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【自閉症児の共同注意の特徴】定型発達児との違いを通して考える

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共同注意(joint attention)″とは、ある対象に対する注意を他者と共有することを指します。

〝共同注意″の発達は、後のコミュニケーションの育ちにおいて非常に重要な意味を持つものだと考えられています。

自閉症児は、〝共同注意″の発達が定型発達児とは異なると言われています。

 

それでは、自閉症児の共同注意には、どのような特徴があると考えられているのでしょうか?

 

そこで、今回は、自閉症児の共同注意の特徴について、臨床発達心理士である著者の経験談も交えながら、定型発達児との違いを通して理解を深めていきたいと思います。

 

 

今回参照する資料は「加藤義信(編)(2008)資料でわかる 認知発達心理学入門.ひとなる書房.」です。

 

 

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自閉症児の共同注意の特徴:定型発達児との違いを例に

以下、著書を引用しながら見ていきます。

自閉症児が苦手なのは、他者がどのような意図をもって対象を見ているかを理解することにあります。

 

共同注意ということばを用いる際には、他者の視線の理解であるのか、他者と情緒的な交わりをもとにした世界を持っているかを区別することが必要となってきます。

 

著書にあるように、共同注意の理解には、二つの視点が大切だと言えます。

一つ目が、他者と情緒的な交流の意味二つ目が、他者の視線の理解です。

共同注意を理解するためにも、この二つを区別することが必要だと記載されています。

そして、自閉症児が苦手とするものは、二つ目の他者の視線の理解だと言われています。

 


著書には、以上の点を検証した実験の例が記載されています。

次のような実験です。

自閉症児と健常児の後ろからシャボン玉を飛ばします。

自閉症児と健常児の目の前にいる大人が飛んできたシャボン玉を指さします。

すると、健常児(定型発達児)においては、飛んできたシャボン玉に視線を向け、さらには、指さしした大人にも視線を送る行動が観察されました。

一方で、自閉症児においては、飛んできたシャボン玉に視線を向けるだけで、指さしした大人に視線を送ることはありませんでした。

 

両者の違いに対して以下のことが言えます(以下、著書引用)。

健常児は、「あなたが示したシャボン玉をみつけたよ」との意味を含めた視線を投げかけたが、自閉症児は、そうした他者との共有した世界がないので、確認の視線を向けなかったのではないかと。

 

以上の実験も踏まえると、先に見たように、自閉症児は定型発達児とは共有注意において異なる特徴があると考えられています。

つまり、自閉症児の共同注意の特徴として、他者の視線の理解(意図の理解)を苦手としているということです。

 

 

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著者の経験談

著者は、これまでの療育経験の中で、様々な自閉症児と関わる機会がありました。

自閉症児の特徴として、興味関心に偏りがあり(非常に限定された興味関心の世界)、その興味関心を通して、共感、つまり、共同注意が成立した状態における情緒的な交流を多く持つことができるといった感覚は、これまでの療育経験を振り返って見ても多くあったと思います。

彼らが持つ興味関心を把握していく中で、情緒的な交流が促進されていき、彼らが何を意図して著者に伝えたいのかが徐々にわかってくることがよくあります。

一方で、著者の行動(視線・言動・表情・ジェスチャーなど)から、著者が何を意図して伝えたいのかを読み解くことは苦手なようです。

これは心の理論の理解とも言われるものですが、自閉症児には、そもそも著者の意図に注意が向きにくいといった特徴があることも事実です。

例えば、著者が見ている視線の方向を追うことが少ない傾向があります。

また、仮に見られたとしても、〝○○さんは何を見ているのだろう?何を考えているのだろう?″といったように、視線の意味を読み取ることが難しいようにも見えます。

人は、他者が関心を寄せている視線に注意を向けることで、人が何を意図して行動している・あるいはしようとしているのかを推論して、自他の関係を調整しています。

自閉症児・者(大人も含めて)においては、共同注意の中でも、他者が関心を寄せる視線の理解(意図の理解)に、苦手さがあるということが著者の経験でも多く見られています。

 

 


以上、【自閉症児の共同注意の特徴】定型発達児との違いを通して考えるについて見てきました。

共同注意の成立は、心の理論の基礎を作るもの、そして、後のコミュニケーションの発達において重要な意味を持ってきます。

自閉症児は、共同注意の成立・発達において、定型発達児とは異なる特徴を持つことを理解していくことが、療育において大切だと言えます。

私自身、まだまだ未熟ではありますが、今後も療育現場で子どもたちと様々な共有体験を作っていけるように、彼らの興味関心の世界に寄り添っていきたいと思います。

最後まで読んで頂きありがとうございました。

 

 

関連記事:「自閉症児の共同注意について:現場での経験を通してその意味を考える

関連記事:「【なぜ自閉症の人は人と目が合わないのか?】自閉症児・者の視線の特徴について考える

 

 

加藤義信(編)(2008)資料でわかる 認知発達心理学入門.ひとなる書房.

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-共同注意, 自閉症

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