愛着とは、特定の養育者との情緒的な絆なことをいいます。
愛着形成には、4つの段階があると言われています。
愛着形成の4つの段階にはそれぞれどのような特徴があるのでしょうか?
そこで、今回は、Bowlbyの愛着理論に従って、愛着形成の4つの段階について説明していきたいと思います。
今回参照する資料は「数井みゆき・遠藤和彦(編著)(2005)アタッチメント:生涯にわたる絆.ミネルヴァ書房.」です。
愛着形成の4つの段階について【大切な人との関係づくりには段階がある】
以下、著書を引用しながら4つの段階を見ていきます。
第1段階:人物の識別を伴わない定位と発信(出生~少なくとも生後8週頃、たいていは約12週頃)
第2段階:一人または数人の特定対象に対する定位と発信(生後12週頃~6ヶ月頃)
第3段階:発信および移動による特定対象への近接の維持(生後6ヶ月頃~2,3歳頃)
第4段階:目標修正的な協調性形成(3歳前後~)
以上が愛着形成(愛着)の4つの段階(発達)になります。
それでは、それぞれの段階を具体的に見ていきます。
第1段階:人物の識別を伴わない定位と発信(出生~少なくとも生後8週頃、たいていは約12週頃)
この段階は、特定の人物を認識できません。
よって、傍にいる人に定位(視覚・聴覚で相手を捉える、手を伸ばす)や、発信(泣いたり微笑を浮かべる、発声する)をして愛着行動を取ってきます。
第2段階:一人または数人の特定対象に対する定位と発信(生後12週頃~6ヶ月頃)
この段階になると、少しずつ関わる人物を意識できるようになってきます。
そのため、親が声をかけたり、微笑みかけることで、より他の人よりも喜んだり泣き止むなど愛着行動が強くなってきます。
第3段階:発信および移動による特定対象への近接の維持(生後6ヶ月頃~2,3歳頃)
この段階には、特定の人物(親など)とそうでない人物の識別がより顕著になります。
そのため、親でない人物(特定の人物)からの関わりを避けたり、警戒心を持つようになります。
また、この時期には、ハイハイや歩行が可能になるため、養育者の後追いをするなど、愛着行動にも移動を伴うなどレパートリーが出てきます。
また、この時期には以下のような特徴が見られます(著書、引用)。
Bowlbyは、この第3段階の重要な特徴として、養育者に対する子どものアタッチメント行動が、徐々に目標修正的に組織化されるようになることをあげている。
つまり、第3段階になると、相手の意図や気持ちの背景を読み解くことはまだ難しいですが、自分の不安感などを和らげるために、計画立てた愛着行動を取るようになります。
第4段階:目標修正的な協調性形成(3歳前後~)
この段階になると、相手の行動動機や感情などが少しずつ理解できるようになります。
そのため、相手の状態に応じて自分の愛着行動を修正するといった協調性に基づく関係性が出てきます。
また、この時期には、認知の発達に伴い表象機能(イメージ機能)が発達します。
そのため、これまで物理的接近によってとっていた愛着行動が減り、少しの時間であれば養育者が不在であっても安定して行動することができます。
これは、内的作業モデルといった表象(イメージ)機能の発達により、心の中に大切な人がいるといった安心感があるため(物理的ではなく表象的に)、少しの時間であれば養育者と離れていても可能ということになります。
関連記事:「愛着で重要な内的作業モデルについて【心の中に大切な人がいることの重要性】」
以上、愛着形成の4つの段階について【大切な人との関係づくりには段階がある】について見てきました。
重要な点は、乳幼児期の子どもからの定位と発信による愛着行動を特定の養育者がしっかりと受け止めて反応することで安心感を与えるということです。
こうした物理的な情緒的交流(身体レベルの)による愛着関係の基礎は、後の内的作業モデルといった表象機能を基盤とした愛着スタイルのベースになります。
今回取り上げた4段階を見ても、人生早期に愛着形成を築く重要な基礎を子どもが学習していることが理解できます。
私自身、今度も愛着理論を学び続けることで、子どもたちのより良い育ちに少しでも貢献できるように日々の実践を大切にしていきたいと思います。
最後まで読んで頂きありがとうございました。
数井みゆき・遠藤和彦(編著)(2005)アタッチメント:生涯にわたる絆.ミネルヴァ書房.