〝他害″行動とは、他者に対して暴力や暴言を行うことです。
著者の療育現場には、発達障害など発達に躓きのある子どもたちが通所してきていますが、その中にも〝他害″行動が見られるケースが少なからずあります。
暴力や暴言といった〝他害″行動への対応として、まず大切になるのが〝環境調整″の視点です。
それでは、〝他害″行動への対応方法としての〝環境調整″にはどのような環境の整え方があるのでしょうか?
そこで、今回は、発達障害児の〝他害″行動への対応方法について、臨床発達心理士である著者の経験談も交えながら〝環境調整″の視点から理解を深めていきたいと思います。
今回参照する資料は「小嶋悠紀(2023)発達障害・グレーゾーンの子がグーンと伸びた声かけ・接し方大全 イライラ・不安・パニックを減らす100のスキル.講談社.」です。
〝他害″行動への対応方法:〝環境調整″の視点
著書の中には、〝環境調整″の内容として次の3つの視点が記載されています(以下、著書引用)。
①生活環境を整える
②人的環境を整える
③大人が刺激になっていないか
それでは次に、それぞれ具体的に見ていきます。
①生活環境を整える
以下、著書を引用しながら見ていきます。
なりよりもまず、「静かな環境」を用意しておくのが基本です。(中略)カーテンやパーテーションでしっかり区切られた空間をつくっておけば、そこで子どもに休んでもらうことができます。
著書に記載があるように、著者の療育現場でも〝静かな環境″を事前に整えておくことが大切だと考えています。
また、著書にもあるように、静かな環境の調整が難しい場合には、パーテーションなどの仕切りを活用することも有効だと思います。
著者の療育現場でも、パーテーションなどの仕切りを活用することで、空間的にもパーソナルスペースが確保される安心感などから落ち着いて過ごすようになった子も多くいます。
とにかく、視覚的にも聴覚的にも周囲の刺激が入りにくい環境調整がとても大切だということです。
②人的環境を整える
以下、著書を引用しながら見ていきます。
発達障害の子が、仲のよくない子や、ちょっかいを出す子の隣に座らせられていないか、よく確認してください。
〝人的環境″を整えるとは、集団内の人間関係で刺激になる子どもたち同士が近くにいる環境設定になっていなかを把握し、環境を分けていくことだと言えます。
著者の療育現場でも〝人的環境″を整えることは、前述した〝生活環境″を整えるのと同様に日々行っている取り組みになります。
仲のよくない子どもたちが距離を取ることも大切ですが、こうした環境調整が難しい場合には、大人が間に入ることでトラブルを回避できるところもあると感じています。
③大人が刺激になっていないか
以下、著書を引用しながら見ていきます。
厳しすぎる大人がいる環境では、子どもの不安感も強くなるので、問題行動が出やすくなります。
×声が大きい
×言葉が高圧的・威圧的
×叱り方が厳しすぎる
大人が刺激になっているという視点は著書にもありますが意外と見落とされるものだと思います。
中でも、厳しすぎる大人がいる環境では、子どもの不安感が高まり、問題行動が増えてしまうと著書には記載されています。
自分の行動を振り返る意味でも、〝上記にある三つの×″をしていないかを確認することは大切だと著者も感じています。
これまでの著者の経験を振り返って見ても、〝上記にある三つの×″の比率が高い環境だと、子どものトラブルや〝他害″が増えていたと実感できます。
しかし、こうした対応をしている当の大人は良かれと思ってやっている場合もあるため、現場に携わるスタッフ全員が意識して修正していくことが大切だと思います。
以上、【発達障害児の〝他害″行動への対応方法について】〝環境調整″の視点から考えるについて見てきました。
〝環境調整″といってもその内容は様々あります。
そして、〝人″もまた子どもたちから見ると重要な環境だということです。
私自身、まだまだ未熟ではありますが、今後もこれまで通りに環境を整える視点を大切にしていきながら、他害行動を減らすことができるような取り組みをしていきたいと思います。
最後まで読んで頂きありがとうございました。
関連記事:「【発達障害児の〝他害″行動の意味とは何か?】療育経験を通して考える」
小嶋悠紀(2023)発達障害・グレーゾーンの子がグーンと伸びた声かけ・接し方大全 イライラ・不安・パニックを減らす100のスキル.講談社.