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【愛着で大切な〝情緒的利用可能性″について】4つの特徴を通して考える

投稿日:2024年5月6日 更新日:

愛着(アタッチメント)″とは、〝特定の養育者との情緒的な絆″のことを指します。

ここで〝情緒的″と言った言葉がある通り、子どもが養育者との間で〝情緒的″な繋がりを持つことが〝安定した愛着形成″においてとても大切になります。

 

それでは、情緒的な交流をしっかりと持っていく上で養育者にはどのような特徴が求められるのでしょうか?

 

そこで、今回は、愛着で大切な〝情緒的利用可能性″について、臨床発達心理士である著者の経験談も交えながら4つの特徴を通して理解を深めていきたいと思います。

 

 

今回参照する資料は「篠原郁子(2024)子どものこころは大人と育つ:アタッチメント理論とメンタライジング.光文社新書.」です。

 

 

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〝情緒的利用可能性″の4つの特徴について

以下、著書を引用しながら見ていきます。

大人の側の情緒的利用可能性の特徴は、「敏感性」「構造化」「侵入的でないこと」「敵意のなさ」の4つです。

 

著書には、情緒的利用可能″の4つの特徴、1.敏感性、2.構造化、3、侵入的でないこと、4.敵意のなさが記載されています。

 

 


それでは次に、それぞれについて見ていきます。

 

1.敏感性

以下、著書を引用しながら見ていきます。

子どもが発するシグナルに大人が気づくこと

 

嬉しさや楽しさといった肯定的感情に気付き、それに応じること

 

大人が自分自身の感情を子どもに対して表現すること

 

敏感性″は安定した愛着形成においてとても重要です。

子どもは様々な〝発信″を大人に向けて行います。それに対して〝適切な応答″を示すことが〝敏感性″だと言えます。

著書にもあるよに〝敏感性″は、子どもの不快な感情の〝発信″への気づきだけではなく、快の感情への気づきと反応も含まれます。

さらに、大人自らの感情を伝えることもまた良い愛着関係を築いていくためには大切です。

著者も療育現場で子どもたちからの困り感の発信に対する応答だけでなく、快の感情の共有、そして、著者が楽しいと感じたことなどを積極的に発信するようにしています。

愛着とは、不快な感情を和らげるため安全・安心基地となる大人への接近を意味する際に用いられることが多いのですが、快の感情の共有・共感もまた、子どもたちとの良い関係づくりにおいて大切だと感じています。

 

 

2.構造化

以下、著書を引用しながら見ていきます。

子どもの様子に合わせて調整しながら、子どもを促したり支えたりすることを、教育学や心理学では「足場架け」と呼んでいます。

 

子どもにとって適切な〝足場架け(足場作り)″を行える大人はとても〝情緒的利用可能性″が高い存在になります。

大人の手伝いがあれば独力で達成できるところを引き延ばしていける、そのための〝足場づくり″は〝構造化″と言われるものです。

著者も療育現場で子どもたちへの〝足場づくり″を大切にしています。

個々に合った適切な〝足場″を作るためにも、子どものたちの〝能力″や〝心″の発達をしっかりと把握していく姿勢が大切だと感じています。

 

 

3.侵入的でないこと

以下、著書を引用しながら見ていきます。

子どもがやろうとしていること、やりたいと思っていることを尊重し、大人が子どもの妨害や制限をしない姿勢を指します。

 

大人が子どもの挑戦を妨げたり、過度な関わりをしないことも〝情緒的利用可能″において大切になります。

つまり、ある程度の〝自由度を持った関わり方″が必要だと言えます。

裏を返すと〝侵入的でないこと″だと言えます。

著者の療育現場で子どもと関わる際には、〝過度に侵入的にならないようにすること″を大切にしています。

口で言うのは簡単ですが、これは思いの他難しいことだと思います。

過度な侵入を防ぐためにも、個々の〝能力″のアセスメントに加えて、〝心″の成長段階を感じ取る感性もまた大切だと感じています。

 

 

4.敵意のなさ

以下、著書を引用しながら見ていきます。

「敵意」には、否定的感情、怒り、苛立ち、冷たさ、侮辱、軽蔑などの気持ちが含まれています。

 

大人の関わり方にどこか〝敵意″が潜んでいると、子どもは大人に対して〝不信感″を抱くことに繋がります。

敵意のなさ″の根底は〝無条件の接し方″にあるのだと言えます。

つまり、子どもへの接し方や眼差しが〝その子の存在を肯定している″といった構えが大切だということです。

著者は療育現場で子どもと関わる際に、時には子どもの行動を見て〝イライラしてしまう″こともあります。

一方で、〝その子の存在に対する肯定感″を抱いて関わり続けていれば、仮にイライラしてしまうようなことが時折あったとしても、長期的には良い関係性ができてくるのだと感じています。

 

 


以上、【愛着で大切な〝情緒的利用可能性″について】4つの特徴を通して考えるについて見てきました。

養育者と子どもが良い安着関係を築いていくために、養育者(大人)がこれまで見てきた4つの〝情緒的利用可能″を有していることが大切だと言えます。

私自身、まだまだ未熟ではありますが、今後も療育現場で子どもたちと良い関係性を築いていけるように、今回見てきた情緒的利用可能についても継続して関わり方の参考にしていきたいと思います。

最後まで読んで頂きありがとうございました。

 

 

関連記事:「【愛着で大切な〝敏感性″について】4つのプロセスを通して考える

関連記事:「【療育で大切なこと】足場づくりの視点から支援について考える

 

 

篠原郁子(2024)子どものこころは大人と育つ:アタッチメント理論とメンタライジング.光文社新書.

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