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【発達障害児の癇癪・パニックへの対応】応用行動分析学の視点を通して考える

投稿日:2024年10月30日 更新日:

発達障害児は、発達特性や未学習・誤学習などが影響して正しい行動を学んでいない・学ぶ機会がない場合あります。

正しい行動を学習していくためには、困り感や問題行動などの背景要因を分析し、どのような対応をしていけば正しい行動を身に付けていけるのかを考えていくことが必要です。

 

それでは、発達障害児に見られる癇癪・パニックに対して、どのような対応方法があると考えられているのでしょうか?

 

そこで、今回は、発達障害児の癇癪・パニックへの対応について、臨床発達心理士である著者の経験談も交えながら、応用行動分析学の視点を通して理解を深めていきたいと思います。

 

 

今回参照する資料は「熊仁美・竹内弓乃(2022)「できる」が増える!「困った行動」が減る!発達障害の子への言葉かけ事典.大和出版.」です。

 

 

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癇癪・パニックへの支援のポイント

著書には、癇癪・パニックへの支援のポイントが3つ記載されています(以下、著書引用)。

1.癇癪が起こった時にできることはほとんどない!

 

2.癇癪のきっかけになる状況を変えよう

 

3.他者に気持ちを伝える手段を手に入れよう

 

著者のこれまでの療育経験を通しても以上の3点は大切だと感じています。

まず、1に関しては、癇癪・パニックは起こる前の予防が非常に重要であり、起こった後は本人へのクールダウンをはかることを優先しています。

そのため、個々に応じたクールダウンの方法の引き出しを多く持っておくことが必要です。

 

2に関しては、癇癪・パニックの再発を防ぐために、どのような状況や場面で起こりやすいのかを分析することが大切だと感じています。

例えば、感覚の問題(苦手な音など)、相性の悪い児童との関わり(他児トラブルなど)、急な予定変更、やりたいことが思うように進まないなどが、著者のこれまでの経験上多く見られることがありました。

 

3に関しては、癇癪・パニックしか表現方法を知らないといったものです。

そのため、他の表現方法を伝える必要があります。

著者は、言葉で伝える方法や紙に書いて伝える方法など、ネガティブな感情が高ぶる前に事前の策を講じたことで、癇癪・パニックを抑えることができた経験はこれまで多くあったと感じています。

 

 

癇癪・パニックへの対応

著書には、癇癪・パニックへの対応として3つのステップが記載されています(以下、著書引用)。

STEP1 癇癪が起きない工夫をしよう

 

STEP2 伝える手段を予習しよう

 

STEP3 伝える手段を実際の場面でやってみよう

 

 


それでは、3つのステップについて具体的に見ていきます。

 

STEP1 癇癪が起きない工夫をしよう

著書には以下の工夫などがあると記載されています(以下、著書引用)。

引きがねになるものは片づける

 

大人が一緒にあそぶ

 

望ましい行動を褒める

 

著者の療育経験を踏まえると、まずは癇癪・パニックが起こりうるもの(引きがねになるもの)は事前に対策を講じるようにしています。

刺激となるものは視覚的に見えない状態にしておくことも大切です。

また、やりたいことがあってもうまくいかない(いきそにない)場合において、大人が苦手な所をサポートすることも大切です(一緒に遊ぶ・活動する)。

さらに、普段の活動の中で、できている所をよく観察してフィードバックすることも行っています(望ましい行動を褒める)。

 

 

STEP2 伝える手段を予習しよう

著書には以下の伝える手段の予習方法があると記載されています(以下、著書引用)。

まずは言ってみよう

 

合図でもOK

 

カゴに入れる

 

著者の療育経験を踏まえると、自分のSOSを言葉にすることは思いのほか難しいことだと感じています。

そのため、日頃の活動の中で(できれば落ち着いている時など)、SOS(手伝って!など)の発信を引き出す工夫をしていくことは大切だと思います。

著書にある、まずは言ってみよう(言葉で伝える練習)が難しい場合には、合図でもOK(大人の背中をトントンするなど)、それが難しい場合には、遊んでいるおもちゃをカゴに入れるなど、持っている物を投げたり・壊さず終えるような方法を伝えてる工夫もあります。

 

 

STEP3 伝える手段を実際の場面でやってみよう

著書には以下の伝える手段を実際の場面でやってみる方法が記載されています(以下、著書引用)。

手伝って

 

トントンの合図

 

カゴに入れて、やーめた!

 

以上の手段はSTEP2で練習したものを実際の場面に応用するものです。

例えば、手伝ってであれば、工作がうまくできずにイライラ感が高まっている状態に対して、大人側から「手伝って!」と言い、子どもから同じように「手伝って!」と発信があったら、応えるなどがあります。

同じように、トントンの合図もイライラ感が高まっている状態に対して、「トントンして」と大人が発信して(背中を近づける)、それに子どもが「トントンした」場合に、子どもの困り感に応える方法です。

カゴに入れて、やーめた!とは、遊んでいるおもちゃがうまくいかずに癇癪を起こしそうな場合に、直ぐに片付け用のカゴを準備する、あるいは事前に側において置くことで、子どものイライラ感が高まった場合にカゴにおもちゃを入れるように促す方法です。

 

 


以上、【発達障害児の癇癪・パニックへの対応】応用行動分析学の視点を通して考えるについて見てきました。

子どもたちが見せる様々な行動には理由があります。

癇癪・パニックにも当然、背景要因があります。

応用行動分析学は子どもが見せる様々な行動の意味の理解と、正しい行動を身に付ける上で役立つ視点です。

私自身、まだまだ未熟ではありますが、今後も療育現場に応用行動分析学の視点を取り入れていきながら、より良い実践を目指していきたいと思います。

最後まで読んで頂きありがとうございました。

 

 

関連記事:「【発達障害児の〝パニック″直前の基本対応】〝パニック″を予防するために大切な関わり方

関連記事:「【発達障害児の〝パニック″直後の対応について】療育経験を通して考える

 

 

熊仁美・竹内弓乃(2022)「できる」が増える!「困った行動」が減る!発達障害の子への言葉かけ事典.大和出版.

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