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【発達障害児の問題行動を減らす方法】ファクターマネジメントから考える

投稿日:2023年10月11日 更新日:

 

療育現場で、発達障害など発達に躓きのある子どもたちと関わっていると〝問題行動″が起こる場面に遭遇することが少なからずあります。

例えば、他害行為や暴言、逃避などです。

こうした問題行動への直接的な対応も必要不可欠ではありますが、まずは、〝問題行動″がなぜ生じているのかを分析することが非常に大切です。

 

それでは、問題行動を減らす方法として、どのような分析の仕方があるのでしょうか?

 

そこで、今回は、発達障害児の問題行動を減らす方法について、臨床発達心理士である著者の経験談も交えながら、ファクターマネジメントについて理解を深めていきたいと思います。

 

※この記事は、臨床発達心理士として10年以上療育現場に携わり、修士号(教育学・心理学)を有する筆者が執筆しています。

 

 

今回参照する資料は「小嶋悠紀(2023)小嶋悠紀の「特別支援教育・究極の指導システム」②.教育技術研究所.」です。

 

 

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ファクターマネジメントとは何か?

著書の中では、〝問題行動″への分析方法として次の二つに因子を明らかにすることが大切だと記載されています(以下、著書引用)。

一つは「危険因子「である。

 

問題行動発生のための「原因」となる因子を「危険因子」という。

 

次に「保護因子」である。

 

「それ」があることで、問題行動や不適応行動を「抑制できる因子」のことである。

 

二つの因子とは、著書にあるように〝危険因子″と〝保護因子″のことです。

多くの人は(著者も含め)〝危険因子″に目が向きやすい傾向があるように思います。

つまり、○○の状況だと他児に手がでやすい、○○の場面だとかんしゃくやパニックに起こりやすい、などです。

 

一方で、〝保護因子″をおさえておくことも非常に大切です。

〝保護因子″とは、○○のサポートがあること他害が起こりにくい、○○の環境ならかんしゃくやパニックが起こりにくい、などの問題行動を抑制できる因子です。

 

 


それでは、以上の二つの因子を踏まえて〝ファクターマネジメント″とは何か?について見ていきます(以下、著書引用)。

そうすることで、支援方針は単純明快になる。「危険因子はできるだけ弱め、保護因子はできるだけ強化する」である。

 

その上で、問題行動の増減を具体的な数値として把握し、測定する。

これを「ファクターマネジメント」という。

 

著書の内容から、〝ファクターマネジメント″とは、問題行動の増減を具体的な数値で把握し測定する方法になります。

そして、〝ファクターマネジメント″を行う上で、必要になるのが〝危険因子″と〝保護因子″を把握していくことになります。

ここで、よく見落とされるのが、〝保護因子″の把握です。

人は基本的にリスクのあるところに目が行きがちです。そのため、〝危険因子″の理解や把握は進みやすい傾向があります。

一方で、〝保護因子″は状況・環境などを注意深く読み解いていかないと見つけることが難しい因子でもあります。

〝ファクターマネジメント″を行い、良い支援へと繋げていくためには、〝保護因子″の把握と調整が非常に重要だと言ってもいいでしょう。

 

 

著者の経験談

冒頭で紹介した通り、著者は療育現場で、子どもたちの問題行動に出会うことがよくあります。

問題行動を具体的な数値などに落とし込んで対応する、いわゆる〝ファクターマネジメント″は行っていないものの、〝危険因子″と〝保護因子″は把握するようにしています。

長年の療育現場での経験から言えることは、〝保護因子″を把握して、この因子をうまく活用することの重要性です。

子どもにとって安心できる環境(人・もの・場所など)を事前に把握して調整していくことでリスクを非常に減らしていくことができると実感しています。

そのため、活動がはじまる前に、活動内でリスクとなるところ(子どもの相性、活動スペース、貸し借りが必要となる物など)を事前にスタッフ間で把握して、アクションに繋げていくことを心がけています。

つまり、〇○くん・○○ちゃんにとって安心できる環境をはやめに整えていくこと、○○があれば安心できるなどの材料を早めに準備しておくということです。

同時に、〝危険因子″といった○○があると問題行動が生じやすい因子を遠ざけるような環境調整も行うようにしています。

もちろん、スタッフ体制によっては対応が難しくなることもありますが、それでも、事前に問題行動を減らす方法を考えておくことはより良い支援を行う上でも必須事項だと感じています。

 

 


以上、【発達障害児の問題行動を減らす方法】ファクターマネジメントから考えるについて見てきました。

問題行動は様々な背景があって生じます。

それは、特性からくるものであったり、季節や環境の変化などもあります。

私自身、まだまだ未熟ではありますが、今後も子どもたちの過ごしが少しでも安定したものになるように、問題行動といったリスクを軽減する方法についても理解を深めていきたいと思います。

最後まで読んで頂きありがとうございました。

 

 

関連記事:「【発達障害児の〝問題行動″の測定の仕方について】療育経験を通して考える

関連記事:「【発達障害児の〝問題行動″の分析の仕方について】療育経験を通して考える

 

 


参考となる書籍の紹介は以下です。

関連記事:「発達障害の支援に関するおすすめ本5選【初級~中級編】

 

 

小嶋悠紀(2023)小嶋悠紀の「特別支援教育・究極の指導システム」②.教育技術研究所.

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