愛着に問題を抱えている人への支援・介入にとって大切なことは、「安全基地」となる人の存在です。
「安全基地」となる人の多くは、安定型愛着スタイルの人が多いことも様々な書籍などで書かれています。
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それでは、安定型愛着スタイルの人が持つ特徴として不安定型との違いには何があるのでしょうか?
具体的にみると様々あるかと思いますが、今回は、安定型愛着スタイルの人の特徴として、「メタ認知」と「振り返る力」について見ていきたいと思います。
「メタ認知」と「振り返る力」は安心型の愛着スタイルの特徴としてとてもキーとなる大切な特徴になります。
今回、参照する資料は「岡田尊司(2016)愛着障害の克服:「愛着アプローチ」で、人は変われる.光文社新書.」です。
安定型愛着スタイルの人の特徴【メタ認知と振り返る力から考える】
「メタ認知」から考える
以下、著書を引用します。
安定型の人と不安定型の人の語りや思考の違いは、安定型の人では、「メタ認知」という心の動きがよく発達しているということである。
「メタ認知」とは、物事を俯瞰的に、客観的にみることを言います。
例えば、AさんがBさんと口論になったとしましょう。
その際に、Aさんのメタ認知能力が低いと、自分の言い分の正当性にばかり着目してしまいます。また、Bさんの言動すべてをネガティブなものとして捉えてしまうこともあります。
一方で、Aさんのメタ認知能力が高いと、相手Bさんの言い分を踏まえて、他の視点などはないか?といったより俯瞰的・客観的に物事を見ようとします。
安定型の人は、不安定型の人と比べて、こうした「メタ認知」能力が高いと言われています。
同時に、「メタ認知」能力が高い人は、「振り返る力」も高いと言われています。
「振り返る力」から考える
以下、著書を引用します。
問題にしっかりと向き合うと同時に、客観的に事実を受け止め、過剰反応しないというスタンスと最も関係していると考えられるのが、「振り返る力」である。
振り返る力は、自らを反省する力であるとともに、相手の気持ちを推測し、汲み取る力でもある。さらに、状況から一歩下がって、事態を高みから俯瞰するように、大きな視点で眺める能力でもある。
著書の内容を見てもわかるように、メタ認知能力が高いと、物事をより客観的・第三者の視点で見よう・考えようとします。こうした能力が高いことは、自らの言動や行動を修正する力、つまり、「振り返る力」に直結してきます。
例えば、「振り返る力」が低い人は、「メタ認知」能力も低いため、些細なマイナスな出来事や、他者の言動などに左右されやすいことが想定されます。
こうした人は、ネガティブ感情が沸き起こると、そこから立て続けに悪い気分や記憶が生起して、怒りや悲しみ、自己否定感などを抱えやすい傾向があると言えます。
一方で、「振り返る力」が高い人は、「メタ認知」能力も高いため、自分の身に起こるマイナスな出来事を様々な角度から捉え直すことでネガティブ感情を軽減したり、自分がとった行動や言動を修正しながら、より良い方向へと行動を動機付けることを可能とします。
このように、「メタ認知」と「振り返る力」は、人生をより楽観的に生きやすいものにするために必要な能力になります。
そして、安定型愛着スタイルの人は、「メタ認知」と「振り返る力」が高いとされています。
不安定な愛着スタイルの人にとって大切なことは、以上の特徴をもつ安定型愛着スタイルの人との関わりです。
安定型愛着スタイルの人が持つ人の特徴は、意識的・無意識的に不安定な愛着スタイルの人にとって安心感を与えるものになります。
以上、安定型愛着スタイルの人の特徴【メタ認知と振り返る力から考える】について見てきました。
愛着に問題を抱えている人は現代社会において非常に多くいると言われています。
また、個人差も重度から軽度まで様々です。
大人になっても続くと言われている愛着障害は、できるだけ早期の発見・支援が必要です。
そして、対人支援によってのみ改善効果が期待できるものであるため、今回取り上げた安定型愛着スタイルの人との関わりがともて大切になります。
私自身、まだまだ未熟ですが、今後も愛着の問題に対しても、学びを深めていきながら、療育現場で子どもたちの「安全基地」となれるように頑張っていきたいと思います。
最後まで読んで頂きありがとうございました。
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岡田尊司(2016)愛着障害の克服:「愛着アプローチ」で、人は変われる.光文社新書.