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意味 愛着スタイル

【愛着スタイルの意味について】不安定な愛着スタイルを通して考える

投稿日:2024年5月9日 更新日:

愛着(アタッチメント)″とは、〝特定の養育者との情緒的な絆″のことを指します。

養育者と子どもとの間で交わされる情動交流の積み重ねは、後の〝愛着パターン″さらには、〝愛着スタイル″を形成していくと考えられています。

愛着スタイル″とは、簡単に言えば、人が他者と関わる際の対人様式(方略)のことを指します。

そして、〝愛着スタイル″には、大きく4つのタイプがあると言われています。

 

関連記事:「愛着スタイルとは?4つの愛着スタイルの特徴について考える

 

愛着スタイル″でよく使用されている用語として〝安定″〝不安定″といった言葉があります。

 

〝不安定″と聞くと何か問題があるように感じますが、実際のところはどうなのでしょうか?

 

そこで、今回は、愛着スタイルの意味について、臨床発達心理士である著者の経験談も交えながら不安定な愛着スタイルについて理解を深めていきたいと思います。

 

 

今回参照する資料は「篠原郁子(2024)子どものこころは大人と育つ:アタッチメント理論とメンタライジング.光文社新書.」です。

 

 

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愛着スタイルの意味について

以下、著書を引用しながら見ていきます。

子どもの、健康で適応的な心理社会的発達を考える上では、安定しているかどうか(SSPでいうと安定型か不安定型か)という見方ではなく、一定の方略を持っているか、組織化されているかどうかという視点で理解することが重要です。

 

著書の内容から、子どもが環境に適応していくという見方において、〝愛着スタイル″の違い(安定型か不安定型)以上に、〝一定の組織化された対人方略″を持っているかという意味で理解していくことが大切だと記載されています。

つまり、〝安定型だと良い″〝不安定型だとまずい″といった理解ではなく、安定型であろうが、不安定型であろうが、それぞれの組織化された対人方略(〝愛着スタイル″)があるという視点を理解していくことが大切だと言えます。

 


以下、引き続き著書を引用しながら見ていきます。

組織化されているというのは、その子どもなりに一定のルール(方略)を持って、アタッチメント対象との関係を保ち、その大人を安心の基準、安全な避難所として利用できるという意味です。

 

つまり、〝愛着スタイル″の違いは、その子どもなりに組織化された対人方略(他者との関わり方の一定のルール)の違いを意味しており、〝愛着スタイル″の違いは愛着対象となる他者との関わり方(安全・安心の基地として利用の仕方)に影響しているということです。

例えば、子どもが助けて欲しいと感じている場合に、すぐに反応して適切な応答を見せてくれる大人もいれば、そうでない大人もいるかと思います。

そのような場合に、子どもが大人の特徴を見て自分の行動・振る舞いを修正していくという視点がある種の〝組織化された対人方略″だと言えます。

子どもは重要な養育者(愛着対象)の振る舞いなどを見て、自己を修正させ、それが後の〝愛着スタイル″となって現れてくるということです。

 


以下、引き続き著書を引用しながら見ていきます。

どんなルールを持つかに違いがあっても、その子どもなりのルールが形成されていて、それを用いることで特定のアタッチメント対象を一定程度、利用することができるなら大丈夫という考え方です。

 

著書にあるように、愛着スタイル″が安定型であろうが、不安定型であろうが、大切なことは、子どもが持つ組織化された対人方略(愛着スタイル)が、特定の養育者にある程度利用可能であり、さらに、ある程度、環境にうまく適応できていれば大丈夫だということです。

著者はかつて愛着の研究をしていましたが、言葉の響きからしても、安定型の愛着スタイル以外(不安定型)は環境適応上良い状態ではないと考えていました。

一方で、今回参照した文献を踏まえると、〝愛着スタイル″が仮に不安定型であっても、不安定型なりの組織化された対人方略をある程度うまく利用でき、環境に適応できていれば大丈夫だという新しい考え方を学ぶことできました。

ここでのポイントは、‟愛着スタイル″が仮に不安定型であっても環境にうまく適応できないというわけではなく、その子なりの方略を使用してある程度、環境に適応できていれば良いということです。

その意味でも、〝愛着スタイル″の意味を深める視点として、様々な〝愛着スタイル″の違いが環境の中でうまく反映されているかということも重要な着眼点になってくると思います。

 

 


以上、【愛着スタイルの意味について】不安定な愛着スタイルを通して考えるについて見てきました。

今回見てきた〝愛着スタイル″を〝子どもなりのルール″と捉えることで、〝愛着スタイル″の言葉の持つ意味を深く理解していくことができるのだと思います。

私自身、まだまだ未熟ではありますが、今後も愛着についての理解を深めていきながら、療育現場において学んだ知見を活用できるように実践からの学びを大切にしていきたいと思います。

最後まで読んで頂きありがとうございました。

 

 

関連記事:「【愛着スタイルの特徴について】愛着スタイル(A・B・Cタイプ)を通して考える

関連記事:「【愛着スタイルの特徴について】愛着スタイル(Dタイプ)を通して考える

 

 

篠原郁子(2024)子どものこころは大人と育つ:アタッチメント理論とメンタライジング.光文社新書.

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