診断に先立つ(診断ではなく)発達特性の評価方法に〝MSPA″があります。
〝MSPA″は、発達特性を含めた14項目の評価が可能であり、評価結果の全体像をレーザーチャートとして可視化し、支援に繋げていくことができます。
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それでは、〝MSPA″の評価には変動はないのでしょうか?
そこで、今回は、何故、MSPAの評価は変動しいないのか?について、MSPAは生得的な発達特性を評価するといった内容から考えを深めていきたいと思います。
今回参照する資料は「船曳康子(2018)MSPA(発達障害の要支援度評価尺度)の理解と活用.勁草書房.」です。
MSPAの評価は変動しないのか?
MSPAの評価は変動しなのかという問いに対して、その答えはタイトルにもある通り、〝MSPAの評価は変動しない″です。
それでは〝なぜMSPAの評価は変動しないのでしょうか?″
次に、この点について見ていきます。
MSPAは生得的な発達特性を評価する
以下、著書を引用しながら見ていきます。
MSPAは、(中略)現在の適応状態ではなく、生来の発達特性による困り度を評定するという点に最大の特徴があります。
MSPAは幼少期からの発達歴を縦断的に丁寧に聴取し、環境の要因をできるだけ除いて、生来の変わりにくい部分を抽出して評定するため、その得られる情報に変化がなければ、スコアはあまり変動しないものとして設計されています。
著書の内容から、〝MSPA″は、発達歴の聞き取りを通して、生来的に変動の少ない発達特性を理解するために設計されているため、スコアに変動がないとされています。
つまり、現状の状態ではなく、もともと持っている〝発達特性″にフォーカスして評価している点に特徴があります。
そのため、評価点が仮に高くても(もともと持っている特性が強い)、その人にあった環境や本人が特性を踏まえた適応方略を見出している場合もあります。
こうした場合には、評価点は高く評定されます。
一方で、評価点が低くても(もともと持っている特性が弱い)、その人に合っていない環境や適応方略が見いだせていない場合もあります。
こうした場合には、評価点は低く評定されます。
こうした内容からも、環境の影響や個人の適応方略などの要因を除いた、もともと持っている生得的な発達特性を評価しているということになります。
以上、【MSPAは生得的な発達特性を評価する】MSPAの評価は変動しないのか?について、見てきました。
日本を含め世界を見渡しても、〝MSPA“のような、様々な発達特性の全体像を理解できるツールは少ない現状があります。
著者は療育現場で発達に躓きある様々な子どもたちを見ていて感じることは、様々な発達特性は併存したり、強弱があるなど非常に多様だということです。
そのため、〝MSPA″は非常に現場向き・実践に役立つ評価ツールだと感じています。
私自身、まだまだ未熟ではありますが、今後も様々な発達特性への学びと理解を深めていきたいと思います。
最後まで読んで頂きありがとうございました。
船曳康子(2018)MSPA(発達障害の要支援度評価尺度)の理解と活用.勁草書房.