発達障害児への〝環境調整″は非常に大切です。
〝環境調整″には、〝人″〝もの″〝空間″の3つがあると言われています。
中でも、〝人″といった〝人的環境″は、子どもが環境の中で安心して過ごすために必要不可欠な要素です。
それでは、環境調整の中の人的環境にはどのような特徴があるのでしょうか?
そこで、今回は、発達障害児への環境調整について、臨床発達心理士である著者の意見も交えながら、人的環境の特徴を通して理解を深めていきたいと思います。
今回参照する資料は「いるかどり(2023)子どもの発達障害と環境調整のコツがわかる本.ソシム.」です。
人的環境の特徴について
子どもにとって〝大人″といった〝人的環境″は非常に大きな存在です。
著書には、〝人的環境″を整えていくために重要なことが記載されています(以下、著書引用)。
①人的環境の核は共感
②丁寧な「洞察」は、子どもとの体験から得られる
③子どもたちの視点を重視する
それでは、以上の3点について詳しく見ていきます。
①人的環境の核は共感
以下、著書を引用しながら見ていきます。
子どもたちの気持ちや行動を丁寧に観察することで、見えてくる姿があります。まずは共感することを第一に、子どもたちと関わっていくことが大切です。
人的環境の核となるのは〝共感″です。
〝共感″力を高めていくためには、日々の子どもたちの行動や気持ちに注意を向けるなど、丁寧な観察が必要です。
著者も療育現場では、〝共感″を非常に大切にしています。
子どもたちは、日々の活動の中で様々な姿を見せます。
例えば、興味関心に没頭している姿、他者に優しく振る舞う姿、やりたいことがうまくいかない悔しい姿など様々あります。
こうした子どもたちの姿の背景には、発達特性(発達の偏り)が影響している場合もあります。
そのため、発達特性への知識を学ぶとと共に、〝一般的に″〝常識的に″といったフレームを一度外し、子どもたちの〝心の声″を感じ取る感性もまたとても大切だと思います。
②丁寧な「洞察」は、子どもとの体験から得られる
以下、著書を引用しながら見ていきます。
子どもたちの行動の機能的な面だけを見るのではなく、内部にある「価値・意味」まで見ることで、潜在的な教育的ニーズの洞察を得ることができます。
例えば、著者の療育現場には特定の領域に強い興味関心を持っている子どもたちが多くいます。
表面上は、○○に強い関心があるといった機能的側面を見ることが多くありますが、じっくりと子どの興味関心に向き合うことで、一人ひとりの興味関心の〝ツボ″に違いがあることが分かります。
それは、子どもとの様々な経験を積み重ねていく中で、よりはっきりと分かってくるものだと思います。
あるいは、互いの密な経験の蓄積の中で、経験の中に埋め込まれていた興味関心の深い〝ツボ″が発見されたとも言えます。
このように、子どもとの体験を通して丁寧な〝洞察″を得ることもまた大切だと思います。
③子どもたちの視点を重視する
以下、著書を引用しながら見ていきます。
「子どもたちが本当に喜ぶもの」と「子どもが喜ぶだろうと教師が想像するもの」は違うことに気づくことが大切です。
一般的に大人は、自分のフレームで子どもの状態を捉えることが多くあります。
そのため、ついつい大人目線で物事を考えてしまいがちです。
大切なことは、〝子どもの視点″を重視することです。
著者は療育現場で、子どもの視点に立つために、子どもの思いに寄り添う姿勢、また、子どもの行動を分析することを大切にしています。
子どもとの関わりを通して通底してくる子どもの思いを直感的に理解しようとする姿勢、そして、他者の視点もかりながら子どもの行動を客観的・分析的に理解する姿勢をとることを心がけています。
このような姿勢が、〝子どもたちの視線″〝本人を中心においた支援″に繋がっていくのだと思います。
その他にも、子どもの〝強み″を引き出すことも大切だと著書には記載されています。
〝ストレングス″とも言いますが、子どもとの関わりが増えていき、子どものことがよく理解できようになると、子どもの〝強み″も少しずつ分かってきます。
そして、さらにここから先、その〝強み″をどのように引き出していくかもまた〝人的環境″を整えるための大きな要素であると思います。
以上、【発達障害児への環境調整について】人的環境の特徴を通して考えるについて見てきました。
〝人的環境″は子どもたちから見ると、非常に大きな環境の一つです。
そのため、〝人″も環境の一つであるという意識を強く持つことがより良い支援に繋がっていくのだと思います。
私自身、まだまだ未熟ではありますが、今後も療育現場で、子どもたちが安心し自己を発揮できるように環境調整の視点も大切にしていきたいと思います。
最後まで読んで頂きありがとうございました。
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