著者は発達障害など発達に躓きのある子どもたちと療育現場で長年関わってきています。
療育経験を通して感じることは、子どもの成長には個人差があること、そして、日々の地道な活動経験を通して多くのことを学び成長していくといった実感です。
子どもの成長において大切な要素は、〝安心できる環境″です。
関連記事:「【療育で大切なこと】安心できる環境の特徴を通して考える」
それでは、〝安心できる環境″の中で子どもたちにはどのような良き変化が見られるのでしょうか?
そこで、今回は、療育で大切なことについて、臨床発達心理士である著者の経験談を踏まえて、子どもたちの良き変化について理解を深めていきたいと思います。
療育で大切なこと:子どもたちの良き変化について
それでは〝安心できる環境″が整うことで見られる子どもたちの良き変化について見ていきます。
この点については、むしろ子どもたちの変化を通して何がその変化の要因を生み出しているのかということからもヒントを得ています。
著者が実感する子どもたちの良き変化には、大きく以下の3点があります。
それぞれについて見ていきます。
1.表情が豊かになる
子どもたちが活動を通して〝誰かと楽しみを共有できた″〝遊びに没頭できた″〝新しい発見や体験ができた″〝家庭以外でゆっくりできる環境が見つかった″という経験は子どもたちの感情を安定させ豊かになることに繋がるものだと感じています。
その最たる指標が〝表情の変化″です。
子どもたちは安全感や安心感を獲得していく中で、よりイキイキと活動する様子が増えていきます。
その変化は表情を見ていて分かることがよくあります。
これまで、どこか無表情であったり、やる気や楽しさに欠けていると感じていた子どもたちが活動を通して〝表情が豊かになっていった″と感じた体験は多くあります。
心が躍っている状態の子どもたちを見ていると、著者もその情動に同期して心が躍ることがよく起こります(逆もまたあります)。
心が躍る体験をすること、心が揺さぶられる体験をすることがとても大切なのだと思います。
そして、こうした状態は表情の変化から読み取れることがよくあります。
2.心が充足して帰宅する
心も体も満たされて活動を終えることが療育においてはとても大切です。
そのためには、子どもたちの中の様々なエネルギーが外に発散でき、そして、次に繋がるエネルギーを蓄えていけるように活動を組み立てていくことが大切だと考えています。
〝心が充足して帰宅する″子どもたちには、どこか〝やり切った感じ″〝楽しさに満ちた感じ″が外から見ると分かることがあります。
もちろん、最初はどのような活動や関わり方を子どもたちが好むのかがわからないため、試行錯誤の過程が必要です。
試行錯誤の過程を経て、少しずつ一人ひとりの子どもたちの〝心の充足″の状態が分かるようになっていくのだと思います。
3.また来たいという要望が強くなる
著者がとても大切にしていることは、〝また来たいと感じてもらえる事業所にする″ことです。
子どもたちは日々の生活の中で、様々な悩みや疲労の回復、そして、楽しみや新しい繋がりを求めています。
一人ひとりの子どもの要望、つまり、ニーズを見つけて、それに対して応えていくことが〝また来たい″と思える事業所に繋がっていくのだと思います。
そして、一人ひとりの子どもの利用動機の高まりは、愛情や意欲のエネルギーの指標でもあります。
つまり、自分のことを分かってくれる人たちといることで愛情を感じることができる、そして、楽しい活動を通して次への挑戦意欲が湧いてくるといった状態です
愛情や意欲のエネルギーを満たしていくことは、療育(発達支援)の成果に繋がる大切な視点だと思います。
そのためには、一人ひとりの子どもたちが〝何を求めてきているのか?″といった問いに対する〝答えを探すこと″、あるいは〝創造すること″が必要だと思います。
以上、【療育で大切なこと】子どもたちの良き変化を通して考えるについて見てきました。
もちろん、これまで見てきた3点以外にも良き変化を感じる指標は多くあるかと思います。
今回はその中でも著者が特に大切だと思う点を記載しました。
子どもたちの変化・発達は長期的な経験の中で少しずつ分かってくるものだと思います。
そして、子どもたちと一緒に私自身もまた成長していくのだと思います。
私自身、まだまだ未熟ではありますが、今後も子どもたちに良き変化を引き起こしていけるような活動内容を考えていきたいと思います。
最後まで読んで頂きありがとうございました。