〝非認知能力″は、創造性や好奇心、興味・関心、意欲、自主性、主体性、自制心、自信などがあると言われています。
〝非認知能力″の中でここ最近の研究で注目が集まっているものに、〝実行機能″があります。
〝実行機能″とは、〝目標を達成する力″〝遂行する力″とも言われています。
〝非認知能力″の一種で近い用語に〝粘り強さ″があります。
〝粘り強さ″もまた〝目標を達成する力″とも言われています。
それでは、目標を達成する力である〝実行機能″と〝粘り強さ″にはどのような違いがあるのでしょうか?
そこで、今回は、非認知能力で大切な目標を達成する力について、実行機能と粘り強さを通して理解を深めていきたいと思います。
今回参照する資料は「森口佑介(2023)10代の脳とうまくつきあう 非認知能力の大事な役割.ちくまプリマ―新書.」です。
粘り強さとは何か?
以下、著書を引用しながら見ていきます。
粘り強さと最も関連が深い心理学概念として、グリットというものがあります。グリットは、目標に向けて努力を続ける力であり、その情熱も含む概念です。
少し前に〝グリット″といった書籍が出版され話題になりました。
〝粘り強さ″とは、この〝グリット″に最も違い概念であると著書には記載されています。
そして、〝グリット″とは、目標に向けて努力を続ける力であり、その中には、やる気や情熱も含まれています。
〝実行機能″もまた、〝やり遂げる力″〝遂行能力″〝目標を達成する力″と言われています。
そのため、ここまで見ると、〝粘り強さ″と同じようにも思えます。
それでは、両者にはどのような違いあるのでしょうか?
次に、この点について見ていきます。
粘り強さと実行機能にはどのような違いがあるのか?
以下、著書を引用しながら見ていきます。
粘り強さと実行機能の違いの一つは、目標レベルです。粘り強さは長期的な大きな目標を指すことが多く、実行機能は日常的な目標を指すことが多いようです。
著書の内容から、〝粘り強さ″と〝実行機能″の違いの一つは、目標レベルにあると記載されています。
例えば、スポーツ大会に向けて練習を積み重ねる、受験に向けて勉強し続ける、といったものは長期レベルの目標です。
そして、スポーツ大会のために日々の練習を着実にこなす、受験勉強のために日々の勉強を行う、といったものは短期レベルの目標です。
前者が〝粘り強さ″、後者が〝実行機能″だと言えます。
このように、目標レベルの違いが両者の違いの一つであると考えられています。
さらに、著書にはもう一つ両者には違いがあると記載されています。
その内容は、筆者の見解ではありますが、興味深いため以下、引き続き著書を引用しながら見ていきます。
「やりたいけどやるべきではないこと」を抑えるために必要なのが実行機能です。一方、「特にやりたくないけど、やったほうがいいこと」を淡々とし続けるのが粘り強さです。
「やりたいけどやるべきではないこと」を抑える例としては、勉強をしている途中で、ゲームやスマホなどに興味が移ってしまうことを抑えることがあります。
つまり、自分の感情にブレーキをかけることです(実行機能の役割)。
「特にやりたくないけど、やったほうがいいこと」を淡々とし続ける例としては、計算問題や漢字練習を淡々とやり続ける、ジョギングや筋トレを淡々とやり続けるなどがあります。
つまり、自分の行動のアクセルを踏み続けることです(粘り強さの役割)。
〝実行機能″がブレーキとして役割が大きいのに対して、〝粘り強さ″がアクセルとしての役割が大きいといった違いがあると言えます。
以上、【非認知能力で大切な目標を達成する力】実行機能と粘り強さを通して考えるについて見てきました。
今回見てきたように、一見すると近いが概念である〝実行機能″と〝粘り強さ″の違いを考えることは、非認知能力への理解をさらに深めることにも繋がっていくと思います。
私自身、まだまだ未熟ではありますが、今後も非認知能力の大切さを学んでいきながら、療育現場にその知見を活用していけるように学びを深めていきたいと思います。
最後まで読んで頂きありがとうございました。
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森口佑介(2023)10代の脳とうまくつきあう 非認知能力の大事な役割.ちくまプリマ―新書.