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【非認知能力の大切さ】10代の人たちを理解するために必要な3つの力とは?

投稿日:2023年12月3日 更新日:

認知能力“とは、言語能力や思考力、記憶力といった一般的な知能のことを言います。

一方で、創造性や好奇心、興味・関心、意欲、自主性、主体性、自制心、自信などは〝非認知能力″と言われています。

〝認知能力″が遺伝的な要因を受けやすいのに対して、〝非認知能力″は環境要因の影響を強く受けると考えられています。

そのため、ここ最近、教育の領域を中心に注目されるようになってきています。

 

それでは、認知能力以外の力である〝非″認知能力を理解するために、主にどのような力に着目する必要があるのでしょうか?

 

そこで、今回は、非認知能力の大切さについて、臨床発達心理士である著者の見解も交えながら、10代の人たちを理解するために必要な3つの力について理解を深めていきたいと思います。

 

 

今回参照する資料は「森口佑介(2023)10代の脳とうまくつきあう 非認知能力の大事な役割.ちくまプリマ―新書.」です。

 

 

非認知能力とは何か?

以下、著書を引用しながら見ていきます。

著者なりの表現になりますが、「目標を達成する力」、「自分に向き合う力」、「他人とつきあう力」です。

 

著書の内容から、〝非認知能力″で重要となるのが、1:「目標を達成する力」、2:「自分に向き合う力」、3:「他人とつきあう力」の3つの力であると記載されています。

著書では、この3つの力は、主に〝10代″の学校や友人関係、そして、部活動といった課外活動において特に重要になってくる力であると記載されています。

 

著者は放課後等デイサービスで小学生を対象に療育をしています。

その中で、上記の3つの力は、これまでの子どもとの関わりの中で、非常に大切な力であると実感しています。

そして、10代の非認知能力について理解を深めることは、小学生以降のライフステージに向けて何に着目して支援を行っていけば良いのかの手がかりにもなると感じています。

 

 


それでは、以下、3つの力について見ていきます。

 

1:「目標を達成する力」

以下、著書を引用しながら見ていきます。

この力は(中略)意志の力に該当します。

 

代表的なものとして、実行機能(自制心)、粘り強さ、やる気、などが挙げられています。

 

非認知能力の中でも、最も研究が進んでおり、その重要性が示されています。特に、実行機能は、他の様々な非認知能力と関連しています。

 

著書の内容から、「目標を達成する力」とは、実行機能や粘り強さ、やる気などがあると記載されています。

これらの力は、非認知能力の中でも、最も研究が進んでいると言われています。

そして、学校生活の中で、受験にせよ、部活にせよ、心が揺れ動く10代にとって意志の力は非常に大切であると考えられています。

 

著者が非認知能力と聞いて真っ先に連想するのが〝実行機能″です。

その理由は、著者が勤める療育現場には、実行機能に弱さを抱えている子どもたちが多くいるからです。

そして、実行機能の中でもどの部分の働きが弱いのかを理解していきながら、一人ひとりに合った支援を工夫してく重要性を実感しているからもでもあります。

実行機能の力を高めていくことで、その後の子どもの発達(例えば、小学1年生から6年生にかけての変化を見るなど)が豊かになってきたと感じる事例は多くあったと思っています。

そのため、実行機能をはじめとした「目標を達成する力」は、10代のライフステージを今後生きる子どものためにも非常に大切な力であると感じています。

 

 

2:「自分に向き合う力」

以下、著書を引用しながら見ていきます。

この能力は、自信を持つことや自尊心を持つことを指します。

 

自分に向き合う力の中でも、自己効力感というのは重要です。

 

著書の内容から、「自分に向き合う力」は、〝自尊心″や〝自己効力感″のことを指すと記載されています。

〝自尊心″や〝自己効力感″といった自分に対する自信は、他者を強く意識する10代において非常に大切な力であると考えられています。

 

著者は療育の中で、非常に大切にしているものの一つに、子どもたちに自信や肯定的な感情を育んでいくことだと考えています。

つまり、関わり手が子どもの〝自尊心″や〝自己効力感″を向上させる支援が大切だということです。

10代以降の激動のライフステージを生き抜くためには、学童期までにいかに〝自尊心″や〝自己効力感″が育まれているかが大切であると考えています。

 

 

3:「他人とつきあう力」

著書には、「他人とつきあう力」には、〝自分や他人の感情を理解し、日々の行いに活かす力″→〝感情知性″や〝親切心″→〝向社会的行動″などがあると記載されています。

〝感情知性″や〝向社会的行動″の重要性は、10代といった親から距離が離れ対人領域が拡大していく中で、様々な他者の心情を理解し、その中で、自分の感情も理解していきながら、周囲に対して親切心を持って振る舞うことが求められる時期だと考えられています。

 

著者は療育現場で関わる子どもたちに、他者の気持ちの理解を育むこと(心の理論の獲得など)や、他者を思いやる気持ちを育むことを大切にしています。

こうした〝感情知性″や〝向社会的行動″の基盤が育まれることで、その後のライフステージの中で、関わる人が変化してもうまく適応していくことに繋がっていくのだと考えています。

 

 


以上、【非認知能力の大切さ】10代の人たちを理解するために必要な3つの力とは?について見てきました。

冒頭に述べた通り非認知能力には様々な要素があります。

その内容を深く追求し理解していくことで、これまでとは異なった人の能力が見えてくると思います。

私自身、まだまだ未熟ではありますが、今後も非認知能力への理解を深めていきながら、子どもたちの将来を見据えながら、今現場でできる支援の質を高めていきたいと思います。

最後まで読んで頂きありがとうございました。

 

 

関連記事:「【非認知能力はなぜ注目されているのか?】療育経験を通して考える

 

森口佑介(2023)10代の脳とうまくつきあう 非認知能力の大事な役割.ちくまプリマ―新書.

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