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【非認知能力で大切な感情を調整する力】自己効力感と自尊心を通して考える

投稿日:2023年12月6日 更新日:

非認知能力″には、創造性や好奇心、興味・関心、意欲、自主性、主体性、自制心、自信などがあると言われています。

非認知能力″の中には、〝自分の感情を調整する力″も大切な能力であると考えられています。

 

それでは、自分の感情を調整する力とは具体的にどのようなもののことをいうのでしょうか?

 

そこで、今回は、非認知能力で大切な感情を調整する力について、自己効力感と自尊心から理解を深めていきたいと思います。

 

 

関連記事:「森口佑介(2023)10代の脳とうまくつきあう 非認知能力の大事な役割.ちくまプリマ―新書.」

 

 

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自己効力感とは何か?

以下、著書を引用しながら見ていきます。

自己効力感とは、ある状況で必要とされる行動を効果的にできると思えるか、課題を達成できると思えるか、ということです。

 

自己効力感には、大きく、特定の内容に限定されない一般性自己効力感と、特定の内容についての自己効力感の2つに分かれます。

 

例えば、学校の勉強で○○の問題を自分は解ける、スポーツで○○の競技ならうまくこなすことができる、といった自信に満ちた人がいるとします。

こうした人は自己効力感が高く、勉強にせよ、スポーツにせよ、〝自分ならできる″といった思いを強く持っています。

このように、全般的に自己効力感が高い状態を一般性自己効力感″が高いと言います。

これに対して、特定の領域にのみ自己効力感が高いことを〝領域固有の自己効力感″が高いと言います。

領域固有の自己効力感″の高さとは、先に見た例で言えば、学校の勉強では○○の教科や分野が得意、スポーツだと短距離走が得意など、特定の分野について〝自分ならできる″といった思いの強さを指します。

 

 

自尊心とは何か?

以下、著書を引用しながら見ていきます。

自尊心は、自分のことをどの程度肯定的にとらえられるか、好きか、もしくは、自分は価値がある人間だと思っているかということです。

 

自己効力感と自尊心は、基本的には異なる概念です。

 

著書の内容から、〝自尊心″とは、自己への評価(好き・嫌い、自分に価値がある・ない、など)のことを言います。

〝自尊心″が高さとは、例えば、人に対してやさしく振る舞うことができる自分が好きといった認識は自尊心の高さの一つの指標になります。

また、○○の分野・領域が好き、○○の分野・領域が得意(自信がある)、といった自信もまた、自尊心の高さに繋がっていきます。

このように見ていくと、〝自尊心″の高さは、他者から〝やさしい人″〝思いやりのある人″〝誠実な人″といった評価を受けることで性格面として自尊心が向上する面もあるかと思います。

また、自分が行動を起こして何かに取り組んだ結果、何かが好きなったり得意になったりすることで高められるとも言えます。

 


一方で、先に見た〝自己効力感″と〝自尊心″は異なる概念だと考えられています。

その理由としては、例えば、Aさんは、勉強が大切だと考えており、勉強の出来栄えよって自信が左右されるとしましょう。

Aさんは課題を解く際に、〝自分なら解ける″といった高い〝自己効力感″を持って取り組みます。そして、その結果として、勉強が好きで得意になることを通して〝自尊心″を維持することに繋がっていきます。

つまり、Aさんにとって、勉強への〝自己効力感″が高いことは、結果として、〝自尊心″の高さに繋がっているということです。

その逆として、〝自尊心″が高いことが、勉強への〝自己効力感″の高さに繋がっているとも言えます。

それは、Aさんにとって勉強が好き・できると感じていることが〝自尊心″を支える重要な要素となっているからです。

つまり、その人にとって何を大切に思っているのかが〝自己効力感″並びに〝自尊心″に強く影響しているということです。

このように、〝自己効力感″と〝自尊心″は互いに異なる概念でありますが、密接に関連していると言えます。

 

 


以上、【非認知能力で大切な感情を調整する力】自己効力感と自尊心を通して考えるについて見てきました。

著者は療育現場において、子どもたちに〝自尊心″を高める関わり方を大切にしています。

そして、〝自尊心″の高さは領域に違いはありますが、子どもたちの〝自己効力感″とも関連しているといった認識がとても大切であると考えさせられました。

私自身、まだまだ未熟ではありますが、今後も療育現場において、子どもたちの心の成長を見守りながら、非認知能力を育む実践を試行錯誤していきたいと思います。

最後まで読んで頂きありがとうございました。

 

 

関連記事:「【非認知能力の大切さ】10代の人たちを理解するために必要な3つの力とは?

関連記事:「療育で重要なこと-自尊心・自己肯定感の視点から考える-

関連記事:「療育で大切な視点-自己有能感について-

 

森口佑介(2023)10代の脳とうまくつきあう 非認知能力の大事な役割.ちくまプリマ―新書.

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