発達障害児には〝切り替え″の困難さが生じることがよくあります。
その要因には、ワーキングメモリの苦手さなどもあると考えられています。
関連記事:「【発達障害児の切り替えの困難さについて】ワーキングメモリを例に考える」
それでは、発達障害児の切り替えの難しさにはどのような対応方法があるのでしょうか?
そこで、今回は、発達障害児の切り替えの困難さへの対応について、臨床発達心理士である著者の経験談も交えながら理解を深めていきたいと思います。
今回参照する資料は「小嶋悠紀(2023)小嶋悠紀の「特別支援教育・究極の指導システム」②.教育技術研究所.」です。
切り替えの困難さへの対応について
著書に中では、シフティング(切り替え)への支援方法として以下の4つを取り上げています(以下、著書引用)。
① 課題の区切れ目を明確にする
② 課題の区切れ目を時間で提示する
③ 前の学習活動と違う学習活動でシフトさせる
④ なるべく「予告」を行って切り替えの心構えを作る
以上の内容は学習場面に焦点を当てていますが、他の様々な活動場面にも応用できるもだと思います。
それでは、次に、それぞれについて具体的に見ていきます。
① 課題の区切れ目を明確にする
漠然とした活動内容や活動時間がその子にとって長いと、集中力の持続が難しくなることがあります。
そのため、一時間という枠の中で区切る、一日の中で区切る、一週間単位で区切るなど課題の区切れ目を明確に示すことが有効です。
切り替えが難しいと自分で予定を立てることが難しいからです。
著者も一日の活動の予定はスケジュール表に書き、視覚的に示したり、より個別の配慮が必要な子供には活動前にスケジュールを一緒に立てるなどの方法を取っています。
② 課題の区切れ目を時間で提示する
先に見た課題での区切れ目を意識した関わりが難しい場合には、〝時間″による提示が有効な場合があると著書には記載されています。
例えば、○○の活動の残り時間はあと○○分、というように終わりの時間を意識して活動を進めるなどです。
もちろん、時計やタイマーを活用するなど視覚的な提示も有効です。
著者は遊びの中で残り時間を常に子どもたちに伝えることを意識しています。
こうした対応を心がけることで、活動にメリハリが生まれ、遊びに勢いがでることがよくあります。
③ 前の学習活動と違う学習活動でシフトさせる
学習場面で切り替えを促す方法として学習活動の内容そのものを全く違うものへとシフトさせる方法があると著書には記載されています。
著者も療育現場で、なかなか切り替えがうまくいかない子どもたちには、思い切って他の活動に誘うこともあります。
例えば、ある活動に没頭して遊びをなかなかやめることができない子どもに、その子の好きそうな他の遊びを提案し、一緒に遊びを行いその中で次への切り替えを促していく方法です。
④ なるべく「予告」を行って切り替えの心構えを作る
この方法は著者も療育現場で、非常に多く活用する方法です。
特にASDやADHDなどの特性のある子どもたちはある活動に没頭することが多く見られます。
そのため、本人の中で切り替えが難しい状態が出てきます。
そんな中で、急に遊びを中断するように声をかけるとイライラしたり、止めることが難しい様子も見られます。
そのため、事前に活動の終わりの時間やタイミングなどを〝予告″しておき、合意を取っておくことが、子どの中で切り替えの心構えができることに繋がっていくのだと思います。
以上、【発達障害児の切り替えの困難さへの対応について】療育経験を通して考えるについて見てきました。
切り替えの困難さは発達支援に携わる方や保護者の方にとっては思いのほか困り事として上がってくることが多いように感じます。
そのため、切り替えがなぜ苦手なのか?そして、どのような対応方法があるのか?について理解していくことはとても大切だと思います。
私自身、まだまだ未熟ではありますが、今後も療育現場で、子供たちの認知特性を踏まえた関わり方ができるように支援の質を高めていきたいと思います。
最後まで読んで頂きありがとうございました。
参考となる書籍の紹介は以下です。
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