著者は放課後等デイサービスで、発達に躓きのある子どもへの療育をしています。
日々、とても可愛い子どもたちと楽しい日々を送っています。
一方で、支援において何が必要で大切であるのかを試行錯誤する日々でもあります。
時には、支援内容について壁にぶち当たり悩むことも多くあります。
それでは、放課後等デイサービスの中でどのような支援が大切だと言えるのでしょうか?
そこで、今回は、放課後等デイサービスにおける支援で大切な視点として、臨床発達心理士である著者の経験談と様々な書籍からの学びをもとに、〝自尊心″を高めることの重要性から理解を深めていきたいと思います。
今回は、①〝自尊心″とは?と②〝自尊心″を高める褒め方・叱り方についてと③〝自尊心″を高める居場所とは?の3つについて見ていきます。
〝自尊心″とは?
〝自尊心″とは、自己への評価(好き・嫌い、自分に価値がある・ない、など)のことを言います。
著者は〝自尊心″の発達において、他者からの眼差しや態度、声掛けなどが非常に重要な意味を持ってくると実感しています。
そして、言語と非言語の両方からの関わりもまた大切だと言えます。
著者の放課後等デイサービスには様々な子どもたちがいますが、中には、〝自尊心″が非常に低いと感じる子どももいます。
そうした子どもたちが急に〝自尊心″を向上させていくことは難しいですが、〝自尊心″を少しずつ高めていくためには、関わる大人が無条件に子どもの存在を受け止める姿勢が非常に重要だと言えます。
あるかがままの〝今″の子どもの存在を受け止めることで、子どもの中には、〝次″の変化への動機が生まれていきます。
そして、〝次″への変化を重要な関わり手となる大人が評価し認めていくことで〝自尊心″はさらに向上していくのだと思います。
つまり、重要な他者から認められたという評価が徐々に内在化されていくことで、〝自尊心″が育っていくのだと言えます。
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〝自尊心″を高める褒め方・叱り方について
著者は、放課後等デイサービスの現場において、時々、子どもの行動を注意したくなることがあります。
以前の著者はどちらかと言えば、直ぐに注意することが誤学習を防ぎ、良き行動に繋がっていくといった安易な考え方を持っていました。
しかし、著者が注意することで、子どもの情緒が不安定になったり、子どもとの関係性にヒビが入ったり、本来獲得して欲しい望ましい行動の学習に繋がっていかないなどマイナス要因がこれまでの経験を通して少なからずあったと感じています。
そして、必要以上に注意する関わり方が長期化することで、子どもの〝自尊心″は徐々に低下してしまっていたように思います。
こう感じるのも、その後の著者の褒め方・り方が変化したことで(ある意味失敗から身につけていったとも言えます)、子どもの〝自尊心″が向上していく様子を体感することができたからです。
例えば、叱る以上に〝褒める量を増やす″関わりを取ること、叱る場合には〝マイナス要因を冷静に伝える″こと、褒める際に言語・非言語の両方から少し〝オーバーに褒める″こと、子どもの行動を〝具体的に″褒めること、叱られていたマイナスの行動からの〝プラスの変化の過程を褒める″こと、など様々あります。
こうした経験を通して、過度な注意や叱責はその場しのぎや一時的な効果はあるかもしれませんが、長期的に見ると子どもの〝自尊心″を壊すことに繋がってしまうなどやってはいけない行為だと改めて感じることができます。
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〝自尊心″を高める居場所とは?
〝自尊心″を高めていくためには、重要な大人との関係性が必要です。
それに加えて、子どもが過ごす居場所の〝雰囲気″もまたとても大切だと感じています。
例えば、様々な違いが認められている環境、つまり、多様性が担保されている環境であったり、制限よりも自由度の高い環境であったり(特に放課後等デイサービスではここが大切)、明るくユーモアのある環境であることが大切だと思います。
心穏やかに過ごせる居場所の存在は、子どもの心に〝自分はここにいても良い″、〝みんなの中の自分″〝自分は周りから認められている″といった環境や集団の中での自己を高めていくことができるのだと思います。
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以上、【放課後等デイサービスにおける支援で大切な視点】〝自尊心″を高めることの重要性について見てきました。
子どもの〝自尊心″を育てていくことは、療育(発達支援)の中で非常に大切なことです。
〝自尊心″を育てていくためには、様々な工夫や関わり方のポイントがあるのだと思います。
そして、関わる大人が子ども一人ひとりをかけがえのない大切な存在だと心の奥深くで感じているのか、そして、その思いが子どもに伝わっているのか、ということがとても大切だと感じています。
私自身、まだまだ未熟ではありますが、今後も放課後等デイサービスでできる支援の意味を深く探求していきたいと思います。
最後まで読んで頂きありがとうございました。