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【自己刺激行動とは何か?】固有感覚と前庭感覚をキーワードに考える

投稿日:2024年9月14日 更新日:

発達障害児・者には様々な感覚の問題が見られると言われています。

そのため、発達障害児・者支援に携わる人たちにとって、感覚の問題への理解と対応に関する知識は必須であると言えます。

感覚の問題を考えていく中で、自ら感覚刺激を入れる行動=〝自己刺激行動といったキーワードがあります。

自己刺激行動″について理解を深めていくことは、子どもたちが持つ感覚の問題を深く理解することに繋がっていきます。

 

それでは、自己刺激行動には具体的に、どのような行動があると考えられているのでしょうか?

 

そこで、今回は、自己刺激行動とは何かについて、臨床発達心理士である著者の経験談も交えながら、固有感覚と前庭感覚をキーワードに理解を深めていきたいと思います。

 

 

今回参照する資料は「前田智行(2021)子どもの発達障害と感覚統合のコツがわかる本.ソシム.」です。

 

 

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自己刺激行動とは何か?

感覚の発達が未発達であること、あるいは、低反応(感覚鈍麻)があると、自ら不足している感覚情報を取り込もうとする場合があります。

こうした行動を〝自己刺激行動″と呼んでいます。

例えば、自分で自分の体に触ったり、不足している感覚を自分で作り出す行為です。

自己刺激行動″は、内容にもよりますが、中には周囲から見ると止めたくなるものなど、ネガティブな行動として映るものもあります。

一方で、本来、その子どもにとって不足している感覚情報を自ら得ようとしている行動だという理解をしていくことが大切です。

 

 


それでは、次に、〝固有感覚″と〝前庭感覚″それぞれにおける自己刺激行動の例について見ていきます。

 

固有感覚に関する自己刺激行動の例

以下、著書を引用しながら見ていきます。

・机や椅子の上から飛び降りる

・階段から飛び降りる

・椅子に過度にもたれかかり、偏った姿勢で座る

・移動時に走ってしまう

・爪先立ちで歩く

 

固有感覚″とは、〝筋肉の緊張具合や関節の動きを通して感じる感覚″のことを指します。

〝固有感覚″の発達が未発達、あるいは、〝低反応(感覚鈍麻)″があると、上記のような〝自己刺激行動″が見られる場合があります。

この多くの行動例は、時と場合にもよりますが、危険だと思える行為もあります。

 

著者はこれまでの療育経験から、特に、高い所から飛び降りる子どもと多く接してきました。

それも、決められた安全な所であれば良いのですが、中には、室内に併設されている棚(大人の身長を大幅に上回る高さのもの)を器用にどんどん登っていったり、園庭や中庭にある遊具の一番頂上(本来登って遊ぶところではない場所)に登るなどして、そこから飛び降りようとする子どももいました。

当時の著者は〝固有感覚″といったワードすら知らない状態だったこともあり、ただただ止めようとしたり、他の遊びになんとか促すしか方法がありませんでした。

感覚の問題(固有感覚も含めた)といった背景が少しずつ理解できるようになると、関わり方にもレパートリーが出てきたように思います。

 

 

前庭感覚に関する自己刺激行動の例

以下、著書を引用しながら見ていきます。

・両手を広げてクルクル回る

・椅子を傾けて1本足の状態にする

・すべり台を逆走する

・授業中に離席し、とんだりはねたり動き回る

 

前庭感覚″とは、〝バランス感覚″のことを指します。

〝前庭感覚″の発達が未発達、あるいは、〝低反応(感覚鈍麻)″があると、上記のような〝自己刺激行動″が見られる場合があります。

この多くの行動例は、どこか不思議な行動に見えたり、関わり手にとって迷惑とも言える行動だったりします。

 

著者はこれまでの療育経験から、室内で一人コマのようにクルクル回る子どもを少なからず目にしてきました。

こうした行動ならまだしも、落ち着いて座っていられない、公園遊びの際にすべり台を逆走する行動などは、周囲に迷惑がかかることもあるため、止めて対応していた時期もありました(他に対応方法が思い浮かばない状況でした)。

その後、感覚統合と出会い、〝前庭感覚″といったワードを知った時に、こうした子どもの行動の背景が少しずつわかるようになっていきました。

そして、トランポリやブランコ、平均台などの感覚遊びを取り入れることで、少しずつではありますが、以前、止めることに終始していた著者の対応も減っていったように思います。

 

 


以上、【自己刺激行動とは何か?】固有感覚と前庭感覚をキーワードに考えるについて見てきました。

自己刺激行動はその行動例から見てもわかるように、周囲の大人からすると、迷惑であったり、危険だと思える行為もあります。

こうした中で、自己刺激行動をなぜとるのか?といった背景を考えていくことで、ポジティブな解決策を見出すことが大切なのだと感じています。

私自身、まだまだ未熟ではありますが、今後も療育実践を通して、様々な感覚の問題への理解に加えて、対応策も学んでいきたいと思います。

最後まで読んで頂きありがとうございました。

 

 

関連記事:「【発達障害児に見られる低反応とは?】支援で重要な視点も踏まえて考える

 

 

前田智行(2021)子どもの発達障害と感覚統合のコツがわかる本.ソシム.



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