発達障害児は、様々な背景要因が影響して〝対人関係″をうまく築くことができない場合が多くあります。
一方で、著者は療育経験を通して、支援者が適切な介入をしていくことで、長期的に見て〝対人関係″をうまく築くことができたケースは数多くあると実感しています。
それでは、発達障害児がうまく対人関係を築いていく上で、どのような点に気をつけていけばよいのでしょうか?
そこで、今回は、発達障害児への対人関係支援について、臨床発達心理士である著者の経験談も交えながら、気をつけるべきポイントについて理解を深めていきたいと思います。
今回参照する資料は「てんねんDr.(2025)子どもの発達障害がよくわかる本 これ1冊で理解もサポートも!SB Creative.」です。
【発達障害児への対人関係支援】気をつけるべきポイントについて考える
以下、著書を引用しながら見ていきます。
発達障害の子どもにとって要注意な友だちがいます。それは操作性が強い子です。操作性が強い子どもというのは、相手を自分の思い通りに動かそうとする子どものことです。このような子どもと付き合う場合は、大人が十分に目を配る必要があります。
著書の内容から、発達障害児の対人関係支援において、気をつけるべきポイントは〝操作性が強い子″との関わりです。
〝操作性が強い子″とは、相手を自分の思い通りに動かそうする子どもであり、こうした子どもとの関わりにおいて、発達障害児がターゲットにならないように大人が注意を向けていくことが必要です。
著者のこれまでの療育経験を通しても、〝操作性の強い子″を時々見かけることがあります。
例えば、お互いが発達障害児同士のケースもあれば、〝操作性の強い子″が定型児であり、その子が発達障害児を自分の思い通りに動かそうとしているケースもあります。
中でも、発達障害児の中には、自己主張が苦手であったり、他者の言動の意図をうまくくみ取れないことから、相手に過剰に合わせてしまうことがあります。
〝操作性の強い子″は、こうした子どもの特徴を本能的に察知して、極力、大人が見ていない所で様々な指示を出している可能性があります。
そして、このような状況に陥った子どもは、心身共に疲弊していくことが予想されます。
操作性が強い子どもへの対策について
以下、著書を引用しながら見ていきます。
「いつでも相談に乗るよ」という姿勢を保護者が持つこと、ささいなことでもお子さんの変化に気づいてあげることが重要です。
著書の内容から、〝操作性の強い子″への対策として、保護者並びに子どもに携わる大人たちが、子どもの変化に気づくこと、そして、子どもからの発信にいつでも応えていく姿勢を持つことだと言えます。
著者の療育現場では、常に大人の目が行き届く範囲で子どもたちが活動しているため、〝操作性の強い子″との関わりは直ぐに気づくことができます。
そのため、対応に関しても早めることができます。
一方で、学校などにおいては、常に教師の目が行き届くことが難しい状況が多いと言えます。
そのため、まずは困った場合に直ぐに子どもが助けを求められるような信頼関係の構築や、ヘルプサインの出し方(発信が苦手なケースにおいて)、そして、子どもの日々の状態に関する変化へのアンテナを高めておくことが重要だと言えます。
対人関係支援において重要な〝同じ特性を持つ子ども同士の関わり″
発達障害児は、同じ特性を持っている人同士の方がうまく関われるケースもあります。
例えば、興味関心の世界が似ているASD児同一の方が、共有できる点が多く、お互い話が合う、分かり合える場合もあります。
そのため、対人関係支援において、子どもの特性も考慮しながら、興味関心の世界を把握していき、そして、興味関心の世界を通して子ども同士を繋いでいくといった視点がとても重要だと言えます。
著者のこれまでの療育経験においても、非常にマニアックな電車好き・虫好きなどの話が展開して、子ども同士の関係性が深まっていったケースは少なからず見られています。
以上、【発達障害児への対人関係支援】気をつけるべきポイントについて考えるについて見てきました。
発達障害児への対人関係支援において、大切にしたい点や気をつけるべきポイントは、今回見てきたもの以外にも多くあると思います。
大切なことは、発達障害支援に携わる人たちが、自らの経験の中で得られた知見を深めていくことだと思います。
私自身、まだまだ未熟ではありますが、今後も療育実践を通して、発達障害児への対人関係支援について理解を深めていきたいと思います。
最後まで読んで頂きありがとうございました。
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