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強度行動障害 療育

強度行動障害とは何か?療育経験を通して関わり方で大切な視点について考える

投稿日:2022年7月11日 更新日:

行動障害というと、自傷や他害、パニックや激しいこだわりなどがあります。

著者もこれまで程度の差はあれ、行動障害が見られている児童との関わりもありました。

以前の著者は行動障害の知識や対応などほとんど知らなかったため、止めるといった対応に限定されていたように思います。

 

それでは、そもそも強度行動障害とは一体何か?どのような特徴があるのでしょうか?

 

そこで、今回は、強度行動障害について説明していきながら、著者の療育経験を通して関わり方で大切な視点についても合わせて考えていきたいと思います。

 

 

今回、参照する資料は「小林隆児(2001)自閉症と行動障害:関係障害臨床からの接近.岩崎学術出版社.」です。

 

 

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強度行動障害とは何か?

以下、著書を引用します。

行動障害児(者)研究会は、「強度行動障害」を以下のように定義している。

「強度行動障害児(者)とは、直接的他害(噛みつき、頭つき等)や、間接的他害(睡眠の乱れ、同一性の保持、場所・プログラム・人への拘り、多動、うなり、飛び出し、器物破損等)や自傷行為などが、通常考えられない頻度の形式で出現し、その養育環境では著しく処遇の困難な者をいい、行動的に定義される群である。その中には医学的には、自閉症児(者)、精神薄弱児(者)、精神病児(者)等が含まれるものの、必ずしも医学により定義される群ではない。主として、本人に対する総合的な療育の必要性を背景として成立した概念である」。

非常に長い引用になりましたが、強度行動障害の内容として、直接的・間接的他害や自傷など様々なものがあり、その頻度が非常に高いこと、養育環境での対応が難しく、療育の必要性を背景として成立した概念とされています。

 

 


それでは、次に行動障害の観点から、著者の療育経験を通して関わり方で大切な視点についてお伝えします。

 

著者のコメント

著者はこれまで行動障害とまではいかなくとも、その手前にいると想定される子どもたちと関わってきました。

その中で、大切な視点は予防です。以下、いくつか事例を見ていきましょう。

 


最初に、うまくいかないと他害や自傷を見せるお子さんA君について見ていきましょう。

A君は、自分が使いたいものを他児が使っていたり、他児が急に寄ってくると他児に物を投げたり叩くなどの他害、思い通りにいかないとドアに頭をぶつけたりするといった自傷などが見られる子どもでした。。

当時の著者はこうしたA君の行動に対して止める働きが大半でした。

しかし、関わりを継続していく中で、A君が他害や自傷を見せる場面がある程度特定できるようになってきました。

そのため、最初に取り組んだものとして、他害や自傷を起こさないような環境設定を考えるというものでした。

例えば、他児との間には必ず大人が入る、A君が好む活動をしっかりと抑えまずはその活動ができる状況を作るなど、一見簡単そうに見えますが、その他の子どもも見ながらになると容易ではありませんでした。

しかし、関わるスタッフがこうした予防的な視点で環境調整することにより、他害や自傷は非常に減り、逆に、スタッフにお願いしていくるようになりました。

この事例を振り返って見ても、他害や自傷といった行動がどのような場面や文脈で生じるのかを把握し、それを防止するといった未然の策を講じていくことはとても大切だと思います。

 


次に、感覚遊びに没頭しすぎてしまい普段の生活に支障が出ているB君について見ていきましょう。

B君は、水遊びに没頭する特徴のあるお子さんでした。

そのため、来所して直ぐに台所の水道に直行し、水をたくさん出してその感覚に浸ります。

あまりにも没頭しているので、途中で中断したり、事前におしまいを伝えても、癇癪やパニックを起こします。そのため、当初は大泣きする毎日でした。

こうしたB君に対して取り組んだものとして、水遊び以外の楽しめる活動を探し取り入れていくということでした。

例えば、水が好きならペットボトルに水を入れその中に光る紙を入れるなどのおもちゃの作成、トランポリンや毛布ブランコなどの感覚遊びを少しずつ実践していきました。

継続した取り組みにより、B君は、水遊びをある程度行うと次の活動に注意を向けるなど、特定の感覚刺激以外にも興味を持つようになりました。

また、関わる大人にスキンシップを求めてくるなど、人に対しても関心を向ける様子が増えていきました。

この事例を振り返って見ても、特定の感覚刺激に没頭するといった強いこだわりに対して、他の活動を作っていくこと、また、その中で大人との関係性を作っていくことは、長い取り組みにはなりますが、予防の視点からは大切なことだと思います。

 

 


以上、2事例を取り上げながら、行動障害の予防の視点についてお伝えしてきました。

行動障害への理解と対応はとても根気のいる取り組みであり、また、多くのスタッフとの連携も必要不可欠だと思います。

そして、行動障害もその背景となる発達段階や発達特性など個々の状態像に応じて、理解や取り組みなども変わってくるかと思います。

大切なことは予防の視点です。つまり、行動の背景をつかむこと、その行動を起こさないように未然に環境調整をすることが大事になってきます。

私自身、まだまだ未熟ですが、今後も行動障害について理解を深め、二次障害を予防していけるように、日々の療育での実践を大切にしていきたいと思います。

最後まで読んで頂きありがとうございました。

 

小林隆児(2001)自閉症と行動障害:関係障害臨床からの接近.岩崎学術出版社.

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