発達障害児への支援と言えば、本人への直接的な支援も重要ですが、それに加えて、〝保護者支援″もまたとても大切です。
発達障害児に関わる支援者は、様々な観点から子どもの支援に携わっており、その中には、家庭でも実践できる効果的な支援方法もあります。
それでは、保護者支援の観点から、効果的な支援方法を保護者に伝えていくことには、どのような意味があると考えられているのでしょうか?
そこで、今回は、発達障害児を持つ保護者支援について、臨床発達心理士である著者の経験談も交えながら、効果的な支援方法を伝えることの意味について理解を深めていきたいと思います。
今回参照する資料は「岩永竜一郎(2022)発達症のある子どもの支援入門-行動や対人関係が気になる幼児の保育・教育・療育-.同成社.」です。
※幼児を対象として書かれた本ですが、学童期など他のライフステージでも活用できる視点も含まれていると思います。
保護者に効果的な支援方法を伝えることの意味
以下、著書を引用しながら見ていきます。
保育者・療育者が、実践して効果的と思われた支援は、保護者にも伝え、家庭でも実践してもらえるようにすると良いでしょう。
せっかく園や療育の場で褒める対応などの効果的な支援ができても、家庭で叱る指導が繰り返されると子どもの行動が好転しないこともあります。園と保護者の連携による対応の共通認識は大事になります。
著書の内容から、保育者(療育者)などが、効果的な支援を行い、その内容について保護者に伝えることの意味は、園(療育施設や学校なども含め)と保護者の連携の質を高めていく上でとても大切だと言えます。
連携の質を高めるとは、著書にあるように、関わる子どもに対して、対応の共通認識を持つ・作っていくことでもあります。
そのためにも、子どもの発達上の課題(問題)をアセスメントしていくこと、対応でうまくいった実践内容を整理していくことが重要です。
もちろん、効果的な支援について、家庭側からヒントが得られることもあると思います。
大切なことは、子どもの現在の状態像の理解を共有していきながら、より良い発達支援に繋げていけるような関わり方・支援方法を共有・連携・実践していく循環を作っていくことだと言えます。
こうした取り組みは、子どもの二次障害の予防、自尊心・自己効力感の向上、安定した愛着形成、生活リズムを整えること、ネガティブ行動の軽減・ポジティブ行動の向上などに寄与していくと言えます。
保護者支援の具体的な方法として、ペアレントトレーニングやPCIT(親子相互交流療法)などが有名です。
著者の経験談
著者は現在、放課後等デイサービスで小学生を対象に療育をしていますが、保護者支援もとても大切だと感じています。
中でも、日頃から子どもたちへの関わりでうまくいった点があれば伝えるように意識しています。
もちろん、家庭と放課後等デイサービスでは過ごす環境が異なりますので、家庭での関わりに応用できるものもあればそうでないものもあるかと思います。
大切なことは、子どもの発達段階について保護者の方と共通認識を作っていくこと、発達特性に対する必要な配慮事項の共有など、子どもの発達を理解していきながら、保護者の方と連携し、望ましい対応方法を見出していくことにあると考えています。
このような共有認識と連携、良い解決手段を見つけていけるような情報共有が保護者の方とできてくると(信頼関係)、支援の質はとても高まっていくのだと感じています。
そのためにも、日頃から子どもの様子をよく観察していくこと、保護者の方と段階を踏みながら信頼関係を作っていくことが必要だと言えます。
以上、【発達障害児を持つ保護者支援について】効果的な支援方法を伝えることの意味について見てきました。
これまで見てきたように、効果的な支援方法を保護者の方に伝えることの意味は様々あると思います。
私自身、まだまだ未熟ではありますが、今後も保護者支援に求められることを考えていきながら、療育での実践の質を高めていきたいと思います。
最後まで読んで頂きありがとうございました。
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岩永竜一郎(2022)発達症のある子どもの支援入門-行動や対人関係が気になる幼児の保育・教育・療育-.同成社.