発達障害児には〝行事″の苦手が見られる場合が多くあります。
著者は現在、放課後等デイサービスに勤務しているため直接的に行事に関わることはありません。
一方で、学校現場とは繋がりがあるため、学校行事が理由となって子どもの状態が変わってくるといった子どももいるため(良くも悪くも)、行事が与える影響を考える場面は少なからずあります。
また、以前の職場が未就学児を対象とした療育をしていたこともあり、園の行事に関わる機会も多くありました。
こうした経験を通して、〝行事″の苦手さへの対応について考えることはとても大切な意味があると感じています。
それでは、行事に苦手さをもつ子どもに対してどのような対応方法があると考えられているのでしょうか?
そこで、今回は、発達障害児の行事の苦手さへの対応方法について、臨床発達心理士である著者の経験談も交えながら、原因と対策について理解を深めていきたいと思います。
今回参照する資料は「小嶋悠紀(2023)小嶋悠紀の「特別支援教育・究極の指導システム」②.教育技術研究所.」です。
行事を苦手とする子どもへの原因と対策について
著書では、行事を苦手とする子どもへの対応方法について、以下の3つの視点を取り上げています(以下、著書引用)。
①原因のアセスメントが先決
②参加阻害要因の除去or緩和はできないか
③参加条件の緩和
それでは、次に3つの視点について具体的に見ていきます。
①原因のアセスメントが先決
学校の先生たちの中には、〝みんなと同じ″を非常に大切にされる方もいるかもしれません。
そのため、学校行事への参加を強く促すという人もいるかもしれません。
著者の周囲のスタッフにもこうした考えを持っている人はいるように思います。
しかし、強制的に行事に参加させることのデメリットは想像以上に多くあります。
例えば、行事での失敗後学校への行き渋りが続いたケース、行事を通してみんなと同じようにできていないところを保護者が見たことによる心理的ダメージなど著者も実際に目にしてきました。
以上のことを防ぐために以下の点が重要になります(以下、著書引用)。
やはり「なぜ参加しづらいのか」というアセスメントをすることが対応の鍵となってくる。
著書の内容から、まずは〝どこに参加の難しさがあるのかをアセスメントする″ことが必要だということです。
②参加阻害要因の除去or緩和はできないか
以下、著書を引用しながら見ていきます。
行事を苦手とする原因が、彼らの行事への参加を阻害している「要因」となる。まずは「除去」できないかを探る。
行事が苦手な子どもには様々な理由があります。
例えば、特定の音を嫌う、大勢の人たちがいる環境を嫌う、いつもと違うスケジュールを嫌う、行事そのものの中身に苦手さがある、など様々なものがあるかと思います。
著者がこれまで関わってきた子どもたちの中には、運動会の銃声の音が苦手、大勢の前で演技をすることに不安感がある、大勢の人たちの声が苦手、など特に聴覚過敏を中心としたものが多かったように思います。
こうした参加を阻害している〝要因″を〝除去″できないかを検討していくことが必要になります。
③参加条件の緩和
以下、著書を引用しながら見ていきます。
参加阻害要因を除去しても参加が難しい場合は、参加の条件を緩めていく。これらはもちろん「合理的配慮」として提供する。
参加の条件を緩める例としては、参加時間を短くしたり、近くで見学するなどがあります。
著者が関わってきた子どもの中にも、参加の程度を少しずつ上げていくことでうまく行事に参加できるようになった子もいます。
例えば、参加しない→参加はしないが登校する→短い時間だけ参加する→みんなと同じように参加する、といった変化が見られた子もいます。
このお子さんの例から感じることは、やはり、無理な強制参加は進めてはいけないということです。
そのため、参加したくない要因のアセスメントとそれに対する対策を講じ、その上で、その子の合った参加の仕方を工夫していくことが必要な支援だと言えます。
以上、【発達障害児の行事の苦手さへの対応方法】原因と対策について考えるについて見てきました。
発達障害児にとって行事は予想以上に不確定要素など不安な点が多いのだと思います。
こうした不安感をしっかりと受け止め、対応策を講じていくことがとても大切な支援だと思います。
私自身、まだまだ未熟ではありますが、今後も発達障害児が持つ様々な不安感に寄り添いながらより良い支援を考えていきたいと思います。
最後まで読んで頂きありがとうございました。
参考となる書籍の紹介は以下です。
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小嶋悠紀(2023)小嶋悠紀の「特別支援教育・究極の指導システム」②.教育技術研究所.