発達理解・発達支援・ブログ

人間の多様な理解と支援を目指して!

ADHD 言語発達

【ADHDの言語発達への支援について】支援で大切な視点とは何か?

投稿日:2023年4月2日 更新日:

ADHD(注意欠如多動症)とは、不注意・多動性・衝動性を主な特徴としている発達障害です。

ADHDというと、上記のような行動面に着目されがちですが、言語発達に遅れのあるケースもあると言われています。

 

それでは、ADHDの言語発達への支援にはどのような視点が大切となるのでしょうか?

 

そこで、今回は、ADHDの言語発達への支援について、臨床発達心理士である著者の経験談も交えながら、支援で大切な視点とは何かについて理解を深めていきたいと思います。

 

 

今回参照する資料は「小椋たみ子・小山正・水野久美(2015)乳幼児期のことばの発達とその遅れ-保育・発達を学ぶ人のための基礎知識-.ミネルヴァ書房.」です。

 

 

スポンサーリンク

 

 

ADHDの言語発達への支援について

以下、著書を引用しながら見ていきます。

ADHDの子どもの支援に関しては、(中略)「内言」の発達が注目されています。

 

内言は、年長児ぐらいから発達すると考えられていますが、活動の動機づけ、計画化(プランニング)、思考の実行、行為のコントロール・調整にかかわり、注意、記憶、情動面の機能やその賦活化にも深くかかわっています。

 

著書の中では、ADHDの言語発達への支援で大切な視点として、〝内言″の発達があると記載されています。

〝内言″とは、〝外言″が外に音声として言葉を出すことに対して、音声として外に音を表出せずに自分の内部で言葉を操作することを言います。

発達心理学では、〝外言″→〝内言″へと言葉発達が進むと言われており、子どもが〝思考の道具″として言葉を操作する際に、初めは〝外言″を使用し、そこから少しずつ〝内言″へと移行していくと言われています。

〝内言″の役割には、行動調整やプランニングなど、ADHDが特性上苦手としている所を補う、あるいは伸ばす働きがあります。

こうした点から、〝内言″を育てていくことが、ADHDの言語発達への支援では大切だということになります。

 

 


それでは、〝内言″を育てていくためにはどのような支援が大切となるのでしょうか?

この点について以下、引き続き著書を引用しながら見ていきます。

すなわち、他者のことばの主体的な取り入れと意味づけが関係しています。

 

著書の中では、他者のことばの主体的な取り入れや意味づけとして、代弁、並行語り、気持ちを言語化すること、絵本の読み聞かせなどを例に上げています。

人は様々な体験を通して言葉を獲得していきます。

そして、言葉発達には、他者が自身の体験をどう意味づけるかということも言葉の豊かな発達にとって大切になります。

例えば、子どもが様々な体験をしている傍で、大人が体験の意味を言葉にしたり、喜怒哀楽といった感情語を言葉にしていくことで、体験から深い意味を見出す力が言葉によって育まれていき、こうした経験が重なることは他者の言葉を主体的に取り入れていくことにも繋がっていきます。

そして、こうした経験の充実が、〝内言″の育ちにプラスに影響してくると言えます。

〝内言″の育ちが充実していくことで、自分の行動を調整したり、今後の予定をプランニングするなどの力が育まれていくと考えられます。

 

 

スポンサーリンク

 

 

著者の経験談

著者がこれまで関わってきた子どもたちの中にも、関わる大人が子どもの体験をどう意味づけるかで、その後の行動が変化していくと感じることがあります。

例えば、他児が、自分が作った工作を誤って壊してしまったという体験において、以前は、苛立ちを露わにしていた子が、関わる大人が他児の意図を伝えること、そして、壊されてしまった子どもの残念であり、悔しい気持ち、さらには、今後どうしていけば良いかなどの見通しを言葉にしていくことで、気持ちのコントロールがうまくなっていったと感じるケースも多くあります。

こうした行動の変化には、今思うと〝内言″の育ちも少なからず影響しているように思います。

そのため、日々の療育の中で、子どもたちにかける言葉の質と量は〝内言″及び〝内面″の成長・発達においてとても大切なものであると実感しています。

 

 


以上、【ADHDの言語発達への支援について】支援で大切な視点とは何か?について見てきました。

自分の人生を振り返って見ても、周囲からどのような言葉をかけてもらっていたのか、そして、自分が本などを通してどのような言葉と出会ってきたのかによって、人の人格は作られていくのだと思います。

私自身、まだまだ未熟ではありますが、今後も言葉の持つ意味や重要性について理解を深めていきながら、日々の療育での取り組みを充実したものにしていきたいと思います。

最後まで読んで頂きありがとうございました。

 

 

関連記事:「【ADHDの言語発達の特徴について】発達障害児・者との関わりを通して考える

関連記事:「ADHD児の支援で大切な5つのこと【療育経験を通して考える】

 

 

小椋たみ子・小山正・水野久美(2015)乳幼児期のことばの発達とその遅れ-保育・発達を学ぶ人のための基礎知識-.ミネルヴァ書房.

スポンサーリンク

-ADHD, 言語発達

執筆者:


comment

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

関連記事

【ADHDの言語発達の特徴について】発達障害児・者との関わりを通して考える

ADHD(注意欠如多動症)とは、不注意・多動性・衝動性を主な特徴としている発達障害です。 ADHDと言えば、忘れ物が多い、片付けができない、順番が待てない、他人が話しているときに急に話し出す、落ち着き …

【ADHDの〝脳″について】〝脳番地″のタイプと成長の法則から考える

ADHD(注意欠如多動性障害)とは、不注意、多動性、衝動性を主な特徴とした神経発達障害の一つです。 ADHDの理解というと以上の3つの特性についての説明が多く、中でも行動特徴との関連性の指摘が多く見受 …

ADHD児への療育-多動性の対応について-

ADHD(注意欠如多動症)とは、多動性・衝動性・不注意を主な特徴としています。 ADHDにも多動性・衝動性が強くでるタイプ、不注意が強くでるタイプ、両者の特徴が混ざっている混合型など様々なタイプがあり …

発達障害という概念を知ることの大切さ:ADHDを例に考える

自閉症、ADHD、学習障害、発達性協調運動障害などのことを発達障害と言います。 自閉症は対人関係やコミュニケーションに困難さを有するもので、ADHDは不注意・多動性・衝動性などを主な特徴としています。 …

【ADHDとASDの共通点と違いとは?】発達障害の併存も含めて考える

発達障害が社会の中で認識される機会が以前より増えてきています。 このような背景には、学術的な理解の広がりや当事者やその家族からの発信など、情報を通して多くの人が発達障害を知る機会が増えてきたことがある …