自閉症(自閉症スペクトラム障害:ASD)とは、対人コミュニケーションの困難さとこだわり行動を主な特徴とする発達障害です。
DSM-5(米国精神医学会の精神疾患の診断分類 改訂第5版)によれば、自閉症スペクトラム障害の主な特徴として、〝社会的コミュニケーションの障害″と〝限定された反復的な行動様式″の二つがあります。
前者が〝社会的なもの″、後者が〝こだわり的なもの″になります。
それでは、自閉症の特徴の一つである限定された反復的な行動様式とはどのようなものなのでしょうか?
そこで、今回は、限定された反復的な行動様式について説明していきながら、自閉症の特徴について理解を深めていきたいと思います。
今回参照する資料は「下山晴彦(監修)(2018)公認心理師のための「発達障害」講義.北大路書房.」です。
限定された反復的な行動様式とは何か?
〝限定された反復的な行動様式″とは以下の4つから構成されています(以下、著書引用)。
(1)常同反復性
(2)儀式的行動・思考
(3)興味の限定
(4)感覚の異常
DSM-5の自閉症スペクトラム障害の判断基準として以上の4つがあります。
それでは次に、この4つがどういったものかについて著書を引用しながら見ていきます。
(1)常同反復性
「常同反復性」というのは、ものを並べたり、同じところで何度も飛びはねたり、同じような言葉を何度も使ったりすることを表します。
著書の内容から、〝常同反復性″とは、同じ行動・動作・音声などを繰り返すことです。
例えば、車のおもちゃを一つずつ並べたり、手をひらひらさせたり、好きな動画の特定のシーンを繰り返して観る、CMで流れる音声を何度も言葉で繰り返すなどがあります。
(2)儀式的行動・思考
「儀式的行動・思考」は、考え方の硬さのことです。道順にこだわるといった考え方の硬さだけでなく、ゼロイチ思考のように完全にできるならやるけど、できないときは放り出してしまうことも表します。
著書の内容から、〝儀式的行動・思考″とは、柔軟な思考ができないことを指します。
〝ゼロイチ思考″などとも言われますが、考え方が極点なため、できることには直ぐに取り掛かれるも、少しでもできない要素があると、できないものだと決めつけてしまうことも多くあります。
〝儀式的行動・思考″の強さは日常生活を大きく作用するほど影響度の強いものだと考えられています。
ある程度できていれば大丈夫、ほどほどでよいなどの曖昧さへの許容度が人生を生きていくためには大切だと言えます。
(3)興味の限定
特定の対象に対する興味が限定していることも特徴の一つです。
興味関心の幅が狭いとも言えます。
例えば、植物博士、電車博士、歴史博士など特定の領域において深い知識を持っているケースも多く見られます。
そのため、ある分野のスペシャリストになれる可能性を秘めています。
〝興味の限定″というとネガティブな印象もありますが、一方で、上記に記載したように興味のあることが見つかれば強みになる場合もあります。
興味のあることが将来の仕事に繋がれば非常に良いことですが、仮に仕事に繋がらなくても趣味として生涯の楽しみになる場合もあります。
(4)感覚の異常
感覚過敏・感覚鈍麻など、様々な感覚の異常が自閉症の人たちには見られます。
中でも多いのが、聴覚過敏です。
例えば、大きな物音(工事の音、人混みの音など)や子どもの泣き声などを苦手とするケースも多く見られます。
その他、触覚過敏など、触られることに抵抗を示すケースやベタベタ・ツルツル・ザラザラなど特定の感触に過敏さが見られるケースもあります。
感覚過敏・鈍麻は人によりその種類や強度は異なります。
周囲から理解されにくい感覚の異常もあるため、適切な理解や配慮が得られにくいこともあります。
以上、【限定された反復的な行動様式とは何か?】自閉症の特徴について考えるについて見てきました。
〝限定された反復的な行動様式″とは、〝こだわり″行動とも言われています。
著者が療育現場で関わる人たちの中には、様々な〝こだわり″行動が見られます。
〝こだわり″は、自閉症の特性を規定する重要な特徴ですが、その内容や強度も人によって異なるため、生活環境に応じてどういった〝こだわり″がどの程度(強度・頻度)見られており、生活にどのような影響を与えているのかを把握していくことが重要だと感じています。
私自身、まだまだ未熟ではありますが、今後も自閉症の特徴についての理解を深めていきながら、療育現場で適切な支援や配慮を実施していきたいと思います。
最後まで読んで頂きありがとうございました。
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下山晴彦(監修)(2018)公認心理師のための「発達障害」講義.北大路書房.