発達理解・発達支援・ブログ

人間の多様な理解と支援を目指して!

変わるのか IQ

【IQ(知能指数)の数値は変わるのか?】発達障害児支援の経験を通して考える

投稿日:

IQ(知能指数)とは、平均を100として、多くの人たち(統計上68.2%)がIQ85~115の間に入るようにできています。

また、70~130までの範囲には95.4%の人が入る計算になります。

IQを測る主な検査として、ウェクスラー式知能検査が有名です。

 

私たちは、一般的にはIQが高いと頭が良いと解釈することが多くあります。

 

それでは、そもそもIQの数値は変わるものなのでしょうか?

また、努力によってIQの数値は変動するのでしょうか?

 

そこで、今回は、IQ(知能指数)の数値は変わるのかについて、臨床発達心理士である著者の発達障害児支援の経験も交えながら理解を深めていきたいと思います。

 

 

今回参照する資料は「熊上崇・星井純子・熊上藤子(2024)WISC-V・KABC-Ⅱ対応版 子どもの心理検査・知能検査 保護者と先生のための100%活用ブック.合同出版.」です。

 

 

スポンサーリンク

 

IQ(知能指数)の数値は変わるのか?

以下、著書を引用しながら見ていきます。

「将来もずっと同じではないですし、絶対的な数値ではありません」

 

IQの数値は、揺れ動いたり、幅があるものです。例えば、体調が今ひとつだったり、緊張して能力が発揮できないときもあるし、学校や家庭で心配事があって集中できなかったかもしれません。そのときの影響を受けやすいデリケートなもので、数値はあくまでも検査を受けたときのものであり、絶対的なものではありません。

 

著書の内容から、IQ(知能指数)の数値は変わることもある、絶対的なものではない、と言えます。

変わることの要因としては、検査を受ける際のコンディションがあります。

例えば、体調不良や緊張が強い状態であれば、検査に集中することができない場合もあるということです。

 

著者は放課後等デイサービスで発達障害など発達に躓きのある子どもたちとの関わりがあり、支援の参考にするため、心理検査の結果を保護者の方に見せて頂くことがあります。

心理検査を再度受ける場合には、ある程度の間隔を空ける必要がありますが、数年前に受けた結果と、現在受けた結果との間に大きな開きがある子どももいます。

その際に、保護者の方に検査時の様子を聞くと、検査に集中できなかったケースも少なからずあります(IQの数値が低下したケース)。

そのため、検査時の様子から子どもがそもそも検査に集中できていたのか?それをもとに検査結果の内容を検討することも大切だと感じています。

 

 

IQ(知能指数)は伸ばすことができるのか?

以下、著書を引用しながら見ていきます。

IQは学力と違って努力では伸びない

 

著書の内容から、IQ(知能指数)は、学力とは異なり、練習など努力では伸びることは難しいと考えられています。

もちろん、知識を豊富に習得した結果、言語理解といった指標が伸びる可能性もあるかもしれません(結果、IQの数値に影響するなど)。

ワーキングメモリといった記憶に関する能力が向上したことで、IQ値が向上する場合もあるかもしれません。

しかし、もともと、IQとは生得的な影響が強いこと、さらには、IQを調べる目的は、本人の得意・不得意といった様々な能力のバランス(個人間差・個人内差)を理解し、それに対するアプローチを取ることが大切な視点だと言えます。

そのため、努力でIQを伸ばそうといった考え方には、ほとんど意味がないと言えます。

 

 

スポンサーリンク

 

著者の経験談

前述した内容から、IQの結果は、検査を受けるその日のコンディション次第で変化することもあると言われています。

一方で、知的障害児や発達障害児などと接しているとIQが急激に向上した例は少ないように思います。

もちろん、例外等もあるかもしれませんが、著者の実感としては、概ねIQは変化しない印象があります(もちろん、ある程度の変動の幅はあります:信頼区間)。

つまり、IQの結果は、検査にある程度集中して取り組むことができた場合には、概ね変わらない(大幅な変動は少ない)可能性があると言えます。

大切なことは、子ども一人ひとりが自己の能力を発揮できるような課題や環境を整えていくこと、そのための判断材料として検査の結果を活用していくことだと思います。

 

関連記事:「知能指数は変化するのか【発達障害を例に考える】

 

 


以上、【IQ(知能指数)の数値は変わるのか?】発達障害児支援の経験を通して考えるについて見てきました。

IQの数値は、人間の様々な能力の一部です。

また、最近では、IQ以上に非認知能力といった知性の重要性が指摘されるようになってきています。

私自身、まだまだ未熟ではありますが、今後も知能とは何かといった壮大なテーマについて学びを深めていきたいと思います。

最後まで読んで頂きありがとうございました。

 

 

関連記事:「【〝認知能力″と〝非認知能力″との関係】〝非認知能力″を鍛えることの重要性について

 

 

熊上崇・星井純子・熊上藤子(2024)WISC-V・KABC-Ⅱ対応版 子どもの心理検査・知能検査 保護者と先生のための100%活用ブック.合同出版.

スポンサーリンク

-変わるのか, IQ

執筆者:


comment

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

関連記事

関連記事はありませんでした