反抗挑戦症/反抗挑戦性障害は、ADHDの二次障害として発症することが多いと言われています。
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ADHDの特徴の中に、衝動性があり、衝動性は時に攻撃行動や他者に対する攻撃的な言動が見られることがあります。
一方、反抗挑戦性障害は他者や社会に対する批判や攻撃性などが顕著に見られます。
著者の療育現場にも、ADHDの子ども、そして、おそらくADHDの特性がもともとあり、それに加え二次障害として反抗挑戦性障害が見られるケースの両方のタイプがいる(いた)と感じています。
それでは、ADHDと反抗挑戦性障害の両者には行動上どのような違いがあるのでしょうか?
そこで、今回は、反抗挑戦性障害の特徴について、ADHDの衝動性との違いから考えを深めていきたいと思います。
今回参照する資料は「齊藤万比古(編著)(2009)発達障害が引き起こす二次障害へのケアとサポート.学研.」です。
反抗挑戦性障害の特徴【ADHDの衝動性との違いから考える】
それでは、以下、著書を引用しながら見ていきます。
発達障害の中でも他者への攻撃性が幼児期や学童期早期に目立つ子どもの大半は、ADHDの衝動性に由来するものであり、これは二次障害とは全く次元の異なる問題である。
著書の内容から、ADHDの衝動性には、幼児期や学童期頃から他者への攻撃性などが見られるとしていますが、こうした攻撃性は二次障害とは質的に異なる問題としています。
ADHDの衝動性から生じる攻撃性は、イライラ感が直ぐに高まったり、他者に手を上げようとしたり、思ったことを直ぐ他者の視点を考えずに話す様子からトラブルに繋がりやすい行動です。
しかし、思い立ったらすぐに行動に移す力、様々なことに興味を持つ力など、環境次第では強みにもなります。
一方、著者が関わりのあるADHDの二次障害として生じる反抗挑戦性障害は、こうしたADHDの衝動性が持つ攻撃性とは、一見、行動面だけを見ると似ている点もありますが、根底には全く違うものであるという感じがします。
それでは、両者の違いについて、引き続き著書を引用しながら見ていきます。
これらが二次障害としての反抗と異なるところは、制止に対して見せる攻撃的な反応の直後に、それを忘れたかのようにすぐにその大人に近寄っていったり、ほめられると大喜びしたりという形で現れる、気のよさや人なつっこさが優勢に存在しているという点である。
これに対してADHDの二次障害としての反抗挑戦性障害(ODD)は、反抗的な態度や行動が、制止や叱責に対する衝動的な怒りの反応というにはあまりにその水準を超えているところに特徴がある。すなわち、反抗挑戦性障害の症状としての反抗は、通常のADHDの衝動的怒りと攻撃的言動の量だけではなく、明らかに質の違いがあるということに注目すべきである。
著書の内容から、ADHDの衝動性からくる攻撃性は、その行動を止めた後に見せる、気持ちの切り替えの早さに特徴があると言えます。
つまり、行動を制止した後に、以前の怒りを忘れたり、注意・制止した大人に気さくに寄っていくなどの特徴が見られるとしています。
確かに、著者が見ているADHD児にも、攻撃的行動を制止するとそれ以前の怒りはどこにいってしまったかと感じるほど、注意の転導性が激しいという印象があります。
一方で、反抗挑戦性障害はどうでしょうか?
著者の内容から、反抗挑戦性障害に見られる反抗的態度や行動は、ADHDの衝動的攻撃行動などとは、明らかに質的に違い、その水準が明らかに度を超えているとの記載があります。
著者が見ている反抗挑戦性障害の子どもも、他者への批判が激しく、一度、怒りに火が付くとそこから落ち着くまで非常に時間がかかるという印象があります。
また、翌日以降もイライラ感を引きずってくるなど、気持ちが安定するにもADHDの衝動性から生じる怒りとは質的に違う感じがします。
このように、著書に記載されている内容と合致することが著者の療育現場でも実感することが多くあります。
そのため、ADHDの衝動性への理解と対応、反抗挑戦性障害といった二次障害への理解と対応の両方を学んでいくことが大切だと思います。
以上、反抗挑戦性障害の特徴【ADHDの衝動性との違いから考える】について見てきました。
反抗挑戦性障害は非常に関わる上で苦慮することが多いと感じます。
しかし、反抗挑戦性障害がさらにエスカレートして素行障害へとなる前にくい止めることが非常に大切です。
私自身、まだまだ未熟ではありますが、今後も療育経験を通して、発達障害の特性理解を深めていきながら、同時に、今回取り上げたような反抗挑戦性障害などの二次障害の理解についても学びを深めていきたいと思います。
最後まで読んで頂きありがとうございました。
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齊藤万比古(編著)(2009)発達障害が引き起こす二次障害へのケアとサポート.学研.