発達障害の子どもにとっても小学校卒業以降に本格的に〝思春期″に入っていきます。
個人差はありますが、心身共に急激な成長が見られ、反抗期もこの時期に見られることが多くなります。
著者は人数こそ多くありませんが、思春期の時期を含め現在成人した発達障害の方と関わる機会がありました。
それでは、発達障害の子どもの思春期において親はどのような関わり方が大切になるのでしょうか?
そこで、今回は、発達障害の子どもの思春期について、臨床発達心理士である著者の意見も交えながら、親の関わり方で大切なことについて理解を深めていきたいと思います。
今回参照する資料は「加藤博之(2023)がんばりすぎない!発達障害の子ども支援.青弓社.」です。
発達障害の子どもの思春期で大切な親の関わり方
以下、著書を引用しながら見ていきます。
基本的に、思春期の子どもに対して積極的にできることは何もありません。
親がやるべきことは、ドンと構えて見守るしかありません。見守るというのは、失敗ややる気のなさを責めないということです。
見守ること以外に「応援」としてできることがあるとすれば、それは、家庭内でリラックスできる、穏やかな雰囲気を醸し出すということです。
この時期は、親以外の大人との信頼関係を作ることが大切です。
著書の内容から以下の点が大切だと言えます。
①見守ることを基盤とした関わり方を大切にする
②家庭内がリラックスできる雰囲気になっている
③親以外の大人との信頼関係を作っていく
それでは、①~③について具体的に見ていきます。
①見守ることを基盤とした関わり方を大切にする
思春期とは、子どもが親の干渉を避けたくなる時期でもあります。
心のブレーキが効きづらく、一方で心のアクセルが増加するため、衝動的行動への抑制が効かなくなることも特徴としてあります。
そのため、親にとっては心配が高まる時期とも言えます。
例えば、何か悪さをするのではないか?悪い仲間に誘われるのではないか?など非行や犯罪に手を出してしまうことを懸念するなどです。
ここで大切なことは、〝見守ることを基盤とした関わり方″を重視することです。
過度に干渉すると親子の関係が崩れてしまい、肝心な時に、相談することが難しくなる場合があります。
そして、著書にもありますが、うまくいかなかったことややる気のなさを責めないこともまた大切なことだと思います。
②家庭内がリラックスできる雰囲気になっている
子どもを温かく見守る上で大切なことは、〝家庭内がリラックスできる雰囲気となっている″ことです。
家庭内がギスギスしていては、子どもは家でくつろぐというよりも、外で自分の様々な気持ちを発散させることを選択するようになると思います。
また、家庭内に子どものスペースが確保されていることも必要だと思います。
もちろん、家の構造上や家族構成によっては難しいところもあるかもしれませんが、可能であれば家庭内での子どものスペースを作ることが大切だと思います。
③親以外の大人との信頼関係を作っていく
親の関わり方ではありませんが、〝親以外の信頼のおける大人との関係構築″もまた大切な視点です。
著書には、例として教師や専門家などがあると記載されています。
現代社会は、地域社会が衰退してきている所があるため、地域の中で斜めの関係を築く難しさがあります。
そのため、昔であれば近所のおじさん、おばさんなどとの出会いやそこで生まれる信頼関係も多くあったと思います。
一方で、斜めの関係が築きづらい現代社会においては、自ら能動的にコミュニティや信頼のおける大人を探していく必要があります。
そのため、子どもの頃から、学校以外のコミュニティを探していくことも親の役割として大切だと思います。
著者が勤める放課後等デイサービスではこうした斜めの関係を築くためには、とてもよいコミュニティだと実感しています。
教師や専門家の人たちとの関係が難しければ、福祉サービスを活用していく中でうまれた様々な大人との出会いの中で、信頼のおける相手を見つけていくことも大切だと思います。
以上、【発達障害の子どもの思春期について】親の関わり方で大切なこととは何か?について見てきました。
もちろん、これまで見てきた①~③以外にも大切な視点はあると思います。
また、発達障害の子どの状態像によっては、逆に手厚い環境を整えていく必要があるケースもあると思います。
今回は、あくまでも、一般的な思春期への親の関わり方に話をフォーカスしています。
私自身、まだまだ未熟ではありますが、今後も発達障害への支援をしていく上で、様々なライフステージへの理解を深めた支援をしていきたいと思います。
最後まで読んで頂きありがとうございました。
関連記事:「自閉症の療育-思春期前後で大切にしたいこと-」