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【発達障害児への居場所支援について】放課後等デイサービスでの経験を通して考える

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発達障害のある子どもたちに対して、安心できる〝居場所″を作り環境を整えていくこと、つまり、〝居場所支援″はとても大切なことです。

その理由には、発達障害児やその保護者にとって自ら〝居場所″を見つけること、作ることの難しさがあるからです。

そして、〝居場所支援″には、発達特性に応じた配慮もまた必要不可欠です。

最近では、学校や家庭以外の〝居場所″として〝放課後等デイサービス″が注目されるようになってきています。

 

それでは、放課後等デイサービスが〝居場所″としてうまく機能していくために、子どもたちにどのような支援を行っていくことが重要になるのでしょうか?

 

そこで、今回は、発達障害児への居場所支援について、臨床発達心理士である著者の放課後等デイサービスの経験を通して理解を深めていきたいと思います。

 

 

居場所支援について:放課後等デイサービスを例に

著者が〝放課後等デイサービス″において子どもたちに〝居場所支援″を行っていく際に大切だと感じている点を、次の3つに絞り説明していきます。

 

1.自由度の高い環境

放課後等デイサービスは、学校とは違い枠組みの緩さ、つまり、自由度が高いことが特徴としてあります。

また、学校で一生懸命頑張ってきた心と体を解きほぐす場でもあると思います。

もちろん、自由度が高いとはいってもルールや活動内容など定まっている所もあります。

必要なことは、自由度が高い環境の中で子どもたちは発達上何を獲得することができるのかといったことを考えていきながら(つまり、学校とは違う文脈において)、その中で、必要最小限のルールなどの枠組みを調整していくことが大切だと感じています。

著者は、子どもたちは自由度が高い環境から多くの刺激を受け、そして、多くの学びを得ることができるのだとこれまでの経験から実感しています。

 

 

2.他児との交流の機会

放課後等デイサービスには、様々な年齢の子どもたち、そして、様々な学校の子どもたちが集まるといった特徴もあります。

そのため、様々な他児との交流の機会が生まれる場でもあると言えます。

子どもたちは、異年齢集団での関わりを通して、例えば、年上の子どもに憧れるようになったり、年下の子どもの世話をする様子も見られることがあります。

また、普段出会えない別な学校の子どもと関わりを持つ機会も得ることができます。中には、自分の学校の友達以上に仲の良い友達関係を築けていると感じる子どももいます。

そのため、○○君、○○ちゃんに会うことを楽しみにしてやってくる子どもも多くいます。

必要なことは、他児との交流の機会を設けるだけではなく、その中で、関わるスタッフが他児との関わりを繋いでいくという役割がとても大切だと感じています。

著者は、交流の機会を多く作り出していくことで、子どもたちの関係性が発展し、それがさらに大きな集団となって発展していくことができるのだと実感しています。

 

 

3.遊びから得られる充足感

放課後等デイサービスは、主に遊びがメインとなっています。

もちろん、学校にも遊びの要素はありますが、放課後等デイサービスの方が自由度が高い環境の中で、様々な遊びをすることに重きが置かれていると言えます。

遊びから得られる充足感は子どもの成長・発達において必要不可欠であると言えます。

子どもたちは、様々なごっこ遊び、外遊び、製作遊び、感触遊び、音楽遊び、体を使った遊びなどを通して自己を成長・発達させていきます。

必要なことは、遊びを通して、何かに没頭する力を身につけること、身体の使い方を学ぶこと、創造・想像する力を養うこと、そして、他者と同じ体験を共有することで共感能力を育むことができるように、活動内容を工夫していくことが大切だと感じています。

著者は、様々な遊び・活動を通して、子どもたちが自己の能力を拡張させ、自他の気持ちを推測する力を高めていくことができると実感しています。

 

 


以上、【発達障害児への居場所支援について】放課後等デイサービスでの経験を通して考えるについて見てきました。

〝放課後等デイサービス″から見た〝居場所支援″は、発達に躓きのある子どもたちの後の成長・発達においてとても大切な役割があると思います。

そして、〝居場所支援″にも今回見てきたような大切な視点が複数あると感じています。

もちろん、今回見てきたもの以外にも大切な〝居場所支援″の観点はあるかと思います。

今回はあくまでも著者の療育経験の中で必要不可欠だと感じているものを取り上げて見てきました。

私自身、まだまだ未熟ではありますが、今後も放課後等デイサービスの中で、子どもたちが安心して楽しく活動を行っていけるように環境を整えていきながら、将来に向けて豊かな発達を遂げていけるような居場所を継続して作っていきたいと思います。

最後まで読んで頂きありがとうございました。

 

 

関連記事:「発達障害児にとって大切な〝サードプレイス″の価値について考える

 

-放課後等デイサービス, 発達障害

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