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【ディスレクシアに向いている仕事とは何か?】4つの強みに適した仕事について見る

投稿日:2022年3月6日 更新日:

知能は正常でありながらも、読み書きに障害がある人たちのことを〝ディスレクシア”と言います。

読み書きに障害があると、学習での困難さは当然として、日常生活や社会生活など様々な大変さが生じると考えられています。

 

関連記事:「ディスレクシアとは何か?:読み書きに困難のある人たちについて考える

 

一方で、ディスレクシアは様々な強みもあると考えられています。

その強みとは、「空間把握能力」「相互関係性把握能力」「物語理解能力」「シミュレーション能力」の4つがあると言われています。

 

関連記事:「【ディスレクシアの4つの強みについて】著者の経験談も踏まえて考える

 

それでは、ディスレクシアが持つ4つの強み適した仕事にはどのようなものがあるのでしょうか?

 

そこで、今回は、ディスレクシアに向いている仕事とは何かについて、4つの強みに適した仕事を通して理解を深めていきたいと思います。

 

 

今回参考にする資料として、「ブロック・L・アイディ/ファーネット・F・アイディ(著)藤堂英子(監訳)辻佑子・成田あゆみ(訳)(2021)ディスレクシアだから大丈夫!視点を変えると見えてくる特異性と才能.金子書房.」を取り上げていきます。

 

 

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【ディスレクシアに向いている仕事とは何か?】4つの強みに適した仕事について見る

ディスレクシアの4つの強みに適した仕事について紹介していきます(以下、著書引用)。

 

空間把握能力

①<空間把握能力>の強さを生かした仕事

エンジニア、整備士、建設(電気設備、大工、配管工、建設業者)、数学者、インテリアデザイナー、工業デザイナー、イラストレーター、グラフィック・アーティスト、グラフィック・デザイナー、建築士、医師(外科、放射線科、病理学、心臓病学)、画家、彫刻家、写真家、映画制作者、ディレクター、公園・造園技師/庭師、航海士、パイロット、歯科医、矯正歯科医、歯科衛生士

 

 

相互関係把握能力

②<相互関係性把握能力>の強さを生かした仕事

コンピューター/ソフトウェア・デザイナー(ネットワーク、プログラミング、システム・アーキテクチャ)、科学者(動物学、生化学、遺伝学、化学、環境学、地学、恐竜学、物理学、天文学、宇宙物理学)、自然保護活動家、環境活動家、発明家、美術館/博物館のディレクター、ファッション・デザイナー、仕立・縫製職人、舞踏家、振付師、ミュージシャン、俳優、シェフ、歴史学者、政治学者、社会学者、人類学者、哲学者、コメディアン、看護師、施術者、作業療法士、スポーツセラピスト、トレーナー

 

 

物語理解能力

③<物語理解能力>の強さを生かした仕事

詩人、作詞・作曲家、小説家、文学者、ジャーナリスト、脚本家、カウンセラー、心理学者、聖職者、コーチ、教師、演説者・セミナー講師、政治家、ゲームデザイナー、法律家(特に告訴、租税法、被告側弁護士・検察、仲裁)、営業、マーケティング、広告、広報

 

 

シミュレーション能力

④<シミュレーション能力>の強さを生かした仕事

起業家、CEO、金融(トレーダー、投資家、ベンチャー・キャピタリスト)、中小企業のオーナー、企業コンサルティング、物流、プランニング、会計(税理士、会計コンサルティング、CFO(最高財務責任者))、経済学(特にマクロ経済学)、医師(免疫学、リウマチ学、内分泌学、腫瘍学)、農場・牧場経営者

 

以上が、著書の中で紹介されているディスレクシアに向いている仕事になります。

こうした強みはディスレクシアの人の中には、1つあるいは複数存在していると言われています。

 

 

著者のコメント

こうして上記の仕事を見ると非常にディスレクシアの強さを生かした仕事が多く存在しているのだと感じます。

ディスレクシアと言えば、どうしても読み書きができないことによるマイナスのイメージを強く持ってしまうことがあります。

そのため、苦手なことをカバーしながらできる仕事を探すといった視点が強くなることで、職業選択の幅が狭くなることもあります。

一方で、著書の中では、ディスレクシアがあったために、他の部分が強化され、それが後の進路や仕事に繋がったという成功事例が数多く載っています。

なかなか、このようなポジティブな視点からディスレクシアというものを取り上げてものは少ないと思いますので、著者の中で価値観の転換が生じました。

ディスレクシアの人たちは、定型の人とは異なる脳をしているため、学び方も異なると言われています。

大切なことは、ディスレクシアの苦手さばかりに焦点が当たることで、本来秘めている可能性に議論が及ばないことだと思います。

そして、読み書きの苦手さなどから、自己肯定感が低下し、それが将来の可能性を阻害してしまわないようにしていくことも大切だと言えます。

 

 


以上、【ディスレクシアに向いている仕事とは何か?】4つの強みに適した仕事について見るについて見てきました。

私自身、今後も様々な発達特性を理解していきながら、将来の可能性に繋がるような支援ができるように、日々の療育を大切にしていきたいと思います。

最後まで読んで頂きありがとうございました。

 

 


学習障害に関するお勧め書籍紹介

関連記事:「学習障害(ディスレクシア)に関するおすすめ本【初級~中級編】

 

 

ブロック・L・アイディ/ファーネット・F・アイディ(著)藤堂英子(監訳)辻佑子・成田あゆみ(訳)(2021)ディスレクシアだから大丈夫!視点を変えると見えてくる特異性と才能.金子書房.

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