愛着形成において、3つの基地機能が大切だと言われています。
それは、「安全基地」機能、「安心基地」機能、「探索基地」機能の3つです。
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これら3つが愛着形成において重要ですが、この中の「安全基地」と「安心基地」とは、一見すると似たものであるように思う方もいるのではないでしょうか?
それでは、両者にはどのような違いがあるのでしょうか?
そこで、今回は、愛着形成で重要な「安全基地」と「安心基地」の違いについてお伝えしていきます。
今回参照する資料は「米澤好史(2022)愛着障害は何歳からでも必ず修復できる.合同出版.」です。
愛着形成で重要な「安全基地」と「安心基地」の違いについて
それでは、「安全基地」と「安心基地」それぞれについて見ていきます。
「安全基地」について
以下、著書を引用しながら見ていきます。
ほぼ、愛着の専門家で共通理解されつつあるのは、「恐怖、不安、怒り、悲しみのようなネガティブな感情、すなわち嫌な気持ちになったとき、誰かが大丈夫だと守ってくれる」という働きをするのが安全基地の機能です。
著書の内容から、「安全基地」機能とは、何か不安なことなどネガティブな感情が生じた際に、自分のことを守ってくれるという機能(場所)になります。
この場合の場所とは、物理的な場所、表象(イメージ)としての場所の両方があります。
例えば、子どもが夜に一人で部屋におり、外で何か物音がして怖くなった。その時に、隣の部屋にいた母の所に逃げ込むなどが物理的な安全基地の例としてあります。
また、何か不安なことがあり、その際に信頼できる人のことを頭に思い浮かべ気持ちが落ち着くなどは表象(イメージ)としての安全基地の例としてあります。
ここでの、ポイントは、「安全基地」機能は、ネガティブ感情を軽減・回復する機能だということです。
「安心基地」について
著書では、「安心」といった用語は、専門家の間でも「安全・安心」といったように、両者を区別せずに使用している場合も多くあるとしています。
一方で、著書では、「安全」と「安心」とを明確に分けることが愛着への理解や支援においても重要だとしています。
以上を踏まえて次に、著書を引用しながら「安心基地」について見ていきます。
私が提唱する「安心基地」とは、ポジティブな感情を生じさせてくれる感情の基地です。
大切なのは、「安心基地」を、「誰か」と「つながる」ことでポジティブな気持ちを生み出してくれる感情の基地として位置づけていることです。
著書では、「安心基地」機能は、○○さんといると気持ちが落ち着く、楽しい気持ちになるなど、ポジティブ感情を生じさせてくれるために相手とつながる機能としています。
私たちは、何か不安なことがあると、そのネガティブな感情を軽減・回復しようと安心できる人との関わりを欲することがあります。
さらに、安心できる・信頼できる人との関わりは、何も不安感の軽減・回復だけではなく、ポジティブな感情を生じさせてくれるものでもあります。
「安心基地」機能とは、このように特定の人と関わること・繋がることで、快の感情(ポジティブ感情)を生じさせる機能・強化させる機能があります。
最後に、再び著書を引用します。
こどもたちの行動を「安全基地」と「安心基地」の視点から観察すると、その子の愛着障害の原因がクリアになり、支援の方向性が見えてきます。
このように、専門家の間でも「安全基地」と「安心基地」が混同されて使用されている中で、著書は、両者を明確に分けて考えていくことで、愛着障害への理解と支援の方向性が見えてくるとしています。
以上、愛着形成で重要な「安全基地」と「安心基地」の違いについて見てきました。
愛着形成の3つの機能を抑えていくことは、愛着の理解、愛着障害の理解においてとても大切です。
さらに、今回取り上げた「安全基地」と「安心基地」など、一見すると似ている用語でもあるため、こうした用語を整理し理解していくことは愛着障害の支援においてとても重要です。
私自身、療育現場で様々な子どもたちと関わる立場として、愛着の視点はとても大切だと実感しています。
まだまだ未熟ですが、今後も、今回取り上げた、愛着の3つの機能をしっかりと抑えていきながらより良い支援を目指していきたいと思います。
最後まで読んで頂きありがとうございました。
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米澤好史(2022)愛着障害は何歳からでも必ず修復できる.合同出版.