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【幼児期の愛着の特徴】愛着に躓きを抱える子どもを通して考える

投稿日:2024年5月29日 更新日:

愛着(アタッチメント)″とは、〝特定の養育者との情緒的な絆″のことを指します。

子どもは養育者との愛着関係を基盤として、その後の対人関係を発展させていきます。

子どもが幼い時期には、大人の存在が非常に重要だと言われています。

 

それでは、幼児期(1歳頃~3歳)には、どのような愛着の特徴があると考えられているのでしょうか?

 

そこで、今回は、幼児期の愛着の特徴について、臨床発達心理士である著者の経験談も交えながら、愛着に躓きを抱える子どもを通して理解を深めていきたいと思います。

 

 

今回参照する資料は「L・アラン・スルーフ・バイロン・イーグランド・ エリザベス・A・カールソン・ W・アンドリュー・コリンズ(著)数井みゆき・工藤 晋平(監修)(2022)人間の発達とアタッチメント 逆境的環境における出生から成人までの30年にわたるミネソタ長期研究.誠信書房.」です。

 

 

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幼児期の愛着の特徴:愛着に躓きを抱える子どもを通して考える

以下、著書を引用しながら見ていきます。

厳格で、一貫性もなく、的外れな支援やしつけに直面してきたことで、子どもたちは簡単に過剰覚醒したり欲求不満になったりし、衝動を抑えられなかったり、自分には抑制できる能力がないのではないかと感じたりしている。

 

最後に、彼ら全員が自己管理の難しさや柔軟に問題対応できないことに直面するだろう。

 

著書の内容から、〝幼児期″に愛着に躓き抱えている子どもの特徴として、〝情動調整力″の困難さや〝自己有能感″の低さがあると言えます。

そして、こうしたケースにおいて、重要な他者(養育者)から受ける関わり方として、一貫性のなさ(気分によって関わり方がコロコロ変わるなど)、子どもが本来望んでいることとは期待外れの対応(的外れな支援)をする傾向があるのだと言えます。

本来、〝愛着形成″で大切なことは、重要な他者の関わりが子どもの不安な状態を低減・回復させてくれるという〝心理的安全性″によって支えられています。

心理的安全性″を感じることのできる重要な他者との関わり(情動の交流の質)が、後の〝情動調整力″及び〝自己有能感″の育ちに寄与していくと考えられます。

つまり、重要な他者からの〝心理的安全性″の感覚を感じることが難しい、さらに言えば、重要な他者が〝脅威の存在″になっている場合には、後に発達においてマイナスな育ちに繋がっていく可能性が高まるということです。

 

著者はかつて児童相談所で〝虐待ケース″の子どもたちと関わる機会がありました。

こうした子どもたちの特徴として、急にキレる、自分の思い通りにいかないと些細なことでもイライラする、挑発行為の多さなど〝情動調整力″の困難さが見られることが多くありました。

また、自分に自信がなく、人を信頼していないなど〝自己有能感″の低さが見られることもよくありました。

著者はこうしたケースを通して、幼い頃の重要な他者との愛着関係が非常に大切な意味を持っているのだと肌で感じることができました。

 

 


それでは、幼児期の愛着関係の質はその後も固定化していくのでしょうか?

以下、引き続き著書を引用しながら見ていきます。

幼児期には、確実に変化の機会が多く存在している。それでも、2歳まではもうはっきりとその違いがわかる複数の発達の道筋がある。

 

著書の内容から、幼児期にはそれ以前に愛着関係の質の違いがその後の発達に影響していく道筋が明確にできている所があると言えます。

もちろん、〝愛着はいつになっても修復することができる″〝支援に手遅れはない″と考えられていますが、乳児期・幼児期といった幼い時期の愛着は、その後の発達に強く影響するため、できるだけ早期に子どもが〝安全・安心″の感覚を得ることができる重要な他者との関係性が大切だと言えます。

愛着における躓きは、できるだけ早期に支援していくことが重要だと言えます。

 

著者は現在、放課後等デイサービスで療育をしています。

通所してくる子どもたちの中には、愛着に躓きを抱えている子どもたちもいると感じています。

こうした子どもたちは、療育を受けることで、少しずつ〝情動調整力″や〝自己有能感″が向上していったと感じる例は少なからずあると感じています。

そして、大切なことは、できるだけ〝早期発見・早期支援″に繋げていくことだと思います。

療育機関に繋がる時期が遅れてしまうと、その分、愛着の躓きを修復するのにも時間がかかると実感しています。

 

 


以上、【幼児期の愛着の特徴】愛着に躓きを抱える子どもを通して考えるについて見てきました。

愛着に躓き抱えている子どもたちへの支援は、子どもへの直接支援も大切ですが、子どもと関わる重要な他者(養育者など)を支えていくことも非常に必要なことだと思っています。

私自身、まだまだ未熟ではありますが、今後も愛着の視点を学んでいきながら、療育現場でその知見を応用・活用する力を身につけていきたいと思います。

最後まで読んで頂きありがとうございました。

 

 

関連記事:「療育現場に活用できる愛着(愛着障害)の視点

関連記事:「愛着形成で大切なこと【愛着障害の支援に手遅れはない】

 

 

L・アラン・スルーフ・バイロン・イーグランド・ エリザベス・A・カールソン・ W・アンドリュー・コリンズ(著)数井みゆき・工藤 晋平(監修)(2022)人間の発達とアタッチメント 逆境的環境における出生から成人までの30年にわたるミネソタ長期研究.誠信書房.

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