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【発達障害児への環境調整に必要な人的環境の資質】療育経験を通して考える

投稿日:2024年2月10日 更新日:

 

発達障害児への支援を考えた際に、〝環境調整″の視点はとても重要です。

その中で、〝人的環境″といった〝人″も環境の一つであるという視点も環境調整を考える際に大切です。

〝人″という環境には、様々な特徴がありますが、中でも、〝人となり″〝性格″〝人格″といった〝資質″もまた重要な要素です。

 

それでは、療育現場における人的環境にはどのような資質が必要となるのでしょうか?

 

そこで、今回は、発達障害児への環境調整に必要な人的環境の資質について、臨床発達心理士である著者の意見も交えながら理解を深めていきたいと思います。

 

※この記事は、臨床発達心理士として10年以上療育現場に携わり、修士号(教育学・心理学)を有する筆者が執筆しています。

 

 

今回参照する資料は「いるかどり(2023)子どもの発達障害と環境調整のコツがわかる本.ソシム.」です。

 

 

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人的環境の資質について

著書には、〝人的環境″に必要な特徴が記載されています。

その中で、著者が〝資質″だと感じた3つの〝人的環境″の特徴について見ていきます(以下、著書引用)。

知識は、子どもたちと一緒に活用する

 

自分をアップデートできる資質が必要

 

人的環境は、あなたの笑顔から始まる

 

 


それでは、以上の3つについて具体的に見ていきます。

 

1.知識は、子どもたちと一緒に活用する

以下、著書を引用しながら見ていきます。

知識を頭に入れながら、子どもたちと一緒に考えて問題解決していくストーリーこそが、一人ひとりの成功体験につなげる一番の近道なのです。

 

子どもの支援を考える際に、〝知識″は非常に大切です。

一方で、〝知識″をそのまま活用するだけでは様々なニーズのある子どもたちに対応するには限界があります。

著書にあるように、〝知識″を頭に入れた状態で、いかに目の前の子どもの状態の理解であったり、支援に有効であるのかを子どもに実践しながら、問題を解決していく道筋がとても大切になります。

著者も療育現場で、子どもの問題を解決していく際に、〝知識″からの学びは多くありますが、本当に使える・役に立つ〝知識″にしていくためには、自分なりに修正・改善を試みる必要があると感じています。

 

2.自分をアップデートできる資質が必要

以下、著書を引用しながら見ていきます。

「自分でできる」の実現に向けて努力を惜しまないこと(学び続ける人、自分をアップデートできる人)が、子どもたちに携わる人に必要な資質であるように感じます。

 

子どもが成長すると同時に、関わり手である大人も成長していくことが大切です。

自らをアップデートできる大人は子どもたちや他のスタッフから見ても魅力的に映ります。

子どもは大人がどのように生きているのかを感じ取る力があると思います。

そのため、学び続ける姿勢がある大人には、何となくこの人について行こう!信じてみよう!といった動機が働くように思います。

著者も療育現場で生じる様々な問題を少しでも解決していけるように、日々の学びを大切にしています。

 

3.人的環境は、あなたの笑顔から始まる

以下、著書を引用しながら見ていきます。

あなたが不安でいると子どもたちも不安になり、あなたが笑顔でいると子どもたちも笑顔になります。

 

当然ですが、子どもは笑顔で明るい人を好む傾向があります。

いつも、イライラしていたり、怒りっぽい人が好きな子どもはなかなかいないと思います(大人も同じです)。

なぜ、笑顔の人がいいかというと、自分の気持ちが安心でき落ち着くことができるからだと思います。

著者の療育現場でも、笑顔で明るい人の方に、子どもは集まっていく傾向があると感じています。

そして、笑顔の多い大人集団は、コミュニティを形成・発展させていくためにとても重要な要素であると思います。

 

 


以上、【発達障害児への環境調整に必要な人的環境の資質】療育経験を通して考えるについて見てきました。

人的環境の〝資質″とは、〝問題を自分の頭で考え改善に向けて実践できる人″、〝自ら進んで学び続ける人″、〝明るく笑顔が多い人″が今回見てきた3つの資質になります。

私自身、まだまだ未熟ではありますが、今後も療育を通して自分自身をアップデートしていけるように、様々なことにトライしていきたいと思います。

最後まで読んで頂きありがとうございました。

 

 

関連記事:「【発達障害児への環境調整について】人的環境の特徴を通して考える

 

いるかどり(2023)子どもの発達障害と環境調整のコツがわかる本.ソシム.

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