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【発達障害児に見られる片付けができない・苦手なことへの対応】5つのポイントを通して考える

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著者は長年、療育現場で発達障害など発達に躓きのある子どもたちへの療育をしてきています。

その中で、子どもの対応で苦慮するものとして、〝片付け″への対応があります。

発達障害児の中には、背景要因は多様でありながらも、〝片付け″ができない・苦手なケースが多く見られます。

 

それでは、発達障害児に見られる片付けができない・苦手な場合に対して、どのような対応方法があると考えられているのでしょうか?

 

そこで、今回は、発達障害児に見られる片付けができない・苦手なことへの対応について、臨床発達心理士である著者の経験談も交えながら、5つのポイントを通して理解を深めていきたいと思います。

 

 

今回参照する資料は「岩永竜一郎(2022)発達症のある子どもの支援入門-行動や対人関係が気になる幼児の保育・教育・療育-.同成社.」です。

 

※幼児を対象として書かれた本ですが、学童期にも活用できる視点も含まれていると思います。

 

 

片付けができない・苦手なことへの対応:5つのポイント

著書には〝片付けができない″ことへの対応方法として、以下の5つのポイントが書かれています(以下、著書引用)。

片付けの場所をわかりやすくする

 

片付けのみをする時間を作ってみる

 

片付ける量をあらかじめ減らす

 

片付けることにメリットを付け加える

 

切り替えが苦手な子どもには予告してみる

 

 


それでは、次に、以上の5つのポイントについて具体的に見ていきます。

 

1.片付けの場所をわかりやすくする

以下、著書を引用しながら見ていきます。

言語理解力は低いものの視覚認知能力が高い子どもには、このような方法が効果的なことが多いです。

 

著書にあるように、発達障害児、中でも、自閉症児は視覚的な理解を得意としているケースがよく見られます。

そのため、片付ける場所を構造化するといった工夫がとても大切です(〝片付けの場所をわかりやすくする″)。

著者のこれまでの療育経験を踏まえても、ロッカーに顔写真・名前を貼る、おもちゃのカゴに入れる物の写真を貼っておく、用途ごと(工作・おもちゃ・ボールなど)に収納スペースを分けるなどの環境調整をしています。

子どもによって差はありますが、中には、構造化の効果がとてもよく表れたケースもあると感じています。

 

 

2.片付けのみをする時間を作ってみる

以下、著書を引用しながら見ていきます。

片付け以外はしない時間を作り、それを子どもにわかりやすく伝えることが必要です。

 

発達障害児はマルチタスクを苦手としている場合が多くあります。

つまり、〝○○しながら○○もする″といった同時並行処理の苦手さがあります。

さらに、次にやりたいことが先行することで、片付けがおろそかになってしまうこともよくあるため、①片付け、②○○の遊び、など片付けに特化した時間を設けることが大切です(〝片付けのみをする時間を作ってみる″)。

著者はこれに加えて、片付けをある種のゲーム感覚で行うように子どもに働きかけることがよくあります。

例えば、「さぁ、何分で片付けられるかな?計ってみよう!よーいドン!」などと、声掛けすると火が付いたようにスムーズに片付けはじめる子どももいます。

 

 

3.片付ける量をあらかじめ減らす

以下、著書を引用しながら見ていきます。

最後の数個であれば、片付ける気持ちが出やすくなりますし、片付けが完了したという達成感を味わいやすくなります。

 

片付けの量が多いと、子どもはなかなか片付けに取り掛かろうとしない場合があります。

そのため、著書にあるように、事前に片付ける量を調整する工夫も必要です(〝片付ける量をあらかじめ減らす″)。

片付けが苦手な子どもにとって、まずは少しの取り組みで片付けが完了するといった見通しが持てることで、片付けへの意欲・動機が高まることがあります。

著者はこれに加えて、最初は慣れるまで大人が一緒の手伝うことも一つの方法だと考えています。

 

 

4.片付けることにメリットを付け加える

以下、著書を引用しながら見ていきます。

片付けている時に褒める機会を増やすと効果的なことがあります。

 

褒める際には片付け終わってから褒めるのではなく、片付け始めたら褒めるようにすることが必要です。

 

著書にあるように、〝褒める″ことも子どもが感じやすいメリットの一つです(〝片付けることにメリットを付け加える″)。

もちろん、信頼している大人から褒められると喜びが大きいなど、関係性の視点も必要になってくる場合もあります。

また、ADHD児などは、報酬遅延の問題があるため(すぐに報酬を得たい!褒められたい!)、片付け後に褒めるのではなく、著書にあるように、片付け始めに直ぐに褒めることが重要です。

著者もADHDの特性のある子どもには、片付け始めの褒め、片付け途中の褒め、片付け後の褒め、などテンポよく褒めることで片付けがよりスムーズに進んだケースはこれまで少なからずあったと実感しています。

 

 

5.切り替えが苦手な子どもには予告してみる

以下、著書を引用しながら見ていきます。

片付けの時間よりも前に「あと3分で片付けだよ」のような予告をしておくと切り替えの促しに役立つことがあります。

 

発達障害児(ASD児やADHD児など)の中には、〝切り替え″が苦手なケースがよく見られます。

そのため、事前に予定を伝える工夫がとても大切です(〝切り替えが苦手な子どもには予告してみる″)。

例えば、「後、○○分でおしまいだよ」、「○○が終わったら(活動内容)おしまいだよ」なとど予告していきます。

著者もこうした予告は、特に切り替えが苦手な子どもにはよく使っています。

こうした地道な取り組みによって、次第に切り替えがスムーズになっていったケースは多くあったと感じています。

 

 


以上、【発達障害児に見られる片付けができない・苦手なことへの対応】5つのポイントを通して考えるについて見てきました。

今回見てきたように片付けにも様々な対応方法があります。

そして、対応する際には、発達特性への配慮の視点も忘れずに行う必要があります。

私自身、まだまだ未熟ではありますが、今後も日々の活動の中で子どもたちがうまく片付けができるようになるために、今回見てきたポイントを中心に実践を継続していきたいと思います。

最後まで読んで頂きありがとうございました。

 

 

関連記事:「【発達障害児は〝片付け″が苦手?】〝片付け″がうまくなるためのコツについて考える

関連記事:「【発達障害児はなぜ片付けが苦手なのか?】片付けが苦手な理由と対応について考える

 

 

岩永竜一郎(2022)発達症のある子どもの支援入門-行動や対人関係が気になる幼児の保育・教育・療育-.同成社.

-片付け, 発達障害

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