発達障害児支援において、〝環境調整″の視点は非常に大切です。
〝環境調整″をする目的は、子どもにとっての〝わかりやすさ″〝安心感″などがあります。
一方で、〝自尊心″といった心の成長・発達においても環境調整の視点はとても大切です。
それでは、自尊心を高めるためには、どのような環境調整の視点が必要になるのでしょうか?
そこで、今回は、発達障害児支援で大切な環境調整について、自尊心と成功体験をキーワードに理解を深めていきたいと思います。
今回参照する資料は「いるかどり(2023)子どもの発達障害と環境調整のコツがわかる本.ソシム.」です。
自尊心を育むことの重要性
以下、著書を引用しながら見ていきます。
私が考える「生きていくうえで一番大切なこと」は、自分を好きでいる力です。
〝自尊心(自尊感情)″とは、〝自分に対する自信や自分を大切に思える感情のこと″を指します。
つまり、著書にある〝自分を好きでいる力″とは〝自尊心″とも言い換えることができます。
自尊心の育ちは誰もが大切だということは間違いありませんが、著者は自尊心が低下している子どもとの関わりを通して〝自尊心″が持つ重要性を深く理解する機会がありました。
例えば・・・
自尊心が低いと様々なことに挑戦する意欲が衰退する。
自尊心が低いと未来に対して肯定的な自己像を描くことが難しくなる。
自尊心が低いと毎日を楽しく生き生きと暮らすことの動機が下がる。
以上の印象は著者が持つ感覚です。
つまり、〝自尊心″がうまく育っていかないと、その他の様々な能力の獲得であったり、心の成長が非常に歪んだ形になってしまうと言えます。
関連記事:「療育で重要なこと-自尊心・自己肯定感の視点から考える-」
それでは、〝自尊心″はいかにして育んでいくことができるのでしょうか?
この点について次に、〝環境調整″の視点から見ていきます。
環境調整の目的は成功体験を作り出すこと
以下、著書を引用しながら見ていきます。
「自分を好きでいる力」はどのように育っていくのか。それは、誰かと一緒や自ら環境に触れ、自分自身をほめたり相手からほめられる体験を繰り返し、成功体験(次のステップにつながる体験)を積み重ねることによって育まれていきます。
成功体験を積み重ねることは、環境調整の第一の目的ともいえます。
〝環境調整″には、大きく〝人的環境″〝物的環境″とがあります。
〝物的環境″は〝もの″と〝空間″とに分けて考えることもできます。
著書にあるように、環境調整の目的は成功体験を作り出すことにあります。
子どもの成功体験を作り出すために、ここでは〝人的環境″と〝物的環境″とに分けて考えていきたいと思います。
〝人的環境″による成功体験の創出
子どもにとって最大の環境とは〝人″といっても過言ではありません。
関わり手である大人が日々の子どもの姿をよく観察して、受容する、褒める、認める、などの関わりが成功体験を作り出すことに繋がっていきます。
さらに、子どもは集団の中で認められた、他児と一緒に体験を共有し楽しむことができたことでもまた成功体験を獲得していくことができます。
このように、子どもが成功体験を積み自尊心を高めていくためには、他者からの肯定的なフィードバックがとても大切になります。
〝物的環境″による成功体験の創出
子どもにとって〝わかりやすい″〝安心できる″環境もまた成功体験を生みます。
例えば、物の保管場所、保管方法が分かりやすいことは整理整頓の質の向上に繋がります。
また、室内環境の動線が整うことは、他児トラブルや怪我のリスクを下げ、さらに、効率的に活動を進めることに繋がっていきます。
このように、子どもが成功体験を積み自尊心を高めていくためには、子どもにとってわかりやすく、安全・安心できる環境にしていくことがとても大切になります。
以上、【発達障害児支援で大切な環境調整について】自尊心と成功体験をキーワードに考えるについて見てきました。
環境調整にも様々な方法があります。
そして、環境調整は子どもの成功体験を生み、自尊心を高めていくことに繋がっていきます。
私自身、まだまだ未熟ではありますが、今後も療育現場の環境を整えていくことで、より良い支援に繋げていきたいと思います。
最後まで読んで頂きありがとうございました。
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