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【発達障害児がタブレットを止められないときの対応方法】療育経験を通して考える

投稿日:2025年4月23日 更新日:

 

発達障害のある人は、〝ゲーム依存″〝メディア依存″と高い関連性があることが指摘されています。

 

関連記事:「【発達障害とゲーム依存の関連について】ADHDとASDを例に考える

 

著者は、これまで発達障害など発達に躓きのある子どもたちへの療育を10年以上にわたって行ってきています。

その中で、例えば、タブレットでの動画の視聴やゲームをなかなか止めることができないケースに出会うことが少なからずあります。

 

それでは、タブレットによる動画の視聴やゲームの使用を、うまく止めることができない子どもたちに対して、どのような対応方法があるのでしょうか?

 

そこで、今回は、発達障害児がタブレットを止められないときの対応方法について、臨床発達心理士である著者の経験談をもとに理解を深めていきたいと思います。

 

※この記事は、臨床発達心理士として10年以上療育現場に携わり、修士号(教育学・心理学)を有する筆者が執筆しています。

 

 

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発達障害児がタブレットを止められないときの対応方法:失敗例

まずは、〝失敗例″から見ていきます。

その多くが〝過剰なルールの提示″です。

例えば、一回〇〇分まで見られるといった時間によるルールの提示を、著者は行うことがありますが、これは思いの他効果がないといった印象があります。

そもそも、ルールの提示を理解し実行できるレベルの子どもであれば苦労はしません。

ルールの提示がすぐに理解できる子どもは、一般的な大人への信頼があること、社会の基本となるルールを理解していること、理解したことをすぐに行動に移せることが多いといった印象があります。

過剰なルールの提示″による最大のデメリットは、〝大人に対する嫌悪感″です。

この人は自分のことを理解してくれない、自分の興味を奪う人だと認知されてしまうと、その人が提示することを受け入れることが難しくなっていきます。

提示する人=嫌い、といった認知がまずは先行してしまうのだと言えます。

発達障害児の多くは、ゲームやメディアへの過集中が多く見られること(興味関心の対象となりやすい)、また、興味関心の幅が狭い(特に自閉症児)といった特徴があるため、こうした発達特性を理解した対応が必要だと言えます。

ちなみに、著者は、過剰なルールの提示による失敗をこれまで少なからずやってしまっていたように思います。

一方で、失敗を通して、より良い支援方法を模索する判断材料が獲得できたというメリットも感じています。

 

 

発達障害児がタブレットを止められないときの対応方法:成功例

それでは、次に、以上の内容を踏まえて〝成功例″について見ていきます。

まずは、〝子どもがやっていることに興味を示す″ことです。

子どもが視聴している動画への興味、どのようなゲームをやっているのかに対する興味が必要だと言えます。

子どもたちにとって、動画の視聴やゲームは大きな楽しみの一つです。

その楽しみに対して、興味関心を示すこと、つまり、共感が大切になってきます。

子どもがやっていることに関心を示す大人に対して、子どもは徐々に心を開いていくようになります。

つまり、〝大人への信頼″の獲得に繋がっていきます。

大人への信頼が高まることで、その大人に対して、ポジティブな認知を持つようになります。

そして、そうした大人が、タブレットのルールを提示していくことで、ルールがうまく呑み込めるようになっていくのだと思います。

また、大人のルールの提示が難しければ、一緒にルール作りをしても良いと思います。

ルール決めの基本は話し合いです。

もちろん、大人がルール決めに対して、ある程度の枠を決めておくことも大切ですが、子どもが自分の提案を飲み込んでもらえたという感覚がとても大切だと言えます。

 

以上の対応以外にも、著者はタブレット以外の興味関心を促す関わりを大切にしています。

タブレットなど、ゲーム・ネットとの関わりがない時間、楽しめる遊びの提示、または、楽しめる遊びを探していくことがとても重要だと言えます。

タブレット以外にも、興味関心のある遊びができてくると、今度は、タブレットの時間も混ぜてのスケジュール決めが可能になっていきます。

つまり、発達障害児が苦手とする〝見通し“を、子どもの興味関心に基づいて決めていくことが可能になっていくと言えます。

 

 


以上、【発達障害児がタブレットを止められないときの対応方法】療育経験を通して考えるについて見てきました。

〝ゲーム依存″〝ネット依存″など、発達障害児とゲーム・ネットとの関わり方が非常に話題に上がるようになってきています。

こうした中で、ゲーム・ネットの存在を否定せず、うまい付き合い方・関わり方を模索していく姿勢がとても大切だと感じています。

私自身、まだまだ未熟ではありますが、今後も発達障害児とゲーム・ネットとの関わり方について、様々な研究知見も踏まえながら、より良い実践方法を検討していきたいと思います。

最後まで読んで頂きありがとうございました。

 

 

関連記事:「【ゲーム依存への対応方法】基本対応と回復の過程について考える

関連記事:「【ゲーム依存にならないためのルール作りについて】療育経験を通して考える

 

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-タブレット, 発達障害

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