著者は、発達障害など発達に躓きのある子どもたちへの療育(発達支援)を、これまで10年以上にわたり行ってきています。
子どものたちの成長においてとても大切になるのが〝成功体験″です。
〝成功体験″は単発で終えるのではなく、持続的に積み上げていくこともまた重要だと言えます。
それでは、療育(発達支援)で子どもの成功体験を増やしていくためには、どのような工夫が必要なのでしょうか?
そこで、今回は、療育(発達支援)で子どもの成功体験を増やすための工夫について、臨床発達心理士である著者の経験談から3つの視点を通して理解を深めていきたいと思います。
【療育(発達支援)で子どもの成功体験を増やすための工夫】3つの視点を通して考える
1.子どもの興味関心の把握と理解
子どもたちの興味関心は多様です。
一方で、一人ひとり異なる興味関心の入り口をきっかけとして、子どもの力が非常に高まっていくことを実感しています。
それは、〝主体的学び″があるからです。
子どもは自ら興味関心を持った事柄について、自分で調べはじめたり、同じ遊びをくり返したり(工夫や試行錯誤も含まれている)、他者と興味を分かち合うなど、興味関心の世界を拡張させていきます。
こうした過程の中で、身に付く様々な能力やモチベーションの向上は確実にあると実感しています。
そのため、著者は、どんな些細に見える子どもたちの興味関心への発信を拾い上げることを心掛けています。
つまり、子どもの興味関心に関心を向ける、リアクションを大きく取る大人の姿勢が、子どもの今後の成功体験に大きく繋がっていくと言えます。
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2.できているところを認め・できたところを褒める
子どもができたところを褒めることは、子どもの成功体験に深い意味を持たせる働きだと言えます。
子どもは、信頼している大人から〝褒められる″ことを通して〝自尊心・自己肯定感″を強化させていきます。
一方で、例え、子どもの行動や取り組みが思うように進んでいなくても、まずは、子どものことを無条件に認める姿勢がとても大切だと言えます。
子どもは、自分の存在を無条件に肯定し続けてくれる大人のことを信頼することは間違いなくあると実感しています。
こうした信頼関係のもと、〝褒められる″行為を通して、子どもにとってのプラスの行動が徐々に強化され、成功体験を積み上げていくことに繋がっていくのだと言えます。
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3.発達の最近接領域と足場作りによるアプローチ
子どもが成功体験を積み上げていくためにも、今一人でできるラインと他者のサポートを借りてできるラインの見極め、つまり、〝教育的アプローチ″が必要です。
これは、専門用語で〝発達の最近接領域″と言われるものです。
そして、〝発達の最近接領域″をもとに、具体的対応策を整えていくことを〝足場作り″と言います。
簡単に言えば、前者が〝アセスメント″、後者が〝支援″とも言えると思います。
子どもが様々な事柄に挑戦していく中で、挑戦を成功に変えていくためにも、独力でできる部分と、他者の力を借りてできる部分との見極めと、それに対するサポートがとても重要です。
この〝アセスメント″と〝支援″の繰り返しによって、子どもの成功体験は積み上がっていくのだと言えます。
もちろん、そのためにも、子どもの発達を理解する専門性がとても必要であることも実感しています。
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以上、【療育(発達支援)で子どもの成功体験を増やすための工夫】3つの視点を通して考えるについて見てきました。
子どもにとって成功体験はとても重要です。
成功体験は、仮に一回の大きな成功が子どもを大きく変えるきっかけとなるものもあれば、継続した成功体験が徐々に子どもを変えていく原動力になることもあります。
療育で大切なことは、子どもの〝自尊心・自己肯定感″と〝自己効力感″を育むことにあります。
そのためにも、日々の活動において、成功体験を実感できる機会を与えていくことがとても大切です。
私自身、まだまだ未熟ではありますが、今後も療育実践の中で、子どもの成功体験をサポートしていく取り組みを考え実践していきたいと思います。
最後まで読んで頂きありがとうございました。
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