあります。

仮に得られたとしても、第3者の存在(ボタンの掛け違いを気づかせてくれる存在)、関わりが不可欠です。

第3者が、親が満たしてくれなかった役割を、一時的に、場合によっては、数年単位という長いスパンで、肩代わりすることが必要です。

そうすることで、子どもは、愛着を築きなおす体験をし、不安定な愛着を安定な愛着へと変えていくことができます。

その場合に非常に重要なのが、第3者が安全基地として機能していることです。

安全基地とは、いざという時に頼ることができる、守ってもらえるという居場所であり、そこを安心の拠り所、心の支えとすることができる存在のことを言います。

 

 

スポンサーリンク

 

 

良い安全基地の5つの特徴(ポイント)について

それでは、良い安全基地とはどのような存在なのかを、5つのポイントから見ていきたいと思います。

①安全感の保障

最も重要なポイントになります。愛着に問題のある人にとって、一緒にいても傷つけられることがないということが、最優先事項になります。

②感受性・共感性

愛着に問題のある人が、何を感じ、何を求めているのかを察し、それに共感することが重要です。

③応答性

相手が求めているときに、応じてあげることが大切です。それは、いざというときに、「相談できる」「守ってもらえる」という安心感に繋がります。

④安定性

相手の求めに応じたり、応じなかったりと、その場の気分や都合で対応が変わるのではなく、できるだけ一貫した対応を心掛けることが重要です。

⑤何でも話せること

相手が隠し事をしたり、遠慮したりせずに、心に抱えていることをさらけ出すことができることが大切です。

最後の⑤のポイントは、それ以前の①~④までの条件がクリアされて初めて達成できるものであると言えます。

以上が、良い安全基地の特徴(ポイント)になります。

愛着障害の克服のためには、重要な他者の存在が必要不可欠です。

愛着対象はまずは一人からということが重要であり、その中で、これまでお伝えした、5つの特徴(ポイント)が大切になります。

 

 


愛着・愛着障害に関するお勧め関連書籍の紹介

関連記事:「愛着障害に関するおすすめ本【初級~中級編】

関連記事:「愛着(アタッチメント)に関するおすすめ本【初級~中級編】

 

 

岡田尊司(2011)愛着障害 子ども時代を引きずる人々.光文社新書.

スポンサーリンク

-安全基地, 愛着障害

執筆者:


comment

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

関連記事

ゲーム依存と愛着障害の関係について:療育経験を通して考える

依存症(アディクション)という言葉を最近よく聞くようになりました。 例えば、ギャンブル依存、ゲーム依存、ネット依存、アルコール依存など、依存の対象は様々です。 著者は小学生を対象に放課後等デイサービス …

愛着に問題を抱える生徒への理解と対応について【先生ができること】

愛着に問題を抱える生徒はいつの時代にも一定数の割合でいます。 学校という集団生活の場において、愛着に問題を抱える生徒が取る行動や言動は先生たちを非常に悩ませるものでもあります。   それでは …

発達障害と愛着障害の理解と支援-療育現場で活用できる視点について-

療育現場には、発達に躓きのある様々な人たちがおります。 著者も長年療育現場に勤める中で、多くの子どもたちと関わってきました。 療育現場での経験を通して難しいと感じたのは、様々な発達障害をどのように理解 …

愛着障害の3つのタイプについて考える

愛着障害には、ICD-10やDSM-5等の精神医学界の診断基準で指摘されている2つのタイプがあります。 2つのタイプとは、〝脱抑制対人交流障害”と〝反応性愛着障害”です。 臨床発達心理士・学校心理士で …

疑似ADHDとは何か【ADHDの背景には愛着障害が潜んでいる】

ADHDとは、不注意・多動性・衝動性を主な特徴としている発達障害です。 ADHDの背景要因は先天性の脳の機能障害だと考えられています。 そして、ADHDは近年増加傾向にあり、中でも大人のADHDが注目 …