著者は長年、発達障害など発達に躓きのある子どもたちへの療育(発達支援)をしてきています。
発達障害など発達に躓きのある子どもたちを支援するためには、高い〝専門性″が必要だと感じています。
それでは、発達障害児支援の専門性にはどのような素養が必要になるのでしょうか?
そこで、今回は、発達障害児支援の専門性で必要な素養について、臨床発達心理士である著者の経験談を踏まえて理解を深めていきたいと思います。
発達障害児支援の専門性で必要な素養について
著者が長年の療育(発達支援)経験を通して感じる〝専門性で必要な素養″には以下の5つが大切だと感じています。
1.子どもの様子を常に気にかけている
2.子どもの行動・発達を分析する力がある
3.怒ることが少ない
4.楽しい・ユーモアがある
5.大人自身が成長している
この5つを身につけていくことが高い〝専門性″に繋がる〝素養″だと感じています。
それでは次に、以上の5つについて詳しく見ていきます。
1.子どもの様子を常に気にかけている
一人ひとりの子ども様子を常に気にかけることは簡単なようで難しくもあります。
難しさとしては、〝着眼点が豊富にある″ことが言えます。
子どもの状態を理解するためには、複数の情報(生育歴、療育歴、家庭や学校の状況、発達特性、知的水準、適応力、性格、二次障害の有無など)を把握する必要があります。
そして、こうした複数の情報が前提となって、日々の様子とどのような関連性を持ちながら過ごしているのかという理解が必要になります。
さらに、療育現場は〝子どもが単独ではなく複数の児童″がいます。
そのため、複数の児童の関係性や関わり方、トラブルの内容なども把握する必要があります。
以上の様々な情報を把握していくことで、少しずつ子どもの現状の心の理解がより正確なものに繋がっていくのだと思います。
複数の情報を集めていきながら、子どもの様子を常に気にかけていくことを繰り返し、その中で生じる疑問を深く掘り下げていくことが高い専門性の素養を作る上で大切だと感じています。
2.子どもの行動・発達を分析する力がある
1の内容と非常に関連しますが、子どもの〝行動を分析する力″もまた必要です。
子どもの行動を理解するためには、行動の前後の様子を把握する必要があります。
そして、特定の行動がある場面・文脈の中で理解できるようになると、子どもの行動の意図や心情など子どもの理解がさらに深まっていきます。
さらに、もっと長期の視点、つまり、〝発達の理解(発達を分析する力)″ができるようになってくると、その子の将来の課題は何か?や過去の誤学習と未学習は何か?など、長い時間軸での理解や課題分析などができるようになっていくのだと思います。
3.怒ることが少ない
ある発達障害の専門家によれば関わり方がうまい支援者ほど〝怒ることが少ない″と述べていました。
著者も関わりのうまい支援者に共通する特徴として怒ることが少ないといったことが挙げられると感じています。
ここで重要なことは、怒ることが少ないことの理由として(それでも関わりがうまいと感じる場合において)、子どの行動の意図や意味を深く考えている、その上で適切な環境調整や適切な行動への促しを行っているからだと思います。
逆に、頭ごなしに子どもを怒る人の共通点として、子どもの目線で考える視点が不足しているとも言えます。
4.楽しい・ユーモアがある
明かる人、楽しい人の周りには子どもたちはよく集まります。
それは、〝心理的に安心できる″からだと思います。
子どもの感情の状態は大人の情緒が伝搬することが多いにあり、大人の情緒が明るく楽しい状態であれば、子どもの気持ちもまた明るくなるのだと思います。
また、〝ユーモアの力″は仮に悲観的な状態であっても、その場を明るくし、そして気持ちをよい状態へと切り替えるためにも大切な要素だと思います。
子どものことを深く理解できる(しようとしている)、今を活き活きと活動していくことが子どもの発達において大切だと理解している(しようとしている)からこそ、楽しさ・ユーモアはより発揮されるのだと思います。
5.大人自身が成長している
子どもは成長している大人の背中を見てより良く育ちます。
もちろん、成長しているといっても、小さな取り組みでも十分だと思います。
私たちは、何か〝目標に向けて取り組んでいる人″、〝日々を必死(真摯)に生きている人″、〝日々を楽しく豊かに過ごしている人″に尊敬の念を抱きます。
子どもたちもこうした大人の姿を見て少なからず影響を受けるのだと思います。
そのためにも、私たち大人は日々の生活や仕事から多くのことを学んでいく習慣や姿勢が必要だと思います。
以上、【発達障害児支援の専門性で必要な素養】療育経験を通して考えるについて見てきました。
今回取り上げた5つの内容以外にも、専門性で必要な素養はたくさんあると思います。
今回は、その中でも著者が特に重要だと考えているものを取り上げました。
私自身、まだまだ未熟ではありますが、今後も自分の専門性高めていけるように、日々の学びを大切にしていきたいと思います。
最後まで読んで頂きありがとうございました。
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