発達障害というと、日本においては自閉症やADHD、そして、学習障害などを指すことが多くあります。
最近では、運動を主訴とした問題の〝発達性協調運動障害”も少しずつ認識されるようになってきています。
上記の中で、自閉症やADHDなどは文献数や社会的な認識も高まってきています。
一方で、学習障害と発達性協調運動障害に関しては、大人までも対象に含めると、まだまだ、社会の中での認知度も低く、研究も途上であるというのが現状です。
そうした中で、最近では、障害の併存という観点も重要視されています。
学習障害には〝書く″ことの困難さ、発達性協調運動障害にも〝書く″ことの困難さ、といったどちらにも〝書く″という行為の躓きが見られます。
それでは、学習障害と発達性協調運動の両方に見られる書くことの困難さの背景には、どのような違いがあるのでしょうか?
そこで、今回は、学習障害と発達性協調運動障害の関係について、〝書く”という行為を通して、背景要因の違いの理解を深めていきたいと思います。
今回参照する資料は、「若宮英司(2017)特集 限局性学習症(学習障害) LDとDCD,視覚情報処理障害」です。
学習障害と発達性協調運動障害の関係:〝書く”という行為の違いについて
学習障害も発達性協調運動障害も学習に対してネガティブに働きます。
しかし、それぞれが異なる脳機能に基づく診断であるため、学習に対しては異なる影響を及ぼします。
両者が関係する学習の障害の領域は、主に書字や筆記、筆算などの「書くこと」です。
それでは、「書く」ということにおいて、学習障害と発達性協調運動障害にはどのような特徴の違いがあるのでしょうか?
以下、著書を引用しながら見ていきます。
学習障害の場合
・文字をなかなか思い出せない
・書けない
・誤った文字を書く
➢音韻-文字変換困難のために文字を想起するのに時間を要する:コーディングの困難さ
発達性協調運動障害の場合
・筆圧が弱い
・文字のパーツの比率がおかしい
・文字や文がはみ出している
・文字の大きさが揃っていない
・行がゆがんでいる
・書くのが遅い
・算数では、筆算の桁をずらして書くので、計算を誤る
➢動作のスムーズさの問題
このように、「書く」ということにおいても、学習障害か、あるいは、発達性協調運動障害かで症状が異なってきます。
学習障害は、音声を文字に変換する困難さ、発達性協調運動障害は、動作の困難さを特徴としています。
それぞれ、「書く」という学習面において見られる困難さですが、背景となる要因と特徴が異なるという認識がとても重要です。
また、学習障害と発達性協調運動障害の合併の頻度は高く、実際に合併しているケースが多いことも知られています。
問題となる基本的な質の違いに着目して、症状の内容を分けて考えることが必要となります。
以上、【学習障害と発達性協調運動障害の関係】〝書く”という行為の違いを通して考えるについて見てきました。
学習障害や発達性協調運動障害はまだまだ今後発展していく領域かと思います。
その際に、一つの症状だけに目を向けずに他の症状などと、どのような違いがあるのか、そして、併存する場合なども踏まえて検討していく必要があります。
今後も、発達障害をより深く知っていくために、様々な症状についての特徴を理解していきながら、現場にその知見を活かしていきたいと思います。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
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発達性協調運動障害に関連するお勧め書籍紹介
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若宮英司(2017)特集 限局性学習症(学習障害) LDとDCD,視覚情報処理障害.児童青年期精神医学とその近接領域,58(2),246-253.