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【発達障害児の子育てで大切にしたいこと】2種類の接し方から考える

投稿日:2023年10月17日 更新日:

著者は、発達障害など発達に躓きのある子どもたちへの療育をしています。

そのため、〝子育て″について保護者の葛藤や苦悩を共感するなど著者自身も色々と〝子育て″について考える機会があります。

その中で、著者が大切にしていることは、発達障害児への〝子育て″といえば〝発達特性への理解・関わり方″や〝定型発達児とは異なる発達曲線を踏まえた理解・関わり方″などがあります。

一方で、発達障害の有無を問わず大切な関わり方があるのも事実です。

 

それでは、発達障害児の子育てにおいて根底となる大切な関わり方とは一体どのようなものがあるのでしょうか?

 

そこで、今回は、発達障害児の子育てで大切にしたいことについて、臨床発達心理士である著者の経験談も交えながら、2種類の接し方から理解を深めていきたいと思います。

 

 

今回参照する資料は「島村華子(2020)モンテッソーリ教育・レッジョ・エミリア教育を知り尽くした オックスフォード児童発達学博士が語る 自分でできる子に育つ ほめ方 叱り方.ディスカヴァー・トゥエンティワン.」です。

 

 

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2種類の接し方とは?

以下、著書を引用しながら見ていきます。

①条件付きの接し方(条件付き子育て)

子どもの行動の善しあしによって、褒美や罰を使いながら愛情の注ぎ加減を調整し、行動をコントロールしようとする。

 

②無条件の接し方(無条件子育て)

行動の善しあしにかかわらず愛情を注ぎ、子どもの気もちに寄り添う。

 

以上が、2種類の接し方です。

 

条件付きの接し方″とは、プラスの行動には報酬を、マイナスの行動には罰をといったアメとムチ対応のことを指します。

例えば、テストでいい点数を取ったら○○のおもちゃを買ってあげる、逆に悪い点を取ったらペナルティとして課題を課すなどです。

無条件の接し方″とは、テストの結果にかかわらず子どもが頑張って取り組んだ過程を褒めたり、うまくいかない点を一緒に考えるなどがあります。

 

 


それでは、次に、著者の療育経験から上の2つの接し方について感じたことを見ていきます。

 

著者の経験談

著者はこれまで多くの子どもたちと療育現場で関わってきています。

その中で、子どもとの関係性が深まってきたと感じるものには〝無条件の接し方″を行っていたケースが多くあったように思います。

一方で、無自覚的に〝条件付きの接し方″をしてしまったことで、後悔した経験も同時にあります。

〝無条件の接し方″をしている時の著者の心境は必ず上司や他のスタッフの目線を気にした対応をしている時がほとんどだったと思います。

つまり、関わっている子どもを中心とはせずに、子どもを取り巻く大人に意識が向いた状態です(あるいは〝常識″と言われる判断基準)。

例えば、A君がB君に向けて物を投げたとしましょう(実際にこのようなことは現場では時々起こります)。

この場合、大人に意識が向いた状態だと、物を投げてしまった理由や背景などを考慮せずにA君を注意してしまう(著者の主観的な理解)ことが多いように感じます。

つまり、A君の内面に意識が向いていないということです。

あくまでも、周囲の大人から見られている目、社会の目が気になっていたということです(あるいは〝常識″といった判断基準など)。

A君が物を投げたことはだれもがいけないと思うことですが、それ以上に重要なことは、A君な〝なぜ投げたのか?″といった背景に目を向けることです。

背景に目を向けることで、物を投げた理由が、例えば、B君に遊びを邪魔された(邪魔されるかと思った)、一緒に遊びたくないが断り方が分からずに咄嗟に投げてしまったなど、様々な理由が出てくることがあります。

こうしたA君の思い(内面)を少しずつでもくみ取っていくことで、A君の内面の理解に繋がり、A君も著者に信頼をおいてくれるようになったのだと思います。

このように、子どもの内面に意識が向いた関わりをすることが〝無条件の接し方″なのだと最近強く思うようになりました。

子どもたち一人ひとりには異なる思いが働いており、その思いを理解しようとする姿勢こそが見返りを期待しない態度なのだと思います。

〝無条件の接し方″を日々積み重ねていくことで子どもとの関係性は非常に深まっていくのだと思います。

 

 


以上、【発達障害児の子育てで大切にしたいこと】2種類の接し方から考えるについて見てきました。

人には様々なバイアスがあります。

バイアスには例えば、〝賞と罰で子どもの行動はコントロールできる″といった偏った見方も含まれます。

〝無条件の接し方″とは、こうした偏りを取り除き、一人ひとりの子どもの内面に目を向け、見返りを求めず無条件に愛情を注ぐことなのだと思います。

私自身、まだまだ未熟ではありますが、今後も〝子育て″において大切な関わり方を実際の現場を通して学び保護者の方と共有していきたいと思います。

最後まで読んで頂きありがとうございました。

 

 

関連記事:「【発達障害児への〝褒め方″で大切なこと】療育経験を通して考える

 

 


参考となる書籍の紹介は以下です。

関連記事:「発達障害の子育てに関するおすすめ本6選【初級~中級編】

 

 

島村華子(2020)モンテッソーリ教育・レッジョ・エミリア教育を知り尽くした オックスフォード児童発達学博士が語る 自分でできる子に育つ ほめ方 叱り方.ディスカヴァー・トゥエンティワン.

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