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【自閉症への関わり方で周囲が大切にしたいこと】発達障害児・者支援の現場から考える

投稿日:2023年4月4日 更新日:

発達障害の中に含まれる自閉症(自閉症スペクトラム障害:ASD)とは、対人・コミュニケーションの困難さとこだわりを主な特徴としています。

著者は子どもから大人まで様々な自閉症の人(診断を受けている人)、そして、診断は受けていませんが自閉症の特性が見られる人とも関わる機会が多くあります。

 

それはで、自閉症への関わり方で周囲はどのような点に気をつけながら接していけばいいのでしょうか?

 

そこで、今回は、自閉症への関わり方で周囲が大切にしたいことについて、臨床発達心理士である著者の経験談も交えながら考えを深めていきたいと思います。

 

 

今回参照する資料は「本田秀夫(2013)自閉症スペクトラム:10人に1人が抱える「生きづらさ」の正体.SB新書.」です。

 

 

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自閉症への関わり方で周囲が大切にしたいこと

著書の中では〝自閉症の人たちの接し方″について7つの点から説明しています。

それでは、次にその7つについて著書の内容を引用しながら、併せて著者の経験も交えてお伝えします。

 


(1)先に本人の言い分を聞く

自閉症の人たちの中には、本人なりにこだわりのある部分が多く見られます。

著者の身近な人の中にも、〝なぜ、○○の点にこれほどまでにこだわっているのか?″と疑問を感じることもあります。

しかし、こうした本人なりの考え・こだわりなどを軽視してしまうと、相手との良い関係を築くことは難しいと感じています。

そのため、著書にあるようにまずは本人の言い分を〝傾聴″することがとても重要になります。

 


(2)命令ではなく提案する

(1)の次のステップとして提案をするという関わり方があります。

著者も無理に相手に自分の意見を押し付けるような関わり方よりも、提案ベースの関わりの方が、自分の考えと相手の考えを対比させ、より良い考え方に行きつくことができると感じています。

そのため、できるだけ意見を述べるときは、〝私は○○と思う・考える″〝私は○○の方がいいと思う″といった感じで提案することを心掛けています。

 


(3)言行一致を心がける

自閉症の人は言ったことと行動が一致している人を信頼すると言われています。

もちろん、これは自閉症に限らず多くの人の当てはまるものだと思いますが、特に自閉症の人は、論理的に物事を考える傾向があるため、その時々で言動・行動が変化すると混乱を招いてしまうことにも繋がります。

そのため、著者もできるだけ、自分が言った発言と行動を一致させるようにしています。

 


(4)感情的にならない

他者の心理状態を読み取ることが苦手な自閉症の人たちにマイナス感情を強く伝えることは、混乱のもとになります。

著者の経験でも、マイナス感情を強く伝えられたことで、伝えられた内容よりも、ネガティブ感情のみが苦い体験として残り続けてしまっている人もいます。

そのため、物事を伝えるときには、冷静に的確に伝えることが必要だと感じています。

 


(5)情報を視覚呈示する

自閉症の人たちの多くは、口頭での情報のやり取りよりも、視覚情報での情報のやり取りの方が得意な傾向があります。

著者の身近にも、視覚情報処理の方が得意な自閉症児・者の人たちが多いといった印象があります。

そのため、視覚的な呈示も含め、相手にとってわかりやすい情報の呈示の仕方を考えるようにしています。

 


(6)目に見えにくいものを言語で構造化する

暗黙の了解事項や、相手の意図や心情などがよくわからないといった特徴が自閉症児・者の人たちには多く見られます。

こうした目に見えにくいものの理解は直感的理解を必要とする部分が多くあります。

そのため、直感といった曖昧な部分をできるだけ目に見える形(言語化)にしていくことが大切になります。

著者も直感といった〝何となく○○だと思う・考える″など曖昧な点をできるだけ具体化(言語化)して伝えるようにしています。

 


(7)こだわりはうまく利用する

こだわりの対象や強度を理解していくこともまた大切な関わり方に繋がります。

著者は、こだわりへの理解は、自閉症児・者の理解においてとても大切なものだと感じています。

また、こだわりは時と場合によっては、強みになることもあります。

そのため、生活の中でどのような点にこだわりがあるのかを理解していくこと、そして、こだわりを活用できる方法はないかについて考えるようにしています。

 

 


以上、【自閉症への関わり方で周囲が大切にしたいこと】発達障害児・者支援の現場から考えるについて見てきました。

著書に書かれている7つの関わり方は、著者の経験からも大切だと納得のいくものばかりです。

そして、意識的にせよ、無意識的にせよ、実際に行っているものも多いと思います。

私自身、まだまだ未熟ではありますが、今後も自閉症への理解を深めていきながら、関わり方についても学びを深めていきたいと思います。

最後まで読んで頂きありがとうございました。

 

 

関連記事:「【自閉症だと思ったらしておくべき評価について】発達障害児・者支援の現場から考える

 

本田秀夫(2013)自閉症スペクトラム:10人に1人が抱える「生きづらさ」の正体.SB新書.

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