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【発達障害児の子育てで大切にしたいこと】条件付き子育てのデメリットとは?

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発達障害の有無を問わずに〝子育て″の中で大切にしたい考え方があります。

中でも〝無条件の接し方″は非常に重要な関わり方です。

 

関連記事:「【発達障害児の子育てで大切にしたいこと】2種類の接し方から考える

 

一方で、〝条件付きの接し方″には様々なデメリットがあると言われています。

 

それでは、条件付きの子育てには具体的にどのようなデメリットがあると考えられているのでしょうか?

 

そこで、今回は、発達障害児の子育てで大切にしたいことについて、条件付きの子育てのデメリットについて理解を深めていきたいと思います。

 

 

今回参照する資料は「島村華子(2020)モンテッソーリ教育・レッジョ・エミリア教育を知り尽くした オックスフォード児童発達学博士が語る 自分でできる子に育つ ほめ方 叱り方.ディスカヴァー・トゥエンティワン.」です。

 

 

 

条件付き子育てのデメリットとは?

以下、著書を引用しながら〝条件付き子育て″のデメリットについて見ていきます。

  1. 短期的にしか教育効果がない
  2. 条件付きの自己肯定感しかもてなくなる
  3. 親子関係が悪くなる
  4. 世代を超えて引き継がれる

 

 


それでは、次に以上の4つのデメリットについて具体的に見ていきます。

 

1.短期的にしか教育効果がない

以下、著書を引用しながら見ていきます。

一時的に親にとって都合のいい子になるだけで、誰かのためによいことをしたいと心から思うわけでもなく、自分勝手な動機でしか行動しなくなります。

 

〝条件付き子育て″には、親の考えや思いによって子どもの行動の良しあしが決まるため、長期的に見ると多くのデメリットがあると考えられています。

例えば、著書にあるように、子ども自身の内発性に基づいて、誰かのために良いことをしようといった思いではなく、自己中心的な動機(親の価値観の投影など)から行動しようとするなどです。

こうした行動を取るのは、親自身が子どもの主体性を大切にした関わり方を取るのではなく、親の考えや思いを中心とした接し方を子どもに取っているからこそ起こりえることです。

 

 

2.条件付きの自己肯定感しかもてなくなる

以下、著書を引用しながら見ていきます。

外的な承認(周囲からの賞賛、物的な褒美など)によって自己評価が左右されるなど、条件付きの自己肯定感をもつようになる

 

著書の内容から、〝条件付き子育て″には、親の価値基準(それは無条件の愛とはかけ離れた基準)によって子どもの良しあしが決まるため、自己に対する評価が非常に歪んだものになってしまいます。

例えば、親が世間体を気にして子どもを評価する(他者との比較)などがあるかと思います。

こうした評価を受け続けることで、常に、自分自身の評価基準は親の視線・眼差し抜きでは評価できない、つまり、条件付きの自己肯定感しか持てなくなることに繋がっていきます。

 

 

3.親子関係が悪くなる

〝条件付き子育て″を行えば、当然、親子関係は悪くなります。

例外的に良好な関係が築けたとしても、周囲にマイナスな影響を与える可能性は大いにあります。

また、将来的な親子関係において大きなひずみが生じることもあります。

親としては、〝条件付き子育て″を行っていないと思っていても、うまくいかないこともあります。

 

ここで大切な点をお伝えします(以下、著書引用)。

子どもたちがどのように大人の愛情を感じているのかを意識すること

 

つまり、親が無条件の接し方をしていると思っていても、大切なことは子どもがどのように親の愛情を受け止めているのか、ということです。

子どもが親の愛情をしっかりと感じているかどうかを考えていくことが重要だと言えます。

 

 

4.世代を超えて引き継がれる

子育ては、〝世代間伝達″することがあります。

〝条件付き子育て″もまた例外ではありません。

 

以下、著書を引用しながら見ていきます。

自分が親からされたことはネガティブなものであったと認識しているのにもかかわらず、自分の子どもに対して同じ手法を使ってしまう場合が多い

 

著書にあるように、〝条件付き子育て″を受けた子どもはその子育てにネガティブな感情を持っていたとしても、同じやり方で子育てする場合が多いと考えられています。

つまり、無自覚的・無意識的に親の子育ての方法が刷り込まれてしまっているケースが思いの外多いと言えます。

 

 


以上、【発達障害児の子育てで大切にしたいこと】条件付き子育てのデメリットとは?について見てきました。

〝条件付き子育て″には様々なデメリットがあることが理解できたかと思います。

そういう著者も、子どもたちとの関わりの中で、無自覚的に〝条件付き″な関わり方をしているかもしれません。

私自身、まだまだ未熟ではありますが、今後も自分の療育態度を見直しながら、可能な限り無条件の接し方を心がけていきたいと思います。

最後まで読んで頂きありがとうございました。

 

 


参考となる書籍の紹介は以下です。

関連記事:「発達障害の子育てに関するおすすめ本6選【初級~中級編】

 

 

島村華子(2020)モンテッソーリ教育・レッジョ・エミリア教育を知り尽くした オックスフォード児童発達学博士が語る 自分でできる子に育つ ほめ方 叱り方.ディスカヴァー・トゥエンティワン.

 

-子育て, 発達障害

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