〝非認知能力″は、創造性や好奇心、興味・関心、意欲、自主性、主体性、自制心、自信などと言われています。
上記の内容を見ても分かるように〝非認知能力″には様々な要素があります。
そして、〝非認知能力″はここ最近注目が集まってきています。
それでは、非認知能力はなぜ注目されているのでしょうか?
そこで、今回は、非認知能力はなぜ注目されているのかについて、臨床発達心理士である著者の療育経験も交えながら理解を深めていきたいと思います。
今回参照する資料は「森口佑介(2023)10代の脳とうまくつきあう 非認知能力の大事な役割.ちくまプリマ―新書.」です。
非認知能力と幸福の関係
以下、著書を引用しながら見ていきます。
1つは、人生の幸福度に直結する可能性があるということです。
私たちの人生の幸福度は、人間関係や仕事、経済的側面や健康面と関連しています。これらの幸福度に、非認知能力が関連する可能性があるのです。
〝非認知能力″には、様々な能力があります。
〝実行機能″といった目標を立てて遂行する力や〝自己コントロール力″といった自分の感情と向き合う力、そして、〝向社会的行動″といった親切心もまた非認知能力に含まれています。
人生の幸福度の指標は、著書にあるように、仕事や勉強、健康習慣、そして、日頃の対人関係によって強く規定される場合があります。
そして、著書にあるように、これらの指標には、〝非認知能力″が関連していると言われています。
つまり、〝非認知能力″は、私たちの幸福度と強く関連している可能性があることが、〝非認知能力″が注目されている一つ目の要因だということです。
著者の療育現場では、様々な子どもたちがいますが、〝非認知能力″の力は幸福度に関連していると感じる機会があります。
例えば、活動に向けて目標を自分で立てて(時には大人のサポートも借りながら)やり切った時に感じる達成感を継続させ続ける力、自他の感情を汲みとりながら、他者とうまく関わることができる力は、日々の活動を楽しく過ごすこと、つまり幸福度に直結しているように思います。
活動をやり切る力、そして、他者とうまく関わる力、自分の気持ちをコントロールする力、つまり、〝非認知能力″は、子どもたち自身が今、そして今後を豊かに生きていくために必須の能力であると感じています。
非認知能力は高めることができる
以下、著書を引用しながら見ていきます。
もう一つの重要な点は、教育や支援によって変えることができるかもしれないという点です。
認知能力、つまり知能は、生涯を通じてあまり変化しないことが知られています。
一方、非認知能力は、教育や支援によって変えることができる可能性があります。
著書の内容から、〝非認知能力″は、教育や支援によってその能力を大きく伸ばしていくことができる可能性があると記載されています。
つまり、環境要因が強く影響している可能性があること、変化の可能性があること、教育や支援の可能性があることが〝非認知能力″が注目されている二つ目の要因だということです。
著者は、療育現場の自由な環境とあたたかい雰囲気の中で、子どもたちの〝非認知能力″が伸びてきたと感じるケースは多くあります。
つまり、関わる大人が子どもたち一人ひとりの個性を理解し、質の高い応答性を示すことで、〝非認知能力″を伸ばしていけることができるといった実感です。
認知能力とは異なり〝非認知能力″は、能力を測ることが難しいといった面もあるかと思います。
しかし、著者の実感としても、教育や支援によって〝非認知能力″を伸ばしていくことができると考えています。
以上、【非認知能力はなぜ注目されているのか?】療育経験を通して考えるについて見てきました。
認知能力も学校の勉強や仕事上必要不可欠な能力です。
一方、〝非認知能力″も人生の幸福度に直結する大切な能力であり、教育や支援によって伸ばしていくことができる重要な能力です。
私自身、まだまだ未熟ではありますが、今後も非認知能力にも注目していきながら、療育現場でできる非認知能力の育て方について実践を通して学びを深めていきたいと思います。
最後まで読んで頂きありがとうございました。
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